曾野綾子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
生きる姿勢
著:曾野 綾子
与えられた場所で、与えられた時間を生きる。
それが人間の自由だ。
帯には、生き方の原点を示す54篇とあります
気になったのは以下です
・人の人生を眺めるということは、その人の生きる姿勢を見せてもらうことだ、と気がついたのは中年以後だろう
・私は幼稚園から大学まで育てられたカトリック系の学校で、修道女たちから、「一生を賭けて」と言う姿勢を習った
彼女たちは、私たち生徒を教育するために、文字通り一生を賭けていた
私たちの学校には欧米人の修道女たちがたくさんいたが、その人たちは、二度と故国に帰らず、死んだら日本の土になることを納得して来た人たちばかりだった
・貧しい国々を歩くようになって以来、小さな盗みをする人にさえ寛大になった
私がまだ盗みをしなくて済んでいるのは、私が恵まれていて、今晩、食べるものに事欠かないでいるからなのである。
・私はこのごろ、他者のことはわからない、という自覚を深めて生きることが大切と思うようになった
・私たちは相手を完全に理解することなく付き合い、心の奥底までわからないままに、死んでいく
・自分の人生でさえ、誰一人として予想できない
・人生とは何もかも意外なことだらけである
自分の人生の一部さえ、ほとんど誰一人として予測できない
予測できないから、時々こうした艶やかな別れを贈られるのである
・いい生涯を見出すには、まず自分をよく知ることだ
・私は幼稚園から大学まで、カトリックの学校で育ったのだが、そこでは常日頃、政府、社会、親など、今仮初に与えられているものの形態は、いつ取り上げられても仕方がないものだ、というふうに教えられたのである
・この世のことはすべて仮の姿です
・人生は単なる旅に過ぎません
・人間関係とはいうものは、簡単に断ち切れないものだからです
・後に作家になって、私はあらゆる事業の責任者にとっては、現場を知ること、常に現場にいることが、どれだけ大切かをよく思い知ることになった
・平たい言葉で言えば、人間、楽ばかりしていてはだめなのだ
しかし、艱難辛苦ばかりでも困る
その点、四季があれば、人間があらゆる感情の起伏で生き抜ける
苦しみ、宥められ、喜び、失望し、まどろみ、酔う
・日本人に個性がなくなったのは、テレビばかり見ていて本をよまなくなったからだ、という実感があった
・どんな名作と言われているものにも、私はついていけないものがある
筋が余りにも退屈、でたらめ、不自然だと、よく長い年月こんなつまらない芝居が上演されてきたものだ、と思う時もある
・言葉は、もっとも温和な武器です
・とにかく本を読むことなのだ、知恵という活力の源泉は、まともな読み書きからしか完成しないが、親も教育者も本も読まないのだから救いようがない
・私は即効性のある3つの柱を用意しよう
①回復すべき点は、現代の日本人の生活に貧富の差がますます大きくなって来ているというなら、その思い込を冷静に是正して、日本ほど、格差の少ない国は世界にないことを認識することである
②回復すべき点は、日本人からただでものを貰える、という乞食根性を追放することである
③回復すべき点は、人は現世の目標をずっと低めに設計した方がいいということである
・個人としても民族としても、日本人は自立の精神を失った
生きるために必要なすべてのことを、自分でできない人や状況が増えたのである
自立とは、つまり足から頭までが堂々とつながっている状態のことだ
目次
まえがき
第1章 自分の人生でさえ、誰一人として予測できない
第2章 人間は、一人一人が得難い素材である
第3章 質素と贅沢、身の丈に合った選択の自由
第4章 与えられた場所で、与えられた時間を生きる
第5章 いささかの危険を承知で生きる
第6章 世界的風潮や流行に動じてはならない
ISBN:9784309021867
出版社:河出書房新社
判型:新書
ページ数:228ページ
定価:760円(本体)
2013年05月30日初版発行 -
Posted by ブクログ
帯にあることば、「苦しみを知るほど人は優しく強くなる」
読み終えて、大きな悲しみやカベにぶつかったときに、本当に必要な言葉とは優しい言葉なのでしょうか。と感じました。
気になったことは次です。
・私は50年に近い作家生活の中で、ああこの人は自分を失っていないし、勇気があるなあ、と思った人は、たった3,4人に過ぎない。その人たちは、信念をもって「世間を向うに廻して闘う」ことを静かに覚悟していた。
・たとえ明日は死滅の危機にさらされようと、生きるための努力をし続けることとは全く別です。たとえ、叶えられない希望といえども、そのために働くのは、人間の美学の問題です。それが生きること、そのものなのですから。
・現実は、全く何もかも本質的に惨たんです。政治が悪いからでもなく、個人的に運がわるいからでもありません。人間の機能自体が、本質的に惨たんなるものだからです。
・この世は矛盾だらけだが、その矛盾が人間に考える力を与えてくれている。
・不幸はむかえうたなければいけないものなのだろうと思う。
・相手がいい人かどうかより、自分がどれだけ確固とした世界をもっているかどうかだということです。
・自分が変わらないごとく、他人のやり方もまた、変えさせようとしても無理である。
・恋の基本に「なかなか会えない」という条件がある。
・ものを食べるという行為は、性行為と同じで、していい場所に制約があるものである。
・私は他人を理解もしないし、他人も私をわかろうとはしないのだということ、つまり、人間は誰もが誤解を受け続けなければならない。
・他人が耐えられることなら、私も耐えるべきである。
・組織の本当の姿は外から見えない。
・中国は歴史始まって以来、ずっと保守主義と王朝の変型を続けているだけで、一度も社会主義にも、共産主義にもなったことはないのだ。
・まちがいを、自ら認めるのが恐らく勇気の本質なのである。
・意識して裏表を使い分けられるのが大人というものだろう。
・教育の根本の姿は自らを教育し続けることなのである。
・他人と同じことをしていてどうなる。
・人間はどこかに必ず、その人が必要だ、と言ってくれる場所があります。あなたは、そこに行かなければなりません。
目次は以下の通りです。
まえがき
第1章 あきらめない勇気、断念する勇気 人生の価値について
第2章 つきあい上手の秘訣 友人、他者という存在
第3章 善と悪と見抜く力 倫理とは何か
第4章 現実というカベにぶつかった時 物事の表と裏
第5章 子供たちに何を教えるか 大人になる条件
第6章 老いを迎え討つ 死と向き合う
第7章 家族が家族であるために 夫婦、親子のいい関係
出典著作一覧
引用文出典一覧 -
Posted by ブクログ
死後発見されたという1992年当時の語り卸し。
私は実は曾野綾子さんの本はあまり読んだことはないのだけれど、
この本を読んで、なんと「自然体」なのだろう、
というのが率直な感想。
そう、自然体、という言葉がふっと頭に浮かんだ。
年齢を重ねる、ということは伊達ではない、と思う。
むろん中にはそうではない、悪くなる人もいるが、
しっかり自分をもって歳を重ねれば、
相手に対しても自分に対しても無理のない生き方ができる、
というものだ。
政治的見解にはいろいろあったようだが、
この本に書かれていることはおおむね納得できる。
第一章 好きなことに正直に生きる
(人生に優先順位をつける;植物も人間も性根は変えられない;原点をいつも意識する;自分を生かせるところを選ぶ;少し無理した精神ダンディズムを楽しむ)
第二章 世間に縛られず、心を自由に保つ
(自由を確保するために、お金は必要;金銭感覚は常に庶民的に;小説家と詩人に「汚職」は意味がない;大事だけれど、つまらないこと;返してもらうことを期待してはいけない;自分を捧げられるものを厳選する;悪魔に出会って、人間は一人前になる)
第三章 与えられた人生を受け入れる
(なぜ小説を書き続けるのか;執着を断ち、「この世を軽く見る」という習慣;人間はきれいごとではすまない;シスターに学んだ現世のはかなさ;与えられた運命を受け入れる)
第四章 命をかけるということ
(男が行くところは女も行け;人が発見しない価値観を見つける;小説を書くことと家事のバランス;先入観で判断しすぎていないか;極限を見ることは人生を豊かにする)
第五章 人間関係の心得
(その人がよいということをしてあげる;他人のことは百パーセントわからない;知らない部分があるから友情は続く;最後まで支持するのが友人;難民キャンプで考えた友情の真価;山小屋で交わした青年との人生話)