カレン・ディオンヌのレビュー一覧

  • 沼の王の娘

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    ネタバレ

    長期間少女を誘拐監禁した罪で服役していた囚人が脱獄し逃走。
    誘拐監禁されていた間に生まれた娘のヘレナは、過去を封印して生きてきたが、父親が自らの家族と生活を脅かしに来るものと分かり、対決することを決意する。

    アメリカの原野で繰り広げられる追跡劇と息を呑むアクション…と思って手に取ったが、そっち側の描写は意外と少なく、文明をほぼ知らずに育っていった主人公の少女時代の描写と、ネイティブアメリカンの文化を踏襲して生活するが、歪んだエゴで主人公の母(誘拐された少女)や主人公に暴力をふるうトチ狂った父親の生き様、苦しみ抜いて生きた母親の人生、父親から逃げ切った後の文明生活と苦労などを複層的に描いていく

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    2025年02月20日
  • 沼の王の娘

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    序章で引き込まれる。

    拉致監禁犯の父とその被害者である母。 
    両親と暮らした12年。
    刑務所を脱走した父を追うと決めたわたしの、
    覚悟と回想。

    あらすじにはサバイバルゲームとあるけれど、
    どちらかというと家族の物語りという印象。
    残酷な描写もあるけど、淡々とした文章の中に
    緊迫感も臨場感もあって、一気読みだった。

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    2024年06月19日
  • 沼の王の娘

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     ある女の子が沼地に誘拐された。彼女は誘拐した男の子を産み、育てた。
     その女の子が主人公の母だ。

     物語は、主人公の父親が刑務所から脱獄したというニュースを聞いたところから始まる。主人公は娘二人を持つ母親。夫も子供たちも、自分の父親が沼の王と呼ばれた犯罪者であることを知らない。
     父親は自然の中で暮らすすべに長け、それを主人公に教えていた。
     警察に任されていたら、父親を捕らえることはできない。捕らえることができるのは、私だ。主人公はそう決意する。

     主人公の回想シーンと、父親を追跡する現在が混在するのだが。
     主人公の一人称で語られる世界の情報の豊かさがすごい。かつてどのように暮らして

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    2019年04月15日
  • 沼の王の娘

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    拉致監禁犯の男とその被害者の間にできた子供の話。男から逃げ、大人になり、結婚し子供ができた後、父が脱獄してきた。
    ヘレナと父との心理戦。ヘレナが父を追い詰める様子、沼での暮らしが交互に描かれ、緊迫した状況を作り出す。沼での子供時代を通して、ヘレナがどうして今のヘレナになったかが、わかる。
    父の行動を読む娘、娘の行動を読む父、追い詰めるところ、追い詰められるところはかなり白熱していて、ハラハラしっぱなしだった。

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    2023年10月21日
  • 沼の王の娘

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    ネタバレ

    被害者のその後を描いた作品(ルームとか、棺の女とか)が好きで結構読んでるのですが、少し毛色が違って、被害者の娘さんのお話。ややオオカミに育てられた子ども系の要素あり。

    ヘレンがリアリティがあって、本当に存在するこんな背景を持つ人かと思うほど。両親に対する冷静な評価と、拭いきれないこもごもが丁寧に描かれていて、キリキリしながら読みました。
    父親が母親を(逆も同じだけど)軽んじている家庭で子どもが育つことの怖さがさらっと描かれていてゾワっとしました。それでも幼いヘレンが良いと思うことをしようとする逃走の場面がとても良い。クライマックスよりも心に残る。

    それにしてもこれは、もはや犬小説。。自然と

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    2023年08月01日
  • 沼の王の娘

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    挿入話のアンデルセン童話「沼の王の娘」は、アンデルセンらしく一癖も二癖も読みようによって変わる、およそ“童話”らしくない物語。
    その物語を副旋律として作家は現代の問題点を「束縛という最強の暴力の中から生まれた娘」の話を創作した。
    ネイティブアメリカンのような生活を描き、あたかもアイデンティティの相違を理由としているように見えても、実は一人の男のエゴから生まれた悲劇であることを描き忘れてはいない。
    生まれた娘は、与えられた環境の中でしか判断できないことから当然に善悪の理解は世間と相違する。前半の「ふりかえり」は、そういった意味からとても重要な悲劇の描写。

    物語の後半に入り、大切な家族を持ったこ

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    2022年06月17日
  • 沼の王の娘

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    ネタバレ

    拉致監禁犯の男とその被害者の間にできた娘。
    そんな父と子をめぐるスリラー。

    複雑な感情と深刻で壮絶な過去。その語りが淡々としている分、響いてくる。
    自分と向き合い清算していく姿を根気強く見守りながら、事実が明らかにされる度に息を飲んだ。
    どこまでも父の子でありながら、私は私であるという強さを手に入れていく成長ぶりは読み応えがあった。

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    2020年11月29日
  • 沼の王の娘

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    ある誘拐犯が脱走して
    そのニュースを聞いた女は
    「この犯人を止めることができるのは
    自分だけだ」と思う。
    彼女はその犯人に誘拐された女性から生まれ育てられた娘だった…
    娘は父親の狩りを開始する。

    読む前に期待していたのはディーヴァーの様なスリラーで、帯にも「衝撃の〜」とある。
    読んでみると二つの場面が切り替わりながら進む
    現在:誘拐犯の父親を狩る
    過去:父母と生活していた頃
    そして章の頭で物語のモチーフであるアンデルセンの「沼の王の娘」の一編が挟み込まれる。

    ハラハラする要素はあるけど、過去の"生活"誘拐犯と誘拐の被害者の娘の奇妙な親子の関係性の描写が間に挟まることで、

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    2019年05月18日
  • 沼の王の娘

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    設定が凄すぎる。凶悪犯の父が刑務官二人を殺害の上脱獄した。娘は家族を避難させ、父を狩るために、原始の森へ帰ってゆく。かつて父に教えられ、父を超えた、あの狩りの技術を駆使して。そういう設定である。

     12年前。ヒロインのヘレナは父に誘拐監禁された母とともに森の中の父による幽閉生活から脱出し、父は終身刑を課され重警備刑務所で獄中にあった。その父が脱獄したのだ。

     ぼくとしてはワイルドなアメリカ・カナダ国境の山の奥で、父と娘の壮絶な闘いがずっと演じられる作品を思い描いていた。C・J・ボックスの『鷹の王』が描いたネイト・ロマノスキーの凄まじい闘いのように。サバイバル技術に長けていた映画『ラン

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    2019年05月06日
  • 沼の王の娘

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    こういう作品、日本じゃ絶対世に出ないよなぁ。
    その点、アメリカは創造に対して自由だよなぁ。

    ガチで娘が父親を狩ってた。すごい。
    映画化するらしいけど、映像で見るとえぐそうだな。
    父と娘のラストシーンはちょっと切なかった。

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    2019年04月26日
  • 沼の王の娘

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    ジャングルの中で異能親子がバトルを繰り広げるのかと思いましたが、沈み込むような心象風景を主に描いているので、思いのほか地味でしたが、その分読み応えありました。
    母を誘拐して自分を産ませた父への愛憎と、沼地への憧憬と親しみ、家族への愛。普通とは何ぞや。

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    2023年09月28日
  • 沼の王の娘

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    刑務所から脱走した父を追う娘
    母を含めた三人の過去の話が多く
    父を追う現在の話が少なく薄く感じてしまいました

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    2020年04月18日
  • 沼の王の娘

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    面白く読み進んだが、エンディングが胸糞悪い。
    主人公が異常な父親をいまだ愛している部分がありそうで、
    母を理屈でしか受け入れていないみたいで、ほんと嫌。
    母に対する後悔が小さく、人を殺した後悔もそれなりしかなく、なんかすべてを自分に都合よく解釈して生き残ってるところが父親そっくりで、ああ、嫌、絶対嫌。

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    2019年06月20日