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Posted by ブクログ
中国の一地方都市にすぎなかった上海が、アヘン戦争後の南京条約により開港し、約100年間の租界時代を経て国際都市に発展して行く様子について、日本人や英国人、米国人、白系ロシア人、ユダヤ人などが租界および中国社会に与えた影響や、これらの外国人たちの租界でのライフスタイル、中国人との交流などを通して描いている。個人的には太平洋戦争前後の上海と言って思い浮かぶのは、魔都、アヘン窟、ジャズ、紫煙といった漠然とデカダンなイメージだったけれど、行政や経済、文化活動、建築スタイル、居住外国人の本国の政策などの説明を受け、上海という都市の変遷をより細かく分かることができて面白かった。
上海を開港させた英国が租界を設置したのが1845年。同じくアヘン戦争で英国の植民地となった香港とは異なり上海は引き続き清朝の領土であり続け、英国は行政権を持ってはいたものの実質的な租界の運営は当地に居留する外国人の行政組織に委ねられた。もともと自由貿易を行う商人の便宜のために設置された租界は、後に米国の租界と合併して共同租界となってからより自由都市の性格が強まり、ユダヤ人やロシア革命を逃れた白系ロシア人が大挙して押し寄せている。日清戦争を契機とする外国の投資の増加で産業革命が進み、英国への茶の輸出が減少する代わりに紡績業などが急速に発展、1920〜30年の大戦間には金融の一大センターとして繁栄の極みに達したが、上海事変の辺りから日本の進駐が進むに連れ雲行きが怪しくなる一方、それ以前から上海の中国人知識人が租界を帝国主義の象徴だとして回収を求めるなどの運動があり、領土でもない租界を守るという英米など本国の意志表示がないまま、租界の歴史は一旦幕を閉じることになる。
本書に掲載されている第二次上海事変後の日本軍による共同租界を貫く大規模なヴィクトリーマーチの写真には、私服の外国人が行き交う中6000人もの日本兵が行進する様子が写っており、これはもう超KYという感じで興味深かった。地名や建物の名前などわりと細かく出てくるので、現地に行くときに読むのがより良いと思う。
Posted by ブクログ
ここ数年、散々っぱら上海に行ったのに歴史について何も知らないなあと思っていた。上海の近代史を知りたかったのでこの本を。といっても近代史しかないんだけど。そもそも租界って何なのかもあやふやだったのだけど、こんなにも色んな国が出張っていた場所とはしらなかった。その色んな国、イギリス、アメリカ、日本、それぞれの視点からみた上海の変遷を垣間見ることができる。こんな人たちもいたのかと驚きだったが、ロシア難民とかユダヤ難民から見た上海というのも描かれる。そして中国近代史の主人公たち、孫文、蒋介石とか毛沢東たちが、上海を舞台に戦争・革命が繰り広げる。ああこういうことが起きてたのねって、初めていろいろな中国史が腹落ちした気分になれた。上海ってイベントフルな場所であったことをつくづく感じさせられる。文革後10年以上眠っていた上海を、最後に蒋介石が再び目覚めさせる、っていう終わりも良かった。
Posted by ブクログ
上海の歴史。今いる場所がどのように歩んできたのか。陸の孤島として、ほぼ完全に多国籍都市として成長と沈没を繰り返してきた歴史だ。
まず権益を独り占めにしたのはイギリス。1845年に租界地を勝ち取ったイギリスは、支配層として優雅なくらしをしている。娯楽の少ない中国において、食事とりわけディナーが重要で、本場顔負けのフルコースを楽しんでいたそうだ。1900年初頭には、中国人の中にもかなりの所得格差が表れ、洋服を買うように車を買う人がいるという記述もあるくらい。なんとなく、今の中国と同じだ。外国人が裕福な暮らしをしていて、一部の中国人がそれに乗って大金持ちに。1920年代には日本人が多数移民し、虹口エリアに10万人規模の日本人街ができた。今の古北エリアに似ているが、日本語だけで生活でき、まるで日本のようであったというのは、今の古北とまったく同じ。日本の本の記述ということで割り引いて考えても、それにしても日本軍はひどい。今の文化とレベルの高いモラル、クリーンな都市とデザインを守りたい。それが、日本の孤高の良さだから。
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