山崎光夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
明治21年にベルリンで撮影された一枚の写真は、そこに若き日の森鴎外や北里柴三郎が写っていることから、歴史に残るものとなった。しかし、その19人は、当時日本から洋行していたというだけでも、エリートであるが、その後の人生は色々で、多くは日本で然るべき地位に着いたが、中にはドイツに客死し、名を残さなかった人もいる。著者は、その全員を探し当てるとともに、鴎外との関係を中心に、各人の一生を描いてみせた。中々の労作であり、ドキュメンタリーのようでもある。登場人物の多くは、医者であり、また、軍関係者であって、全体的には同質的であるから、一人一人の個性が記憶に残るというものでもないが、鴎外の日記を繰り返し引用