柿村将彦のレビュー一覧

  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    あっさりと読めるが、記憶に残る作品。祖父から聞かされた昔話が導入で示されるが、それがリアルです。

    「あとひと月で死ぬ」そう予告された村人が死を受け入れている様子が、リアリティに欠けると思いますが、村外出身の人達の取り乱す描写が、主人公が抱いた感想に通じるこの村の異質性、そして村と外の世界が違うということを表現しているような気がしました。
    特にあちこちに信楽焼のたぬき置物が隣町には置いてある描写。「逃げられない」というのは、この信楽焼たぬきの置物が監視しているから?何故これを置くんだという主人公の指摘に、はっとした。もしかしたら、他の世界には、私たちが伝承で恐れている化け物、妖がマスコットのよ

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    2021年03月03日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    理不尽かつ不可避に村を消滅させる存在と、それによって運命を狂わされていく人々のお話。そもそもが理不尽なので、救いも解決もない。緩やかな極限におかれた中で、どう受け入れ、どう立ち向かうのかそんなお話でした。

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    2020年12月31日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    とても面白かった。そして、じわっと背筋が凍る。さらっと読んでも面白いのだが、そこかしこにイニュエンドゥな示唆に富んでいて、色々と思考をほじくられまくる。読み手の好きな深度で読める感じか。設定が絶妙。本文中に語られない部分がまた、読みながら自動でいくつものパターンを想像していってしまう。のんびりとしたアポカリプトノベル、大変ビジュアル的でバイオレンスシーンもあるのに、何故か若年層にもレコマンドしてしまいそうな一冊。刺さる言葉も多い。

    >「自治会長のとこにも、真岡先生のとこにも芳須先生のとこにも行ったけど、でも言うことは一緒。そういうもんやから諦めなさいって。昔からこの村に伝わってることやからよ

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    2020年12月17日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    「1ヶ月後、(この狸が)村人全員殺して村壊すね」と余命宣告されたのに村人は「しょうがないかー」と残された時間を気ままに過ごす。少しは狸陣営にアクションは起こすけれど、劇的に抗う訳でもないのが逆にリアルで怖い
    雰囲気も単調寄りで掴みどころがなく怖い

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    2025年10月21日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    話の面白さなのか、文章のせいか相当に引き込まれます。この先どうなるんだ?と。
    ただ、内容と結末は結構エグいかな。
    小説を深読みする人には、楽しめるんでしょう。

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    2024年03月31日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    最初から最後の方までマジであっという間でこんなに私衝撃があって内容忘れられないのはこの本くらいかもしれないくらい。
    ただ終わり方があっけなくてえ、、、こういう結末???まーじ???ってなってめっちゃよかった!!とはいえなかったかな、、、世界観が頭の中でどんどん作り出されていく感じはすごく好きだった。

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    2022年02月25日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    1ヶ月後に隕石が落ちて地球滅亡でもなく、病気で余命1ヶ月でもなく、狸に呑み込まれ村が焼かれるまで1ヶ月。言い伝えがあるにしても素直に受け入れすぎなのが奇妙。呪いのせいでもなく、そこが選ばれる理由もわからないのに…。主人公の場合は姉を忘れないために積極的に動くが、単なるパニックものでないところが面白い。映像化できそうだけど、リアルに信楽焼の狸出てきたら怖いからアニメが良い。

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    2021年07月12日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    狸だし、森見さんが推してるし…と帯で購入。
    最初は面白かったけどオチは…という気持ち。

    狸に町が飲み込まれるという割に町の人が「そうなんだ」と諦めるのが早い辺りがナントモ。今どきの世相なんだろうか?と思ったり。そして、納得した後でそれもどうなの?と思ったり。理不尽な事を理不尽なままに受け入れて、受け入れられない人間が行動すると深みにはまる。なんだろう。軽い小説なんだけれども考えてみると結構テーマが重いなぁ。

    信楽焼の狸が火を吐くってスゲーぐらいの感覚で読んだ方が良いのかもしれない。うん。

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    2020年12月24日