秋山聰のレビュー一覧
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聖遺物のキリスト教における位置づけの変遷、産業、美術に与えた影響、そして熱狂の終焉とその後についてコンパクトにまとまっている。聖遺物にも様々なものがあるが、より価値の高いものは聖人そのもの、はっきり言ってしまえば殉教者の遺体である。それらを巡って宗教関係者や王侯貴族、民衆が熱狂し、ひと目見ようと押し寄せていたのである。遺体を見に押し寄せるというと一見奇妙な行為に思えるが、日本においては現在も即身仏を祀り拝むことが続いていることを思い出せばそれほど奇妙とは思えなくなる。また、洋の東西を問わず聖人の遺体を崇敬するという行為が行われてきたということは興味深い。宗教、文化は違えど信仰の根本にあるもの
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Posted by ブクログ
前半は、絵画に描かれている物語の解説。分かりやすい文章で書かれているが、もう少し情報が欲しいところ。
後半は、ざっくりとルネサンス以降の西洋絵画の流れを追っている。
ジョットによるリアル感のある描写。マザッチョの遠近法。ヤン・ファン・エイクの油絵発明による色彩のリアル化。レオナルド・ダ・ヴィンチのスフマートによる柔らかなリアルな肌触り。カラヴァッチョのドラマチックな明暗法。絵画は二次元であることを強調したマネ。輪郭を捨てて光や色彩でのリアルを追求した印象派のモネ。多視点や幾何学的立体を援用し、画家の信じる法則で絵画を描いてよいということを示したセザンヌ。多視点を使ったり、三次元的な空間表現を捨 -
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文章は平易であり、細かく章が分かれているので読みやすいが、今まで「なんとなく」見ていたものを「鑑賞」というレベルにまで底上げしてくれる。
美術に興味を持ち始めた人、好きだけれど体系的に学んではない人向けに良いと思った。大人も子供も関係なく読んで楽しい一冊。
本作は物語と歴史という2つの大きな観点をもとに説明が進む。
物語は、日本人には馴染みのない聖書やギリシャ神話の話が説明される。このあたりは実際の美術館の解説でも書かれがちなので、知っている部分も多かった。あとは、同じ主題テーマでも、画家によって描き方が違うというポイントに注目するとより楽しく鑑賞できそう。
面白かったのは、歴史編。ジョット