成蹊大学法学部のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本書は、まさに「教養としての」政治学といった趣である。
政治学と一口に言っても、カバーする分野が広くどこから学んでいいか分からない、あるいは分厚すぎる専門書を前に呆然とすることが多かったのだが、本書においては、12名の教授陣がそれぞれの受け持ちの分野を2、30ページほどで解説をしてくれる。元々、成蹊大学に入学した学生に対して行われるオムニバス形式の講義が元になっているようであるが、それを極一部であっても追体験することができるのは非常にありがたい。
各分野の終わりには、参考になる書籍まで書き加えてくれているので、興味のある分野はさらに深掘りすることができるのも魅力である。
分野により執筆 -
Posted by ブクログ
ネタバレ以下引用。
もとより政治はとっつきにくい。そもそも、何をもって政治とするのかさえはっきりしない。「政治とは何か」という問い自体が古代以来のものであって、人間の歴史を通じて数多の賢人たちが論争を重ねてきた。ひとつはっきりいえるのは、他者との関係性のなかで生きる社会的存在としての人間の営みがあるところには、必ず政治が存在することである。
政治は、相違なる利害が共存する事実を受け入れるところではじめて生起する。特定のイデオロギーに基づく一体性を徹底し、それへの異論を唱える「KY」な人たちをことごとく排除するところでは、政治の出番はない。人々は多様な利害を抱え、複雑な相互関係を結ぶ。 -
Posted by ブクログ
本書は、成蹊大学法学部政治学科に在籍する研究者による政治学の入門書である。政治学の様々な領域の専門家が、初学者を自身の分野へ招き入れるためのテーマを選定し、何が問題・争点になっているのか、それらの問題・争点をどう考えるのか、をできるだけ平易に叙述している。
具体的には、「日本と世界」、「歴史と思想」、「比較と地域」という3部構成で、日本政治、行政学、地方自治、国際政治、政治理論、西洋政治思想史、日本政治外交史、西洋政治史、比較福祉政治、アメリカ政治、ヨーロッパ政治、アジア政治の12の分野の最先端トピックを取り上げている。
各章によりやや当たり外れはあるものの、総じて、政治学をこれから学びたくな