柿村将彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレあっさりと読めるが、記憶に残る作品。祖父から聞かされた昔話が導入で示されるが、それがリアルです。
「あとひと月で死ぬ」そう予告された村人が死を受け入れている様子が、リアリティに欠けると思いますが、村外出身の人達の取り乱す描写が、主人公が抱いた感想に通じるこの村の異質性、そして村と外の世界が違うということを表現しているような気がしました。
特にあちこちに信楽焼のたぬき置物が隣町には置いてある描写。「逃げられない」というのは、この信楽焼たぬきの置物が監視しているから?何故これを置くんだという主人公の指摘に、はっとした。もしかしたら、他の世界には、私たちが伝承で恐れている化け物、妖がマスコットのよ -
Posted by ブクログ
とても面白かった。そして、じわっと背筋が凍る。さらっと読んでも面白いのだが、そこかしこにイニュエンドゥな示唆に富んでいて、色々と思考をほじくられまくる。読み手の好きな深度で読める感じか。設定が絶妙。本文中に語られない部分がまた、読みながら自動でいくつものパターンを想像していってしまう。のんびりとしたアポカリプトノベル、大変ビジュアル的でバイオレンスシーンもあるのに、何故か若年層にもレコマンドしてしまいそうな一冊。刺さる言葉も多い。
>「自治会長のとこにも、真岡先生のとこにも芳須先生のとこにも行ったけど、でも言うことは一緒。そういうもんやから諦めなさいって。昔からこの村に伝わってることやからよ