柿村将彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレあと一か月で村ごと死ぬことが決まった人々は・・・
というお話。
設定からしてものすごく暴力的ですが、どこかコミカル、ときどきファンタジック、全体を覆うホラーなカンジが面白かったです。
ズバっとネタバレしてるわけではないんですが、死ぬこととか生きることとかについて、人様におしらせするようなものでもない気がするけど、この本を読んで考えてしまったので書いてしまいます。
あ、でもやっぱネタバレしてますね。あはは。
なので、この先はうっかり読んでしまわれませんように、どうぞ。
信楽焼の狸にそっくりなバケモノと綺麗な女の人がやってきて、一か月後に村全体を丸呑みにするという。
その時点で村にいた人は全員対象になるという。
逃れることはできないという。
呑まれるときは痛くないし、かかわった人々の記憶からも消されるという。
このルールを知った時点で考えたことは「なにそれ、ステキ」でした。
そんな風に生きることをやめられるならラッキーだと。
痛くないし、悲しませることもなく、迷惑もかけない。
お話の中の人々はそんな風に考えているわけじゃないけど、多くが「あららー、マジかー」「来ちゃったかー」くらいの衝撃しか受けてない。まずそこに違和感。
あと一ヶ月で死ぬのだから学校も行かないし、もちろん宿題も提出しないし、蓄財もバーベキューで使ってしまうし、やってはいけないとわかっていることもやる。これには理解。
主人公も最初そんな感じなのですが、ある転機によって記憶を失いたくないと思い、生き延びようと決意する。
しかし、「覚えている」ために生き延びるって何なんでしょう。「ちゃんと覚えていればなかったことにならない」って何なんでしょう。
疎かにしていいこととは思っていないけど、それが生き延びる理由になるのか?わたしにとってはそんなの生きる理由になり得ない。
といってじゃぁオマエの生きる意味はなんなのだと問われれば「死なないからだ」と答えるしかない。
死なない以上生き続けるわけで、生きるのなら少しでも快適に生きたいから、仕事してお金も稼ぐし、愛想笑いもすれば、他人に親切にすることもあるし、自分の意見を通すためにケンカもするのだ。
まぁ、同調はできないが「そういうのもあるかな」と呑み込めたことと、全体的に飄々とした感じがツボだったので、面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあっさりと読めるが、記憶に残る作品。祖父から聞かされた昔話が導入で示されるが、それがリアルです。
「あとひと月で死ぬ」そう予告された村人が死を受け入れている様子が、リアリティに欠けると思いますが、村外出身の人達の取り乱す描写が、主人公が抱いた感想に通じるこの村の異質性、そして村と外の世界が違うということを表現しているような気がしました。
特にあちこちに信楽焼のたぬき置物が隣町には置いてある描写。「逃げられない」というのは、この信楽焼たぬきの置物が監視しているから?何故これを置くんだという主人公の指摘に、はっとした。もしかしたら、他の世界には、私たちが伝承で恐れている化け物、妖がマスコットのような置物として定着しているようなそんな少しの恐怖と妄想が湧きます笑
見せ場という最大の盛り上がりは微妙でした…。