金子ユミのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『ドラマチックじゃない人生なんてない!』
四姉妹それぞれの視点で紡がれる物語。
視点が変わるたび、互いへの思いと抱える葛藤の落差が立体的に浮かび上がり、どんどん引き込まれていった。
父の借金を返し続ける徒労感を「空中に虚しく釘を打ち込んでいるのも同然」と表現する絶望もあれば、プロポーズの「もう宙ぶらりんにはさせない」というセリフから『蜘蛛の糸』の罪人を連想してしまうコミカルさもある。
重い現実と可笑しみが同居する、この作家さんの描く世界観が本当に面白い。
「父親と母親と子どもがいる」という、いわゆる普通の家庭を知らず、幸せの形を掴めずに模索する姉妹。同じ土地に四つの家で暮らす、羨ましくも少し面倒くさい絶妙な距離感。
写真は、失われた脳細胞の代わりになるが
たとえ老いや病で記憶を無くしても、脳細胞が失われても、胸の奥に刻まれた大切な記憶や温もりだけは絶対に消えない。だからこそ、バニラアイスとバナナのエピソードには心から泣けた。あの味覚と温もりこそが、消えない記憶そのものだったのだと思う。
人が生まれて、やがて死んでいく。そんな命の理を見せられた。
確かにそこに居て、周りの人に少なからず影響を与えた。それだけで、その人の人生は間違いなく幸せなのだ。世間的な大偉業などなくても、ドラマチックじゃない人生なんてない。
読後、自分自身の人生も、身近な大切な人たちの生きてきた時間も、愛おしく抱きしめたくなるような。
そんな作品だった。 -
Posted by ブクログ
70年以上の時を越えて描かれる家族の物語。
人生はままならないが、よく飲んで、よく食べて、よく笑う桜子、梅乃、桃音、李花の四姉妹。
いくつになっても姉妹で集まって、飲んで笑えることはとても素敵なことだと思う。
語られる四姉妹それぞれの人生。
特に好きだったのは桜子のエピソード「市電ブギウギ」。微笑ましく、もどかしい気持ちで読みました。
そして、家族のために長く自分の人生を生きた梅乃は本当にすごい。だからこそ「大好きなもの」がどれだけ人生を豊かに、心を満たすのかをわかっているのだと思う。
『みんな自分でいられる。好きなモンに囲まれてる。頼れる。頼られる。』
ひとつの土地にそれぞれの家を建てて住んでいる四姉妹。肉親ゆえの煩わしさもあると思いますが、こんな暮らしもいいかも。
過去を振り返るとき、私も四姉妹のように笑いに溢れた人生でありたいと思いました。
昭和感あふれるストーリーで、タイムスリップしたみたいでした。