萩原慎一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
心を掴まれる短歌集。
もともと短歌に興味はない。世代だが俵万智もスルーしてきた。
ひょんなことから萩原さんのことを知り、彼の短歌を幾つか目にしたら、もう書店に向かっていた。
手に取った文庫は思ったより薄くて彼の人生の短さを感じた。
萩原さんの短歌は閉塞感や絶望感を歌ったものから、若者らしい青春のキラキラを切り取ったものまで。その全てが瑞々しく繊細で、ひたすら優しい。
それは隣で寄り添いながら背中をさすってくれるよう。だが、その掌からはとてつもないエネルギーを発している。
私はこの歌集から前に進む力を貰っている。
若い人に読んでもらいたいと思う。 -
Posted by ブクログ
NHKで特集された際ゲストの又吉直樹さんが、歌集から垣間見える作者の人間性について、【生きづらかったんだろうなと思うが】【大好きです】というような発言をしていて、思わず大きく頷いた。だって、この歌集、あまりに優しいから。
作者は、子どもの頃周囲に馴染めずつまずき、大人になってからは非正規雇用から抜け出せず自分の望んだ生活を送れていなかったようだ。それでも短歌からは、人間へのあたたかい眼差しが感じられて切なくなる。
短歌が生きる糧だった作者。こうしたい、こうなりたい、じゃあどうしたらいいんだ、と常に足掻いて模索していただろうことが読み取れる。多くの人と同じ、不条理な世間に呑み込まれながらも -
Posted by ブクログ
著者がどういった人物か、一切の知識なしにたまたま手に取った。
表紙のデザインが美しかったのと、滑走路、という色々な物語を想起させるタイトルの「歌集」というものに興味を惹かれたからだ。
読み始めてみると、勢いがあって、静止があって、思考があって、日常があって、現実や当惑や希望があって、ぐいぐい引き込まれるように最後まで読んだ。
歌集を読む時の習慣で、印象に残った歌には細い付箋をつけるのだが、かなりの数の付箋がついた。
そして、最後の最後、解説や後書きを読んで、著者が32歳という若さで夭逝したことを知った。
氏が詠んだ短歌には、色々な想いが練り込まれていたに違いない。未来を感じさせる歌も確かに -
Posted by ブクログ
昭和20年代、第二芸術論争なるものがあったと聞いている。対象は俳句ではあったが、それは短歌をも巻き込むものだった。「(作家たちは)いつも慄いている。名も知らぬ土地の人の机の引き出しの中に、世紀の傑作が眠っているのではないか、と」出典にあたっていないので正確ではないが、おおよそ以上のような主張に、おおよそ俳人とか歌人とかと言われる作家たちが一斉に反発した。
現代、歌人と称するためには何が必要なのだろうか?
公の新聞や雑誌で、歌が頻繁に公開されていること?
歌集を出していること?
定義はどうでもいい。
むかし、おおよそ130年間に詠まれた歌が一冊の文集にまとめられた。万葉集といい、それは130 -
Posted by ブクログ
現代短歌で有名(?)な歌人の萩原慎一郎の歌集で、彼が亡くなる直前に企画・編集され、死後出版された現代的な口語体の短歌を中心とした作品。芸人の又吉や文芸評論家の三枝昴之などによる解説もついている。学生時代のいじめの経験や、「非正規雇用」の中でやりがいを感じにくい仕事と生きがいとしての歌作との間の葛藤、短歌への情熱、日常の感動や虚しさなどが描かれている。「わかるわかる」と思える日常の切り取りや、「そんなふうに苦しんでいたのか」と思わせる彼の心の動きなど、人間についてこうもうまく、短歌で表せられるんだなあと感動した。彼の感性の鋭さや、表現力の高さにも驚かされるし、言葉ってすごいなと思った。
また、 -
Posted by ブクログ
なんとなくまた読みたくなったので、文庫版が出たこともあり、買ってみました…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
僕も非正規雇用で働いているためか、著者の心情がよく分かるような気が…それと年齢が僕と近いということもあって、より一層親近感を持って読み進めることができたのでした…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
映画も観ましたがアレはこの歌集の内容を表現できているとは思えませんでしたね…終始、暗いだけの映画でした。ってか、もう内容ほとんど思い出せませんが…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
なんというか…恋? している? 部分は正直アレですね…こちらがこっぱずかしくなってくるという -
Posted by ブクログ
萩原慎一郎(1984~2017年)氏は、早大人間科学部卒の歌人。私立武蔵中・高校時代に苛烈ないじめにあう中、17歳のときに偶々イベントに来ていた俵万智に刺激を受けて短歌を詠み始め、現代歌人協会の全国短歌大会や全日本短歌大会等で各賞を受賞。短歌結社「塔」(永田和宏主宰)、未来短歌会(岡井隆主宰)、りとむ短歌会(三枝昂之主宰)などに参加。高校卒業後もいじめの後遺症が続いたが、早大人間科学部の通信制を卒業し、その後は非正規による仕事を続けながら短歌の創作を続け、角川全国短歌大会準賞、NHK全国短歌大会近藤芳美賞(選者賞)、朝日歌壇賞、全日本短歌大会毎日新聞社賞、NHK全国短歌大会特選等を受賞した。