加来彰俊のレビュー一覧
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この対話篇は、政治と道徳と人生を論じて、『国家』につぐプラトンの力作であり、ソクラテスを死にいたらしめたアテナイの社会を支配するいっさいの通念に対して向けられた、哲学の側からの怒りと批判の書である。
弁論術(レトリカ)は、その当時のアテナイ社会における花形的な存在であり、それの含む問題は、こんにちの社会においていわゆるマス・コミュニケーションのおよぼしている道徳的。社会的影響の問題とまったく同じ性質のものと言ってよい。(扉紹介)
カリキュレス:たしかに、ソクラテス、若い年ごろにほどよく触れておくだけなら、けっして悪いものではない。しかし必要以上にそれに打ち込んで時間をつぶすならば、 -
Posted by ブクログ
ソクラテスの弁明Episode0の巻。
全体的には、道徳についての内容。
タイトルはゴルギアスだが、
ゴルギアス→ポロス→カルリクレスと、
ソクラテスの対話相手は交代していく。
ゴルギアスとは弁論術について、
ポロスとは不正と幸福の関係、
最後にカルリクレスと道徳について議論し、
結論として、ソクラテスの弁明において、
彼がとった行動が道徳に基づいた行為とされる。
解説ではプラトンによるソクラテスと、
プラトン自身の弁明だとしている。
弁明による彼の行動の根拠に対する、
弟子のプラトンの考えが分かるという意味で、
ソクラテスの弁明の副読本として読むのが良さそう。