クリスチャン・マスビアウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ビッグデータ、デザイン・シンキングなど、受けるエリアだけどただそれに飛びつくだけの時代に一言物申す書と言った感じ。この本の日本発売は2018年11月なのでその数年前からビッグデータとAIはブームになっていてマネーボールは映画になってヒットするほどだった所に、追い討ちをかけるように時代はSTEM、稼げるのは理系で、人文系の学問って無駄じゃね?との意見が世界的に広まりつつある中、いやいや、人文学の方がより人間らしい生き方を味わうのに良いだろ?って言ってるようだ。
著者は、クリスチャン・マスビアウ氏、あまり聞いたことのないラストネームだが、ロンドン出身の方なのかな、ロンドン大学卒業という経歴。
「世界を理解する」では、フォードCEOの大衆に車をと言ったビジョンや、「「個人」ではなく「文化」を」では、哲学と芸術、物語りの大切さを訴えているところは著者が現在アメリカに住んでいる事も影響して、褒めながら欠点をあぶり出す感じ。第4章では、あの英国銀行を潰したとも言われるジョージ・ソロスを深掘りしている。これはロンドン出身の著者からすると、ある意味、かたきとも言えるだけに、こいつは何者なのかについて深く分析したのかな?と想像。文中ではそんな事は一言も書かれてないけど、失敗から学ぶってやつかな。
センスメイキングって、日本人的には、「侘び寂び」だったり「心の機微」的な表現になるのかなあ。第7章では、センスメイキングの達人として、3人の物語りが紹介されていて、1人目は、交渉の指導の達人と言われるシーラ・ヒーン、2人目は、EU統合の困難な交渉をやってのけた政治家?のマルグレーテ・べステアー、3人目は、FBIの交渉のエキスパートのクリス・ボス。第8章の「人は何のために存在するのか」として、介護にフォーカスを当てている。
外資系企業で働く身としては、データ、レポート、デザイン・シンキングは、めちゃくちゃ言われるだけに、本の内容については、概ね好意的。
序 ヒューマンファクター
第1章 世界を理解する
第2章 シリコンバレーという心理状態
第3章 「個人」ではなく「文化」を
第4章 単なる「薄いデータ」ではなく「厚いデータ」を
第5章「動物園」ではなく「サバンナ」を
第6章「生産」ではなく「創造性」を
第7章「GPS」ではなく「北極星」を
第8章 人は何のために存在するのか
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Posted by ブクログ
今後の社会で受け入れられる商品やサービス、行動様式をどのように考えたら良いかのヒントになるかと思い購読。もちろん、データの重要性や数字を一目見るだけで様々なことが理解できることは便利だし重要なんだけど、データ・数字・テクノロジーの向こう側・奥底にある「何か」を掴み取ることはもっと重要な気がする。それは「感情」「文化」「センス」なんだろう。「謎に出くわした時、過去の体験や検索でさっさと答えを出すのではなく、柔軟に向き合う姿勢を保てるかどうか」「意味をめぐる一見地味な観察こそが重要」「アルゴリズムには様々な可能性があるが、それ自体関心を持つという行為はできない。対象に関心を寄せ気遣いをするために人は存在する」
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Posted by ブクログ
STEM教育への系統と人文科学の軽視、
データドリブンへの信奉とコンテクストへの無知。
こうした近年の趨勢に警鐘を鳴らし、人文科学をベースとした「センスメイキング」の重要性を説いている。
大量のデータから表層をなぞるのではなく
現象学的に本質を抉ろう、という主張にはなるほどと思わされる。
つまみ食い程度でわかった気になることはできても
本質を捉えることは対象の内側に没入することでしか達成しえない。
しかし、STEMの欠点を徹底的に晒しつつも、結局なぜセンスメイキングが望ましいのかがいまいち伝わらない。
そもそも言語化・論理化が難しいものであるので性質上難しいというのはあるだろうが、
変に「本当の高給取りは人文科学を専攻している」「あなたの上司も人文科学出身だったりするだろう」と給与や地位から人文科学を持ち上げているがために心に響いてこない。
人文科学とそうでないものとに壁を作り二元論に陥っている点が残念ではあるが、人文科学とSTEMを比較した稀有な本として一読の価値はある。
ちなみに筆者はどうやら大のデザイン思考嫌いらしく、敵意剥き出しでコキおろしている。
一種清々しさすら感じるが、そういった壁を作らずに多様性を認め、異なる意見を重ね合わせアウフヘーベンしていくことが重要なのではなかろうか。 -
Posted by ブクログ
人間科学を基盤とした戦略コンサルタントである著者が、STEMやビッグデータといった自然科学に基づく「理系の知識」全盛の時代へのアンチテーゼとして、人文科学や社会科学の重要性を説き、より人間的な文化や感性への回帰を提唱した一冊。
センスメイキングとは、人間本来の知を生かして「意味のある違い」に対する感受性を高めることであり、物事に対する深い洞察は、数値化・抽象化された「薄いデータ」の分析だけでなく、人々の相互の関係によって生まれる「社会的文脈」のようなAIでは認識できない「厚いデータ」を把握することが必要になる。そのためには新たな技術に盲目的に頼るのではなく、自らの経験や感性を主体的に活用して「本当に重要なものを見極める」ことが重要と説く。
ハイデガーやフッサールといった哲学者の思想を巧みに引用し、「独創性あふれる洞察やアイディアは、『我々の中から』ではなく、我々が暮らす社会の中から、『我々を通じて』出てくる」という著者の主張は一定の説得力がある一方で、著者が「AIには不可能」と断じているハイタッチな能力がこの先も人間の専売特許であり続けるのかは疑問が残る。むしろ本書のいう「センスメイキング」をこれまで以上に高めなければ人間としての将来は危ういのではないかと思う。