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ヨーゼフ・メンゲレ、アウシュヴィッツ絶滅収容所に移送され、降車場に降ろされたユダヤ人を、強制労働へ、ガス室へと選別したナチスの医師。優生学に取り憑かれた彼は、とりわけ双子の研究に熱中し、想像を絶する実験を重ねた。1945年のアウシュヴィッツ解放時に研究資料を持って逃亡。その後、49年にアルゼンチンに渡った彼は、79年にブラジルの海岸で死亡するまで南米に潜み、捕まることも、裁かれることもなく様々な偽名のもと、生き続けたのだった。そして、その死が遺骨のDNA鑑定によって確認されたのは90年代になってからのことだ。なぜメンゲレは生き延びることができたのか? 彼は、どのような逃亡生活を送ったのか? 謎に満ちた後半生の真実と、人間の本質に、ジャーナリスティックな手法と硬質な筆致で迫った傑作小説。ルノードー賞受賞作。
...続きを読むPosted by ブクログ 2020年06月10日
アウシュヴィッツに大量に送られてくるユダヤ人をまるでオーケストラの指揮者のように振り分ける-この本では、収容所に到着してすぐ行われる選別を「オーケストラを奏でる」と多くのシーンで表現されている。異次元の残虐行為、すなわち人体実験が描写されている箇所は少なく、その描写も極めて淡白なもの。むしろ「死の天...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年05月14日
「死の天使」と称されたヨーゼフ・メンゲレの逃亡記。
史実と文献をもとにした“ノンフィクション小説”
戦時中に行った彼の非人道的な行為と、逃亡生活中の卑小さ傲慢さが際立つ。(さらにアイヒマンが登場することでその卑小さ俗物さが増す)
「命令に従っただけで自分は悪くない」
最期まで狂信者だった。
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Posted by ブクログ 2018年11月08日
あとがきによると、著者は、この本のモデルはカポーティの「冷血」でした、と答えているそうです。
「ローズ・アンダー・ファイア」と続けて読んでしまったので、まさに彼女たちに施された人体実験の首謀者である悪魔の医師が、このような卑小な人物であると知ると、やりきれなさが倍加します。
イスラエルの諜報機関であ...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年07月19日
『スターン』誌じゃなくて『シュテルン』じゃないかと思うんだけど。
それはさておき、戦争責任って難しいんだなあと思う。勝ったか負けたかで立場は全然変わるし、命令を下した側が罰せられるのはともかく、命令を受けて行動した側は、じゃあそれを拒否すれば良かったのかというと、それは勝ったか負けたかという結果が出...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年02月08日
ナチスの人体実験に関して、最も名の知れた科学者ヨーゼフ・メンゲレ。
ユダヤ人輸送の責任者アドルフ・アイヒマンほどの大物ではありませんが、自身の研究と到着後の“選別”によって夥しい死を実行しました。
自然死するまで逃げ切ったナチスの一人であり、動向に不明な点が多い人物です。
著者のメンゲレ研究の末、事...続きを読む
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