前田正子のレビュー一覧
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日本の人口構成の変化を丁寧に追った本。
あとから振り返ると見えてくるものも、真っ只中にいるときは、なかなか見えないものなのですね…。
それはさておき、日本の人口構成は、これからどうなるんでしょうね。
日本の社会の在り方とともに、真剣に考えていかないと、とんでもない未来がやってくることでしょう。
昔に比べて、日本人は長生きするようになりましたし、元気なお年寄りも多いですが、未来を作っていくのは若者なので、その若者たちが、明るい未来を描けるように、ある一定以上の年齢層の人たちは、自分も含め、若者たちに、より良い形でバトンタッチできるよう、がんばらないといけないですね。 -
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横浜市の副市長を務め、1人の母でもある著者が保育園問題を考える。現状、課題分析、諸外国の例、対策(提言)の構成となっており解りやすい。行政の立場、子育てする親の立場の双方を経験しているだけあってか、非常にバランスが取れた一冊となっている。良書と言えるだろう。
以下、本書のメモ。
〇認可保育所の運営
公立:約4割 社会福祉法人:約5割 学校法人や株式会社など:約1割
〇保育所の数
・2万3,447ヶ所(2016年)。2014年と比べ減少。
・過疎地の保育所の閉鎖、認定こども園への移行が主な原因。
〇保育量をめぐる3つの論点
①認可保育所を利用しない人からの不満
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少子高齢化を扱った本はいろいろあるし、この本が何かとてもスペシャルなことを訴えているわけではありません。読めば暗い未来が眼前に拡がり、提案されている対策もどれも決め手になるかというと微妙だし、誰かには痛みを伴うものになりそうです。でもなにもしないことが今の現実を招いているので、「何か」はやらないわけにはいきません。安心して若者が結婚して子育てできるようになるためには彼らが未来に希望と安心を見出してもらう必要があるわけで、そのためには少なくとも彼らが抱える経済問題に対してきちんとした対策はするべきでしょう。そのためには余裕のある層からの富の移転を進めることが必要になりますが、いまの政治では無理で
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少子化のスピードが早いことが気になり、網羅的に少子化の原因を知りたいと思って読んでみた。
「無子高齢化」という刺激的なタイトルと、著者が横浜副市長を経験しており、自治体の現場を知っていること、女性であることから本書を選択した。
2018年の刊行なので、平成が終わる時期。映画『万引き家族』が話題になった時期の書籍である。当然、新型コロナ危機は発生していない。コロナ以前の「少子化対策の失敗の歴史」をたどることに成功している良書だ。
就職氷河期に社会にでた団塊ジュニア世代が、正社員になれなかったことで、生活が不安定になり、少子化が促進したことがデータをもとに詳述されている。本書は、重要な事実を -
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まず、「無子高齢化」というタイトルを見て、私は、「やられた」と思った。
そう、これから日本が直面する最大の加田は、「少子」ではなく、「無子」なのである。
この本が、他の「少子化本」と一線を画しているのは、著者の前田氏が横浜市副市長という経歴の持ち主であることから、行政的な立場から「少子化」の解決策についてのアプローチを試みている点である。
実際、本書で著者は、その対策案として、行政的な視点から5つの案を提起している。
その提起された5つの案から、私は、非正規社員や外国人労働差の増加、奨学金の返済問題、家事・育児時間の増加など、様々な要因が重なり合い、我が国は少子化が進展してきたことを改めて認 -
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なかなか衝撃的なタイトルだが、内容も歯に衣着せぬ表現で、現在の人口問題について分かり易く解説している。育児支援や保育政策が専門の大学教授が、現在の苦境を招いた原因を、政策対応を時代の経過とともに説明しながら、問題点を指摘している。バブル崩壊による経済の低迷と、政府が適切な対策が取られなかったことが致命症になったが、生まれない子供を気に掛けることは難しく、頭ではわかっていながら問題の本質を見ないようにした「無視」が「無子」をもたらしたのだろう。そもそも、どうやって人口減少社会を乗り切るかというビジョンがなく、人口増加をベースにした昭和の考え方をあきらめきれないところに問題の本質があり、微修正で場
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横浜市副市長として待機児童ゼロに尽力した筆者が豊富なデータをもとに行政の視点から保育園問題について解説と提言を行っている良書。 待機児童の定義一つ統一できていないというのは驚く。具体的に言うと、認可保育所に入れることができなくても認可外保育所に入っていれば待機児童と数えないなど自治体によって定義が異なる。そもそも育休延長をするために、わざと倍率の高い好立地の保育所に申し込む人もいるというから問題は複雑である。制度を緻密にするほど、人々の行動も複雑に変化し、またそれに対応するために制度が複雑化してゆくという循環に入り込んでしまっているように感じる。 育休の2年までの延長というのは弊害が大きいとい
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序章のある一家のケースが圧倒的。自身がまったく当事者でなかったため、これまで新聞などで保活について読んでもなかなかピンときてなかったが、この本の事例はどういうわけか非常に腑に落ちた。赤ちゃんがお腹にいるときからこんなに必死に活動しなくてはならない、ただでさえ体調管理には気を遣う時期なのに心の方もすり減るだろうし、もし入所できなかったら、人によっては仕事を失うかもしれないという理不尽さに恐怖を覚えた。
こうしたショッキングな、けれどもおそらく決して珍しくはないケースを冒頭に読んだ後だと、その後の冷静な調査分析も非常に身にしみてくる。筆者の方は横浜市の副市長時代にさまざまな取り組みをされており