オリヴィエ・ゲーズのレビュー一覧

  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
    アウシュヴィッツに大量に送られてくるユダヤ人をまるでオーケストラの指揮者のように振り分ける-この本では、収容所に到着してすぐ行われる選別を「オーケストラを奏でる」と多くのシーンで表現されている。異次元の残虐行為、すなわち人体実験が描写されている箇所は少なく、その描写も極めて淡白なもの。むしろ「死の天...続きを読む
  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
    「死の天使」と称されたヨーゼフ・メンゲレの逃亡記。
    史実と文献をもとにした“ノンフィクション小説”

    戦時中に行った彼の非人道的な行為と、逃亡生活中の卑小さ傲慢さが際立つ。(さらにアイヒマンが登場することでその卑小さ俗物さが増す)


    「命令に従っただけで自分は悪くない」
    最期まで狂信者だった。

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  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
    メンゲレのような「命令に従っただけで自分は悪くない」という言い分が通ると思っている卑小な悪、陳腐な悪は決して珍しいものではない。
  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
    悔悟も悔悛もない。同情も共感もできないけど、最後の一文に胸を突かれた。いつ、どんな時代でもメンゲレになる人間は存在している。
  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
    あとがきによると、著者は、この本のモデルはカポーティの「冷血」でした、と答えているそうです。
    「ローズ・アンダー・ファイア」と続けて読んでしまったので、まさに彼女たちに施された人体実験の首謀者である悪魔の医師が、このような卑小な人物であると知ると、やりきれなさが倍加します。
    イスラエルの諜報機関であ...続きを読む
  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
    「アウシュヴィッツの死の天使」メンゲレの戦後の逃亡の記録。そう言えばアイヒマンも捕まったのは南米か。戦中戦後、建前中立だった南米がナチの巣窟だったってのは聞いたことはあったけど、そこメインで書いてる本は初めて読んだ。なかなかおもしろい。
  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
    ドイツのユダヤ人作家?による「ノンフィクションノベル」。アウシュビッツで恐れられていた白衣の悪魔メンゲレ医師の南米での隠遁生活。驚愕の新事実とかではなく、メンゲレの狂気と恐れをじわじわと描く。3.0
  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
    『スターン』誌じゃなくて『シュテルン』じゃないかと思うんだけど。
    それはさておき、戦争責任って難しいんだなあと思う。勝ったか負けたかで立場は全然変わるし、命令を下した側が罰せられるのはともかく、命令を受けて行動した側は、じゃあそれを拒否すれば良かったのかというと、それは勝ったか負けたかという結果が出...続きを読む
  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
    ナチズムへの傾倒と功名心から、アウシュビッツで非道な人体実験を行い、多くのユダヤ人などを死に至らしめたヨーゼフ・メンゲレの逃亡記。彼は最後まで「狂信者」だった。
  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
    ナチスの人体実験に関して、最も名の知れた科学者ヨーゼフ・メンゲレ。
    ユダヤ人輸送の責任者アドルフ・アイヒマンほどの大物ではありませんが、自身の研究と到着後の“選別”によって夥しい死を実行しました。
    自然死するまで逃げ切ったナチスの一人であり、動向に不明な点が多い人物です。
    著者のメンゲレ研究の末、事...続きを読む
  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
    アウシュビッツでユダヤ人を医学サンプルとして冷酷に選別し人体標本や実験をしていたナチスの医者・メンゲレ。戦後南米に逃亡し1979年にブラジルで死んだ。そのメンゲレの逃亡を小説にしたのが本作。
    メンゲレを支えたのは、メンゲレ家の資産とヒットラーに心酔する人々の存在であった。メンゲレも生涯ユダヤ人の劣性...続きを読む
  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
    メンゲレを怪物ではなく人間として描くことには成功している。アウシュビッツで行った残虐な人体実験や殺戮の描写には読んでいて吐き気をもよおすほどなのだから、残虐性を描くことにも成功していると思う。ただ、余りの残酷さはやはり読んで面白いものではない。一片の同情も酌量の余地もないので、逃げ切ったことへのカタ...続きを読む