ドストエーフスキイのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
カラマーゾフの3兄弟+妾腹の子をめぐる長編の第一巻。米川正夫訳が入手できたので読んでみた。この巻はカラマーゾフ父と息子たちとの関係に始まり三男アリョーシャが長男の暴行の尻ぬぐいをしようとするところで終わる。全然家族として機能していないカラマーゾフ家で父親と長男の関係が最悪だが、今まで家族として暮らしてきてもいなかったのだから無理もないかとも思う。それなのに兄たちを愛するだとか兄は必ず謝罪するとか兄に確認もせずに言う三男アリョーシャに「おまえ大丈夫かい?」と言いたくなった。
米川正夫訳の日本語がかなり古い日本語で、その日本語自体が味があって良い感じ。翻訳は1917年から18年にかけて出版された -
Posted by ブクログ
長いし、人間関係が複雑だし、随分前に端役だと思っていた人物が突然現れるし、キリスト教の倫理観と歴史が理解しづらいし、唐突に愛称で呼ぶし…というなかなかハードな本だった。人物一覧表を作りながら読んだ。
ただ、名作と呼ばれるだけあって人間の心理描写力が非常に優れていると感じた。
カチェリーナの、ミーチャやグルージェンカへの愛憎渦巻く複雑な心境。コーリャ少年の背伸びと自尊心。ラキーチンの世の中を小馬鹿にしたような皮肉。スメルヂャコフの嫉妬など…枚挙にいとまがない。
また、(当時の)キリスト教の考え方と倫理観について、微量ながら理解することができたと思う。
本書で取り上げられている問題はキリスト教だけ