【感想・ネタバレ】聖遺物崇敬の心性史 西洋中世の聖性と造形のレビュー

あらすじ

聖人の遺体や遺骨・遺灰、聖人が身にまとったものや触れたものは「宝石や黄金より価値がある」とされ、芳香や光を放ち、腐敗しないと信じられた。死人を蘇らせ、病気や怪我を治し、現世の罪を清めて天国に導く力を持つとされた聖遺物。教会はその聖性と効験を、聖堂の装飾、祭壇画や黄金のシュライン(聖遺物容器)などさまざまな造形で民衆に訴えかける。救済と奇跡を求めたキリスト教社会の熱狂と芸術への昇華の過程を辿る。

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Posted by ブクログ

難しい題名が付いているが、内容はむちゃくちゃ面白かったです。
教会とか大聖堂の好きな人はきっと楽しめるし、そうでない人にもおすすめできます。

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2022年07月19日

Posted by ブクログ

 聖遺物のキリスト教における位置づけの変遷、産業、美術に与えた影響、そして熱狂の終焉とその後についてコンパクトにまとまっている。聖遺物にも様々なものがあるが、より価値の高いものは聖人そのもの、はっきり言ってしまえば殉教者の遺体である。それらを巡って宗教関係者や王侯貴族、民衆が熱狂し、ひと目見ようと押し寄せていたのである。遺体を見に押し寄せるというと一見奇妙な行為に思えるが、日本においては現在も即身仏を祀り拝むことが続いていることを思い出せばそれほど奇妙とは思えなくなる。また、洋の東西を問わず聖人の遺体を崇敬するという行為が行われてきたということは興味深い。宗教、文化は違えど信仰の根本にあるものは同じものであるのだと感じた。

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2018年10月28日

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