加来彰俊のレビュー一覧

  • ゴルギアス

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    2023/10/23朝日カルチャーセンター横浜の講義終了

    通して「弁論術」そして「ソフィスト」とは何か(『ソフィストとは誰か?』納富.2015.ちくま学芸文庫を併読)の考察が深められたように思う。

    対話相手の3者(ゴルギアスとそれに師事する二人)で、三様の結末と前者を受けての対話が連続する様、様々なテーマが折り重なりながらも「弁論術」の真偽を見極めんとし、政治、哲学、生き方を問いかける様が印象に残った。

    結論的部分では、政治に密接にかかわる弁論術が、哲学的に意義のあるもの(良い弁論術!?)として立ち現れてくる可能性(『ポリテイア』等へ引き継がれるテーマ)が語られいた。
    その場合、弁論術が

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    2023年10月24日
  • ゴルギアス

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    この本が2000年以上前に書かれた書籍であるにも関わらず、その内容が示しているところは今の時代でも全く変わらず、むしろSNSの登場のせいでより増幅させてしまっているのではないかと思うほどである。
    プラトンが現実の政治に対してある種の諦念や距離を置く姿勢を見せながらも、実際にどう生きるべきかということを3人の相手(ゴルギアス、ポロス、カリクレス)との対話を通して鮮明になっていく様が大変印象的だった。また思った以上に読みやすいのでオススメの一冊

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    2023年08月27日
  • ゴルギアス

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    声のうるさくなったこの現在が煩わしくて、時にことばにすることが億劫でもう説明することが心底どうでもよいと思うことがある。
    そんな中にあって、もう遠く離れた場所の時間も違う人間だというのに、おなじような感覚に出会うと、一周回って、あぁ、人間の歩みはこうも遅く進んでいくものなんだと思えてくる。ほんとうに生まれたての子どものように、少しずつ試し、失敗して反省しながら滅びまでの道を歩いていくことしかできない。それはどこか悲しく、どうにもならならい痛みを抱えて生きていくことだけど、この命の明滅を繰り返してひとつの線になっていくのだと思うと、それはそれで自分の魂の不滅というものが実感できる。自分の居場所が

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    2022年12月11日
  • ゴルギアス

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    プラトン一冊目。思ったより堅苦しいものではなく、所々盛り込まれいるユーモアにはクスッと笑ってしまう。

    僕は頭が良くないので、読みながら一々頭で論理を整理する必要があったため読むのにかなり時間を要した。

    早速僕の気づきをいくつか挙げてみる。

    ①現代社会での我々の会話はソクラテス(というよりはプラトン?)に注意されかねない。例えば、Aを質問されているのに、あたかもAが非難されていると認識してBの回答をしてしまうことは想像に難くないだろう。本質を捉えて簡潔に答えればOK。

    ②国家社会の政治のあり方について。
    本来「政治にたずさわる人間のなすべき唯一の仕事は、市民一人ひとりができるだけすぐれた

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    2020年02月11日
  • ゴルギアス

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    プラトン初期の作品『ゴルギアス』

    初期の中でも後期にあたるこの作品の特徴は、
    それ以前の作品では、もっぱら「無知の知」で対話が終了していくのとは打って変わって、問いに対する結論が出てくるようになってくることだ。

    結局のところ何も私達はわからないというところで終始していたソクラテス的スタンスに、
    イデア論をはじめとしたプラトン思想といえるようなものが出てくるようになる。

    それは、
    プラトンがシチリアへ赴いた時に、当時の数学の権威であったピュタゴラス派と交流をもったことをきっかけにしている。
    プラトンの思想体系に変化が起こり、それ以降の作品にも変化が起こることを示している。


    プラトン40

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    2019年03月08日
  • ゴルギアス

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    饗宴を買いに行ったのになかったので、こっちを買う。結果的にはその順序で良かったか。これが最後というのもあまりよくなかっただろう。

    対話篇としては、国家を先に読んでると、最後の方はダレてくるが、それでも、抜群に面白い。270ページを1日半で読み終えた。
    哲学なんて子供のやるもんだ、大人は嗜む程度でいい、というようなことを、プラトン が書いているんだと思うとやはり驚く。
    現実でそう言われたことがあってそれへの反論でもあるのかもしれないが、そのときに、もしかしたら本当にそうなのでは、と逡巡したということもあり得るだろう。

    ソクラテスの弁明やクリトンを細かく吟味しなおす様子は、当時のソフィスト、弁

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    2018年11月18日
  • ゴルギアス

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    対話を通して様々なことを考える。特に弁論術に関しての話。プラトンの描くソクラテスをどう思うかいろんなことを考えた。至善を尽くそうとすることの難しさを理解するのにもいい気がする。読むことで何かが息づく。そういう感触のあるテキストだった。

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    2017年12月18日
  • ゴルギアス

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    ・今回のソクラテス先生は、ゴルギアス、ポロス、カリクレスの3人を相手にして、弁論、徳、善悪、正不正といったプラトン哲学を語るうえで欠かせない重要な論点について対話を繰り広げる。

    ・まず「弁論術とは説得をつくり出すものだ」と主張するゴルギアスを、続いて「不正を行うよりも不正を受けることのほうが害悪である」と持論を展開するポロスを、ソクラテスはそれぞれ論破して、本書最大の見どころであるカリクレスとの論戦に入る。

    ・カリクレスは「正義とは、強者が弱者を支配し、そして弱者よりも多くを持つことである」(p136)という身も蓋もない思想の持主。それだけにこの論戦も非常に興味深いのだが、カリクレスが「正

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    2013年07月13日
  • ゴルギアス

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    弁論術についてのソクラテスとゴルギアスの対話篇。
    話は魂を良く生かすこと、正と不正、幸福について…といった話に変わっていく。

    で、カリクレス曰く、
    「いい歳になってもまだ哲学をしていて、それから抜け出ようとしない者を見たりするときは、ソクラテスよ、そんな男はもう、ぶん殴ってやらなければいけないと僕は思うのだ」

    哲学ってそういうものとして一般の人から見られているのは古代から現代まで変わらないのね

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    2013年06月11日
  • ゴルギアス

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    7, 8年ぶりに読み返した。カッリクレースはツボ。何度も腹を抱えた。もう、価値観の問題。彼を説得するには真理をもってしては不可能で、ソークラテースこそ、その使命を果たすためにゴルギアースから弁論術を学べばよかったんじゃないかな。キケローの言う「学識ある弁論家」となって。彼が本当にアテーナイ人の教育を志したのであればね。ところが彼にはプラトーンという弟子があった。そのために、時代を越えて、海を越えて、彼は私に教育を施した。今読み返して、本篇に限らずだが、プラトーンの対話篇が私の人格に与えた影響の大きさを知った。

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    2013年02月15日
  • ゴルギアス

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    ネタバレ

    政治家は何をしたらいいの?といういまとあまり変わらない話を延々としている。
    国家は民衆に「快」と「善」とのどちらを示すべきか?それともどちらかがどちらと合一なのか?それともどちらかがどちらの下にあるのか?それとも上にあるのか?ということだ。
    プラトンは最終的に、「政治家は民衆の料理人や給仕ではなく、医者でなければならない。」とする。ということは善を与えるべきであるとする。これが哲人王であるということなのだろう。
    このような発想は、てっきりアリストテレスのものだと思っていたが(彼はどうすれば善く生きられるか、何が目的なのか、という思考であるから。)、ソクラテスの時代からあったのかと思った。
    プラ

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    2012年09月17日
  • ゴルギアス

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    最強の敵、カルリクレス登場!(笑)というコピーがぴったりの対話篇。というか『ゴルギアス』という書名で本当にいいのか!(笑)
    著名な弁論術家ゴルギアスのもとに「弁論術」とは何かという議論をふっかけにいったソクラテス。法廷や政治の場において人々を説得する技術だというゴルギアスに対し、説得する以上、全ての事柄が「正」だと知っているのか、それを教えることが可能で実践している者がいるのかと矛盾を追及し、早々に戦意喪失に追い込む。
    第2ラウンドは代わりに登場したゴルギアスの弟子ポロス。ソクラテスは「弁論術」は技術ではなく、料理と同様に経験であり、その本質は「善」ではなく「快」で民衆への迎合だと喝破する。対

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    2013年03月23日
  • ゴルギアス

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    カリクレスの弱肉強食の自然の摂理を礼賛することに反駁していくソクラテスには本当に心を打たれた。

    「不正を受けることより不正を行うことが悪いことである,さらに不正を行いながら裁きを受けないのが害悪の中で一番ひどいものである」というのを示すくだりは,今後も忘れないようにしなければ,と思う。

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    2011年11月19日
  • ゴルギアス

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    ソクラテスが弁論家、その弟子、政治家と議論し次々に論破していく。三人は矛盾をつかれたり、論旨をすり替えようとしたり、揚げ足をとったり、逃げようとしたり、感情的に非難したりするが、ソクラテスの首尾一貫した論理には黙らざるをえない。哲学書ではあるが議論の正しいやり方としても読める。哲学的には公共善とは何か、政治とは何か、いかに生きるべきかなど現代にも当てはまるテーマだと思う。カルリクレスの説はニーチェが支持したらしい。

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    2011年05月01日
  • ゴルギアス

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    プラトンの初期対話篇。

    弁論家(ゴルギアス、ポロス)や現実政治家(カルリクレス)に代表される価値観と、哲学者(ソクラテス)に代表される価値観と、二つを対比して後者の方こそ真に目指されるべき生き方であることを論証していく。前者は、カネ・権力・快楽以外の価値を認めずそれら計量可能な「快」をより多く獲得することが――「真=善=美」に適っているか否かとは無関係に――幸福であるとする即物的な(無)価値観。後者は、カネ・権力・快楽を超えたものとして「真=善=美」という特定の価値を認めてそれを求めることが幸福であるとする形而上的な価値観。

    前者の立場からカルリクレスは、「法は弱者のルサンチマンの実体

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    2011年03月27日
  • ゴルギアス

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    不正を行うのと、不正を受けるのとはどちらが利益があるか等。当時の政治と絡めて人間の正しさを問い正した書。

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    2024年11月29日
  • ゴルギアス

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    この本は、ソクラテスと3人の人物との対話形式で書かれており、「口が上手い人が本当に賢い人なのか!」という問題や、政治の本題を取り上げているものです。
    私には、読みにくい本でしたが、2000年以上前に書かれた本を読んでいる思うと、不思議な気がしました。
    ぜひぜひ読んでみてください。

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    2022年08月31日
  • ゴルギアス

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    ソフィスト(ゴルギアス&ポロス)とアテネの政治家(カルリクレス)とソクラテスの対話を通じ、「善」を目的とした生き方であってこその人生であり、「善」を押し進めることによってこその政治であるとのプラトンの理想を伝えた対話編。

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    2020年09月08日
  • ゴルギアス

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    ソクラテスと弁論を重ねるソフィスト達の意見が、現代であっても十分通用するものなので、そっちに驚いてしまった。
    ソクラテスの意見もソフィストの意見も「なるほど。確かに。」と納得できる。
    部分的に言い回しがくどい/分かりにくいところがあったが、論理的に何かを探ることはこんなに難しいのかと再確認できた。

    個人的に、ソクラテスのような方法で議論を進められたらめっちゃムカつくなぁと思う。

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    2020年08月19日
  • ゴルギアス

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    初期プラトンまとめ読みの2冊目。

    ソフィストのゴルギアスを相手に、弁論術について、議論を挑むソクラテスという構図は、基本的に「プロタラゴス」と同じだし、ソクラテスの論法も基本的には同じかな。

    ただし、プロタゴラスさんが結構、人間味のある常識人だったのに対して、ゴルギアスさんは、もっと職業的な弁論家で、タイトルに反して、ゴルギアスとの議論は、早々に終わる。

    ここまでは、ある意味、「プロタゴラス」の議論の復習といったところ。で、このあと、2人の若者が、「それは、納得いかない」とソクラテスに議論を挑む。その2番目のカルリクレスとの議論が、ハイライト。

    カルリクレスは現実主義で、ソクラ

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    2017年04月30日