和田博文のレビュー一覧

  • シベリア鉄道紀行史 ──アジアとヨーロッパを結ぶ旅

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    ネタバレ

    シベリア鉄道初心者が、区間の勾配差や開業初期の機関の出力などを知りたいとふと思い、どこから手をつけるべきかとよく考えもせずに手に取った。目的は達成できなかったが、実に有意義な読書となった。

    シベリア鉄道着工直前から第二次世界大戦集結後までの、シベリア鉄道が関係するイベントを史料から列挙している。そういう切り口から納得させられることがあるものだ。
    例えば一つ、日露戦争前の日本がロシアに抱いていた恐怖、危機感というもの。大津事件というものを知っていたとしても、動機や背景について理解が及んでいなかった。朝鮮に向かって鉄路がどんどん伸びてくるという一事によって強力な説得力をもたせられた印象がある。

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    2023年10月11日
  • 日本人美術家のパリ 1878-1942

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    まずその分厚さに驚きますが、1878年~1942年(日本で言うところの明治~昭和戦前期、美術史で言うところの印象派が隆盛してからシュルレアリスムの辺りぐらいまで)のパリに主軸を置き、美術修行として留学している日本人の視点を通しての美術界の動向を描いた一冊。
    参考資料のベースになっているのが、日本人が美術雑誌や現地日本語新聞などに書き残した動向・エッセイ等なので、本書を読み進めながら、リアルタイムでの彼らの肌感覚と言いますか、時代感がくみ取れてとても面白かった!
    単純に「西洋画の美術史」ではなく、日本人が体験してきた海外留学での苦悩や、「画家」の流行廃り、美術館での展覧会から画商による展示販売へ

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    2023年05月09日
  • シベリア鉄道紀行史 ──アジアとヨーロッパを結ぶ旅

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    ネタバレ

    シベリア鉄道の紀行文を辿りながら、シベリア鉄道とそれを取り巻く社会情勢を解説する本。「シベリア鉄道目線でシベリアとその周辺域の戦前史を語る本」と言ってもいい一冊。
    シベリア鉄道とセットで作られた東支鉄道(満鉄の北半分)の歴史も含まれ、それが中国との関係ではなく、ロシアやソ連との関係から語られる。かなり興味深い視点を提供してくれる一冊だった。
    第一次大戦後のシベリア出兵に関する記述が特に興味深かった。「シベリアに出兵したが、諸外国の干渉で撤兵した」以上のことを中学歴史レベルでは教えてくれないわけですが、その出兵領域がウラル山脈近くまで伸びていたのは初耳。「第二次大戦直後、ソ連にはひどい目にあった

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    2013年05月15日
  • 漫画家が見た 百年前の西洋 ――近藤浩一路『異国膝栗毛』の洋行

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    100年前の渡欧記のエッセンスでまとめてある。
    洋服も洋食も国内で練習してからの渡欧。第一次世界大戦後の時期で、ドイツは苦しい時勢であった。イタリア、フランスで美術鑑賞に明け暮れている。特にフランスとの親和性は高い。著者のグループは、美大卒業の絵画家が中心になっている。海外では、一等国の国民の自負の元、一流ホテルや移動には十分な予算を費やしている。
    言葉の壁から、苦労多い旅行記となっているが、楽しんでいる様子が伺える。

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    2025年11月01日