石黒達昌のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本を読むまで、作者のお名前を存じ上げなかった。解説およびあとがきを読むと、長編は1作もなく中短編が30ほど発表されているらしい。作品の多くは文芸誌に掲載され、芥川賞の候補に3度なってる。SF寄りの作品が多く、東京大学医学部出身ということもあって、安部公房を彷彿させる。
この「日本SFの臨界点」シリーズの編者の伴名錬氏のよると、シリーズ最終巻の石黒氏をもってきたのには理由があるという。重厚かつ非常に重い読後感をもたらす作品が多く、腰を据えて読むのがふさわしいからとのこと。うーん、まったく同感です。 特に、表題にもなっている「冬至草」と「雪女」は、余韻を残す良い作品と感じる。
なお、 -
Posted by ブクログ
昨年の10月に既に読み終わっていたのだが、登録忘れに気が付いて慌ててレビューを追加した。
前回の小田雅久仁に引き続く新たな作家との出会い、これは単なる読書の楽しさだけでなく、遥か昔に感動したSFに対する記憶・共感を呼び起こしてくれる。その点では「日本SFの臨界点」と称して新しく企画してくれた伴名練には感謝している。そう言えば、中井紀夫も発掘してくれたな。しかしながら、この臨界点シリーズは一段落との噂があるが、それは誤報であることを望む。
石黒達昌は医者であり、医者・科学者の観点での作品なので個人的には非常に読みやすかった。内容はフィクションであるのにもかかわらず、それをフィクションと思わせ -
Posted by ブクログ
いやはや、まさか石黒達昌まとめ読みチャンスとは。
この中やと「王様はどのようにして〜」はちょっと好みと違うかな。これは石黒達昌でなくても良くね?と言うか。
「希望ホヤ」「冬至草」あたりは石黒達昌本線バチバチ。これが読みたかったし、石黒達昌でしか読まれへん。
「或る一日」は宮内悠介「ヨハネスブルクの天使たち」、「ALICE」は伊藤計劃っぽく感じたり。オイラが知ってる作家少ない作家さんの中では、やけど。
「雪女」と「平成3年〜」は好きなのよ。オイラ自身はガチ文系やねんけど、この理系っぽさはハマる。もっと売れてほしいと言うかもっと書いてほしい。 -
Posted by ブクログ
なんというか、とてもユニークな筆致と世界観を有する作家です。
作家自身の個性や情念や熱量、「この作品で何を表現したいのか」といった想い、そうした通常の小説なら当然表出されているものが、この作品群からは全く感じません。徹底的に冷静で冷徹で、まるで科学者のリポートを読むかのような硬質で冷たい作品ばかりです。その突き放したようなスタンスが逆に強烈な個性になっているという、余人を持って変えがたい作家だな、と思いました。
どの作品も、気持ち的に盛り上がる展開はほぼないです(^_^; 本当にレポートのような文体で、起こっている事象や事件について客観的に確認できることのみを淡々と描写し、だいたいは観察対象