石黒達昌のレビュー一覧

  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    中級クラスな難解SFに属すると思うが「ALICE」が個人的に好きだ。
    出版社の都合で、このような実力のある作家を埋もれさせる現状は本当にやるせない。

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    2024年01月16日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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     この本を読むまで、作者のお名前を存じ上げなかった。解説およびあとがきを読むと、長編は1作もなく中短編が30ほど発表されているらしい。作品の多くは文芸誌に掲載され、芥川賞の候補に3度なってる。SF寄りの作品が多く、東京大学医学部出身ということもあって、安部公房を彷彿させる。

     この「日本SFの臨界点」シリーズの編者の伴名錬氏のよると、シリーズ最終巻の石黒氏をもってきたのには理由があるという。重厚かつ非常に重い読後感をもたらす作品が多く、腰を据えて読むのがふさわしいからとのこと。うーん、まったく同感です。 特に、表題にもなっている「冬至草」と「雪女」は、余韻を残す良い作品と感じる。

     なお、

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    2022年01月08日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    昨年の10月に既に読み終わっていたのだが、登録忘れに気が付いて慌ててレビューを追加した。

    前回の小田雅久仁に引き続く新たな作家との出会い、これは単なる読書の楽しさだけでなく、遥か昔に感動したSFに対する記憶・共感を呼び起こしてくれる。その点では「日本SFの臨界点」と称して新しく企画してくれた伴名練には感謝している。そう言えば、中井紀夫も発掘してくれたな。しかしながら、この臨界点シリーズは一段落との噂があるが、それは誤報であることを望む。

    石黒達昌は医者であり、医者・科学者の観点での作品なので個人的には非常に読みやすかった。内容はフィクションであるのにもかかわらず、それをフィクションと思わせ

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    2022年01月04日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    書評につられて久々にSFモノを読んだ。グイグイ引き込まれて密度が濃く、短編でちょうどよい。
    希望ホヤ、平成3年~が良かった。

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    2021年11月11日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    いやはや、まさか石黒達昌まとめ読みチャンスとは。
    この中やと「王様はどのようにして〜」はちょっと好みと違うかな。これは石黒達昌でなくても良くね?と言うか。
    「希望ホヤ」「冬至草」あたりは石黒達昌本線バチバチ。これが読みたかったし、石黒達昌でしか読まれへん。
    「或る一日」は宮内悠介「ヨハネスブルクの天使たち」、「ALICE」は伊藤計劃っぽく感じたり。オイラが知ってる作家少ない作家さんの中では、やけど。
    「雪女」と「平成3年〜」は好きなのよ。オイラ自身はガチ文系やねんけど、この理系っぽさはハマる。もっと売れてほしいと言うかもっと書いてほしい。

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    2021年09月09日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    ネタバレ

    「希望ホヤ」★★★★★
    「冬至草」★★★★
    「王様はどのようにして不幸になっていったのか?」★★★
    「アブサルティに関する評伝」★★★
    「或る一日」★★★
    「ALICE」★★★★
    「雪女」★★★★
    「平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに」★★★★★

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    2021年12月20日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    久々に読んだ、「平成3年…」、初読時の衝撃は薄れたけれど、不穏な静けさにゾクゾクさせられた。
    短編集のなかでは似たテイストに感じる、「冬至草」と「雪女」が好き。硬質で理論的科学的なのに猟奇的怪奇的で。偏執的なサイコな狂気と、それに相反する真摯で一途な静謐さが相反して両立してる、唯一無二な特異な世界だと思う。

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    2025年03月26日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    現在(皮膚感覚としての)日本SFはある程度の需要があり、こういう作品集が出ることが出来ているのだと思う。
    個人的には、冬至草の後味の悪さが好きだ。
    事実をなぞったような、ある種のとっちらかりが、判断を読者に委ねる事が出来ている。作者の職業柄、理系用語はリアルだが、そのリアルさを、小説として、どう判断するか、というのは、また違う目線もあるかも知れないとは感じた。
    正確である事が、必要である場合と必然である場合は違うからだ。

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    2022年04月14日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    医師として、活躍されているので、余計な事だが、作家として活躍して欲しいと…。才能って、ある人には、幾つもあると認識。

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    2022年01月10日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    なんというか、とてもユニークな筆致と世界観を有する作家です。
    作家自身の個性や情念や熱量、「この作品で何を表現したいのか」といった想い、そうした通常の小説なら当然表出されているものが、この作品群からは全く感じません。徹底的に冷静で冷徹で、まるで科学者のリポートを読むかのような硬質で冷たい作品ばかりです。その突き放したようなスタンスが逆に強烈な個性になっているという、余人を持って変えがたい作家だな、と思いました。

    どの作品も、気持ち的に盛り上がる展開はほぼないです(^_^; 本当にレポートのような文体で、起こっている事象や事件について客観的に確認できることのみを淡々と描写し、だいたいは観察対象

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    2021年12月05日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    これは、理系SFとして傑作と思います。ストーリーとしても、不思議な哀しさがあります。長編が読みたい!

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    2021年11月25日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    「希望ホヤ」「冬至草」「雪女」は既読。著者の淡々とした文章が良い。科学者の不正を書いた「アブサルティに関する評伝」と数多の死を書いた「或る一日」が印象的な作品だった。

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    2021年10月17日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    学術論文を思わせる(あるいは擬した)硬質な文体で、疑似科学的幻想を、突き放した視点で描く、研究者作家の短編集。近年は作品の発表がなく、忘れらた作家の印象だが、本業が忙しくなって執筆時間が取れなくなったかららしく、作品に理解者を得られなかったわけではないようだ。
    やはり読後感は重い。いわゆる架空論文は「平成3年――」の一本だけだが、論文を思わせる硬質な文体と、情緒を排して対象を突き放すような筆致は、ほとんどの作品に共通する。これは癖になるかも知れない。

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    2021年08月29日
  • 日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女

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    主に自然科学、生物化学的なテーマをルポタージュ調の文体を以て俯瞰的な視点からノンフィクション風に淡々と綴る作品集。人の血液を養分とする植物の生態を描いた「冬至草」と妖怪譚を特異体質という観点から描く「雪女」の二作が表題作で、人智を超えた種のメカニズムを研究者の執着的な探究心と共に紐解いていく。併録作「希望ホヤ」と「平成3年5月2日〜」もまた然り、人間の傲慢さによって滅び行く種を通し、自滅という形での人類滅亡を暗喩するという冷徹さ。人間の驕りと科学の限界、生命の摂理を前にして人間の力は如何に無力であろうか。

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    2021年09月13日