トム・ハンクスのレビュー一覧
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「変わったタイプ」
初の小説集。
トム・ハンクスという名前を見た時、同姓同名だと思ったら、調べてみたら本当にあのトム・ハンクスだった。とひと驚き。日本でもよくある作家デビューなのかと期待半分疑い半分でいたら、ちゃんと小説を保った文章と表現、人物描写やストーリー性を感じる。と言うか、アメリカらしさ、そう、カントリーを感じる。ふた驚き。じゃあカントリーさって何?て考えた時、うまい表現が出来ない。完全にアメリカ文学における知識不足である。
しかし、初の小説「アラン・ビーン、他四名」が掲載されたのは、「ニューヨーカー」(2014年10月27日号)は、アリス・マンロー、J・D・サリンジャーのよ -
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かの名優トム・ハンクスの小説家デビュー作短編集。
各所で絶賛されているとのことだが、確かに古き良きアメリカの伝統を受け継いだ、ハートウォーミングでどこか切ない作風が清々しい余韻を残してくれる。
13篇が収められているが、うち3編(「へとへとの三週間」「アラン・ビーン、ほか四名」「スティーヴ・ウォンは、パーフェクト」)は四人組の登場人物が共通している。
また、作集タイトル『変わったタイプ』はタイプライターとも掛けられている。
13篇すべてのお話で、影に日向にタイプライターが印象的なキーファクターとして登場するのだ。
このあたりの巧みさには本当に驚いてしまう。
以下、各話の紹介。
へとへとの -
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もう各方面で絶賛されていて、わたしの感想も同じだからいまさら書くことないなあ、って思うんだけど、とにかくよかった!
今の話もあり、昔の話もあり、タイムマシンが出てくるSFあり、脚本あり、新聞記事の体裁もあり、映画業界の話あり、戦争の話あり、移民の話あり、ロマコメ映画にできそうな話あり、本当にバラエティに富んだ短編が17編。なにがすばらしいって、テーマとしては重かったり悲しかったりするものもあるんだけど、それでも全部が全部、ユーモアがあってファニーで温かい、ってこと。ぜんぜん嫌な気持ちにならない。いかにも「よきアメリカ」って感じがする。
……でも、トム・ハンクスのいい人そうな人柄(っていうか、実 -
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「小説家 トム・ハンクス」のデビュー作は短編集。各所で彼の俳優経験も活きており、全体的に優しい風合い。普段はハッピーエンドより考えさせられる話を選びがちだが、たまには甘いものも食べたくなる。まぁその中にはほろ苦さもあったのだが。。
全17篇をレビューするのは自分にとって至難の業なので、幾つか気に入ったのをピックアップしていきたい。うち数作品には内容が連関しているふしがあるけど、どの話も単品(⁉︎)として満喫できる。おまけにビターとスイートの調和もよく取れている。
『クリスマス・イヴ、一九五三年』
出だしは古き良きアメリカのクリスマスといった風。そこから10年前に遡り、冒頭の幸せは奇跡的に掴 -
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面白くないわけがない。
俳優としてあれだけの役をこなした上、監督や制作でも才能を見せつけて、足りないのは「時間」だけ。
有名であるが為、最初から高いハードルがある。何もしなくても既に名声を得ており、その分やや損しているにもかかわらず…。
とにかく、読み進めていくと登場人物がどんどん映像化されていく。
『ようこそマーズへ』や『特別な週末』は、そのままで「少年の成長」ドラマのエピソードとなり、『ヘトヘトの三週間』『アランビーン、ほか四名』『スティーヴ・ウォンは、パーフェクト』は「おかしな四人のオシャレな生活」となる。
『クリスマスイヴ・一九五三年』は映画『プライベートライアン』のようなドラマに -
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トム・ハンクスが小説を書いたと聞いて驚いた。読んでもう一度驚いた。
知名度に寄りかかって奇をてらうではない、正統派の短編小説である。
しかし、驚くことではないのかもしれない。
脚本も手掛け、監督もこなしたことがある。その才は演じることだけに留まってはいないのだ。
真面目で温かく、ユーモアもあり、ちょっぴりシニカル。
作品の手触りはどこか、俳優としての著者の佇まいにも似ているようにも思われる。
ハンクスは相当な読書家であり、タイプライター蒐集家としても知られているという。
本書中の短編にはタイプライターが渋い脇役・重要な小道具としてそこここに顔を出す。
作品の冒頭にタイプライターの写真が出てく