萩原慎一郎のレビュー一覧

  • 歌集 滑走路

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    心の柔らかいところを針で刺される痛み

    作者の優しさ繊細さ、そして悲しみや怒りが外に向かずどこまでも自分の内側に向かって行く切なさ

    やるせない気持ちと少し心が暖かくなるそんな一冊

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    2025年10月10日
  • 歌集 滑走路

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    32歳の若さで去った歌人、萩原慎一郎さんの歌集

    初めて歌集を読みました。
    恋に食に労働に、命が日々暮らしている中で呟く言葉を口語体で歌われているので、凄く共感できるものが多かったです。
    そして普段感じることのなかった、自分の心の奥行きを感じる事ができました。

    この歌集が作品として素晴らしいモノなのかは分かりません。
    ただ、生きている苦悩や乗り越えようとする足掻きが31文字に込められ、「命」だと思えました。

    自分の在り方に迷っている今、この作品を手に取れたことに感謝です。


    迷い道
    されどもそこも
    滑走路
    まだ見えぬとて
    先にある空

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    2023年08月06日
  • 歌集 滑走路

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    心を掴まれる短歌集。
    もともと短歌に興味はない。世代だが俵万智もスルーしてきた。
    ひょんなことから萩原さんのことを知り、彼の短歌を幾つか目にしたら、もう書店に向かっていた。
    手に取った文庫は思ったより薄くて彼の人生の短さを感じた。
    萩原さんの短歌は閉塞感や絶望感を歌ったものから、若者らしい青春のキラキラを切り取ったものまで。その全てが瑞々しく繊細で、ひたすら優しい。
    それは隣で寄り添いながら背中をさすってくれるよう。だが、その掌からはとてつもないエネルギーを発している。

    私はこの歌集から前に進む力を貰っている。
    若い人に読んでもらいたいと思う。

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    2022年11月19日
  • 歌集 滑走路

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    いっぱい好きな短歌があった
    気持ちの見える何気ない日常の歌が好きだ

    好きなのを3つほど

    頭を下げて頭を下げて牛丼を食べて頭を下げて暮れゆく

    これというものみつからず苦しみし十七歳は歌に出会いき

    至福とは特に悩みのない日々のことかもしれぬ食後のココア

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    2022年05月30日
  • 歌集 滑走路

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    一首目、ニ首目から力強さを感じる。
    「〜なのだ」と言い切っているもの、同じ言葉を繰り返し使っているものがお気に入り。
    他の作品も読んでみたいと思ったが、本書が唯一の歌集らしいので、本書を思う存分堪能したいと思う。

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    2022年01月11日
  • 歌集 滑走路

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    パルスのように響く歌がある。すべてではなく、普通の穏やかな優しく過ぎる歌、その間間に、強く響く歌がある。何度も読み返したい歌集だと思う。

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    2021年11月20日
  • 小説 滑走路

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    ネタバレ

    登場人物の名前をうまく使って
    それぞれの視点から物語が進んでいたことが最後に近づくにつれわかりすごく面白かった。
    また現代の社会問題に触れる部分もあって興味深い作品だった。映画を観たくなった。

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    2021年09月11日
  • 歌集 滑走路

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    小説を先に読んでしまっいて
    その時に感じた「なぜいじめ? なぜ自殺?」という違和感
    それが分かった
    あとがきを読んで。

    歌集はすばらしかった!
    俵万智の歌を見て、これなら書けると勘違いして
    短歌を始めた、と書いてあったけれど
    その気持ちが分かる気がする。
    というか、俵万智さんは恋の歌ばかりなので
    「滑走路」の方がずっとずっと心に沁みる、私には

    手元に置いておくね
    また遭いにいくね

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    2021年08月14日
  • 歌集 滑走路

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    NHKで特集された際ゲストの又吉直樹さんが、歌集から垣間見える作者の人間性について、【生きづらかったんだろうなと思うが】【大好きです】というような発言をしていて、思わず大きく頷いた。だって、この歌集、あまりに優しいから。

    作者は、子どもの頃周囲に馴染めずつまずき、大人になってからは非正規雇用から抜け出せず自分の望んだ生活を送れていなかったようだ。それでも短歌からは、人間へのあたたかい眼差しが感じられて切なくなる。

    短歌が生きる糧だった作者。こうしたい、こうなりたい、じゃあどうしたらいいんだ、と常に足掻いて模索していただろうことが読み取れる。多くの人と同じ、不条理な世間に呑み込まれながらも

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    2021年09月11日
  • 歌集 滑走路

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    詩集というものをほとんど買ったことがなく、たしかNHKニュース9でも取り上げられていて、買って読みたいと思っていた。
    写真を撮影するときにピントが合うような言葉の選び方が上手で、とても感動した。
    著者には生きて言葉を紡いで欲しかった...

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    2021年02月12日
  • 小説 滑走路

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    2021年6冊目。

    映画『滑走路』を先に観賞。

    いじめられていた幼なじみの祐翔の代わりに苛烈ないじめを受ける隼介、
    厚生労働省の官僚として激務をこなし、眠れぬ夜を過ごす鷹野、
    高校の美術教員の夫と暮らす切り絵作家の翠。
    三者三様の物語の交わりが明らかになったときの驚き。
    『歌集 滑走路』から、こんな、つらく、でも、少しだけ希望の見える作品が仕上がるとは。

    優しい人が報われる、生きていける世界でありますように。

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    2021年02月11日
  • 歌集 滑走路

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    映画から入る。
    それはそれ。
    仕事の辛さ、先の見えない生活、届かない想い、、、辛い歌たち。一方で色んなものに向ける優しいまなざしも感じられる歌たち。
    短歌で飛び立ちたかった彼が、飛び立つことが決まった直後に命を絶つほど辛いことがあったのかと思うと胸が締め付けられる。

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    2020年11月29日
  • 歌集 滑走路

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    俵万智さんの著書で紹介されていた1冊
    世の中との折り合いがまだ上手くつかずにもがいている状態を青春と呼ぶのならば、たくさんの青春の歌で満ちている(享年32歳)

    "頭を下げて頭を下げて牛丼を食べて頭を下げて暮れゆく"

    "文学の湯にどっぷりと浸かりたき夜である 三日月の夜である"

    "自転車のペダル漕ぎつつ選択の連続である人生をゆけ"

    『彼が人生を賭けて詠んだ一首一首が、歌集という滑走路を飛び立ち、多くの人の心に着陸している。その様子を、本人に見届けてほしかったし、まだまだ短歌を作ってほしかったという思いは強い。』
    (俵万智『生きる

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    2025年12月09日
  • 歌集 滑走路

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    厳しい現実の中を生きていかなければならない苦しさ、そしてその中の光や希望、あるいはその影を、まさに言葉の中を飛ぶように自由に短歌で表現している。美しい。

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    2024年11月04日
  • 歌集 滑走路

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    著者がどういった人物か、一切の知識なしにたまたま手に取った。
    表紙のデザインが美しかったのと、滑走路、という色々な物語を想起させるタイトルの「歌集」というものに興味を惹かれたからだ。

    読み始めてみると、勢いがあって、静止があって、思考があって、日常があって、現実や当惑や希望があって、ぐいぐい引き込まれるように最後まで読んだ。
    歌集を読む時の習慣で、印象に残った歌には細い付箋をつけるのだが、かなりの数の付箋がついた。
    そして、最後の最後、解説や後書きを読んで、著者が32歳という若さで夭逝したことを知った。

    氏が詠んだ短歌には、色々な想いが練り込まれていたに違いない。未来を感じさせる歌も確かに

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    2024年04月01日
  • 歌集 滑走路

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    昭和20年代、第二芸術論争なるものがあったと聞いている。対象は俳句ではあったが、それは短歌をも巻き込むものだった。「(作家たちは)いつも慄いている。名も知らぬ土地の人の机の引き出しの中に、世紀の傑作が眠っているのではないか、と」出典にあたっていないので正確ではないが、おおよそ以上のような主張に、おおよそ俳人とか歌人とかと言われる作家たちが一斉に反発した。

    現代、歌人と称するためには何が必要なのだろうか?
    公の新聞や雑誌で、歌が頻繁に公開されていること?
    歌集を出していること?

    定義はどうでもいい。
    むかし、おおよそ130年間に詠まれた歌が一冊の文集にまとめられた。万葉集といい、それは130

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    2023年05月23日
  • 歌集 滑走路

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    現代短歌で有名(?)な歌人の萩原慎一郎の歌集で、彼が亡くなる直前に企画・編集され、死後出版された現代的な口語体の短歌を中心とした作品。芸人の又吉や文芸評論家の三枝昴之などによる解説もついている。学生時代のいじめの経験や、「非正規雇用」の中でやりがいを感じにくい仕事と生きがいとしての歌作との間の葛藤、短歌への情熱、日常の感動や虚しさなどが描かれている。「わかるわかる」と思える日常の切り取りや、「そんなふうに苦しんでいたのか」と思わせる彼の心の動きなど、人間についてこうもうまく、短歌で表せられるんだなあと感動した。彼の感性の鋭さや、表現力の高さにも驚かされるし、言葉ってすごいなと思った。

    また、

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    2022年09月25日
  • 歌集 滑走路

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    なんとなくまた読みたくなったので、文庫版が出たこともあり、買ってみました…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    僕も非正規雇用で働いているためか、著者の心情がよく分かるような気が…それと年齢が僕と近いということもあって、より一層親近感を持って読み進めることができたのでした…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    映画も観ましたがアレはこの歌集の内容を表現できているとは思えませんでしたね…終始、暗いだけの映画でした。ってか、もう内容ほとんど思い出せませんが…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    なんというか…恋? している? 部分は正直アレですね…こちらがこっぱずかしくなってくるという

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    2022年01月13日
  • 歌集 滑走路

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    萩原慎一郎(1984~2017年)氏は、早大人間科学部卒の歌人。私立武蔵中・高校時代に苛烈ないじめにあう中、17歳のときに偶々イベントに来ていた俵万智に刺激を受けて短歌を詠み始め、現代歌人協会の全国短歌大会や全日本短歌大会等で各賞を受賞。短歌結社「塔」(永田和宏主宰)、未来短歌会(岡井隆主宰)、りとむ短歌会(三枝昂之主宰)などに参加。高校卒業後もいじめの後遺症が続いたが、早大人間科学部の通信制を卒業し、その後は非正規による仕事を続けながら短歌の創作を続け、角川全国短歌大会準賞、NHK全国短歌大会近藤芳美賞(選者賞)、朝日歌壇賞、全日本短歌大会毎日新聞社賞、NHK全国短歌大会特選等を受賞した。

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    2021年12月14日
  • 歌集 滑走路

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    おそらく、製作年が早いものから順に収録しているのだろう。
    項が進むにつれ、焦燥感というか踠きたいけれど踠けない無力感のようなものが大きくなっているような気がする。
    解説で働くことの苦しさについて、啄木との比較があるが成る程なと思った。萩原氏の歌からは達成感の無い労働への失望のような悲しみを感じた。
    ただ、彼の人生には歌を詠むことによる喜びと救い。そして恋もあったことに安堵した。

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    2021年10月03日