柿村将彦のレビュー一覧

  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    2、3回読んだけど何度読んでも面白い。終わりに向かって、村人それぞれがいろんなふうに壊れていくのが面白い。終わり方が、そんなにハッピーじゃないのもいい。
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    森見登美彦さんが審査員の、日本ファンタジーノベル大賞受賞、そしてたぬきのお話、とくれば、完全に『有頂天家族』的ワールドを想像してしまうというもの。
    社内ベスト本に応募した推薦文より。

    とある田舎町に信楽焼たぬきがやってきた。
    ほんわかファンタジー小説かと思いきや、バイオレンス炸裂!
    人を丸呑みって...続きを読む
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    引き込まれる設定と巧みな文体に魅了されてぐんぐん読み進めてしまった。面白い。
    権三郎狸の出現によって、破滅の運命から逃れようとする人、抗おうとする人、受け入れる人、ベクトルは違えど着実に変化していく村の人々と、それでもどこかに漂う日常の雰囲気の間にギャップがあり、それによって物語がより一層深みを増し...続きを読む
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    物語の端々で、想像が膨らむ。
    「この後って、」「この言葉って…」と読む人によって色んなお話が出来上がりそうです。
    終わりに向けて、どんどん加速していくお話でした。
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    本作の読みどころは、日常では「悪」と見做される行為が、日常が崩壊したそばから仕切りを失って主人公の行為に雪崩れ込んでくるところにあると私は感じた。淡々としているところが、逆に凄まじい。だから、主人公と一緒に、自分の倫理観も麻痺していく。報復、暴行、火付、殺人。つくづく、「善行」なんてものは、極めて条...続きを読む
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    そうか、こういうの、ファンタジーか。
    妖怪話だけど、海外から見ればファンタジーなんだな。
    でも帯に書いてる「ディストピア・ファンタジー」は嘘だろ。どこがディストピアやねん。

    そして、フシギ系ファンタジーではなく、どちらかと言うとかなりのホラーだった。
    グロいとかびっくりとかそういうのではなく、淡々...続きを読む
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    気の強い斜に構えた女子中学生が主人公の1人称。世界の終わりが見えたとき街の人々はどうするか。どこか粘膜人間を思わせるストーリーだった。
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    皆が滅びを受け入れて「せめて死ぬ前に楽しもう」と緩やかに狂ってゆく様子が不気味だった。
    昔話を聞いてしまうと受け入れるしかなくなるのは、希望なのか絶望なのか……。
    たぬきは可愛かったです。
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    祖父から聞いていた、「権三郎狸」の話では、美しい女が巨大な狸を村につれてきて、村の人々を次々と丸呑みにし、誰もいなくなった村に火を放ち、何もかも焼き尽くすのだという。5月はじめの連休、はじめは友達の綾子からの電話にあわてて駆けつけた。権三郎狸が現れたという。信楽焼の狸の置物のような狸を連れた女性あか...続きを読む
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    まずはタイトルのインパクトで手に取ったんだけど、少し読んでみて、なるほどのほほんとした感じの少し不思議なSFだろうなーと。

    読み進めてみたらもっとディープで破天荒な藤子不二雄テイストのファンタジーだったと。気持ちよく騙されたなー。

    暗く陰鬱な雰囲気が漂いがちな閉塞的な村話だし、暴力的なシーンもあ...続きを読む
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    面白かった。
    残り1ヶ月と分かってする行動は人それぞれだなと思った。私なら何をするかな。
    信楽焼の狸について何も知ら無かったことに気づいた。
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    面白かった。賭け値なしに面白い!舞台と設定をこれでもかというくらいに綺麗に進行した作品。登場人物にはあまり魅力を感じなかったが、システムの消費がずば抜けて凄かった。終盤で一気に物語を加速させる様には鳥肌が立った。又、主人公の独白や情景描写も良かった。漠然と良かったとしか言えないが、あまり想像力のない...続きを読む
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
     いやあ凄いものを読んだなあと。活き活きと細部が描かれ、生活の匂いが行間から香り立ちそうなほど艶めかしいのに、ちょっと離れて全体を眺めようとすると、薄ぼんやりとした霞に包まれてしまう感じ。なんとも不思議な読後感。分かるけど分からない。分からないのに分かる。明晰夢な白昼夢を見ていた気分。
     うまく言葉...続きを読む
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    不思議なお話。まさにファンタジー!?
    唐突に始まり、唐突に終わる。
    何このエンディング!?
    面白かったんだけど、話は全然終わらない。
    この後、どうなるの?これから先どうなるの?
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    あと一か月で村ごと死ぬことが決まった人々は・・・
    というお話。
    設定からしてものすごく暴力的ですが、どこかコミカル、ときどきファンタジック、全体を覆うホラーなカンジが面白かったです。


    ズバっとネタバレしてるわけではないんですが、死ぬこととか生きることとかについて、人様におしらせするようなものでも...続きを読む
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    正体不明という怖さ。

    中学2年生の女の子「住谷はじめ」の住む村には、権三郎狸の伝承がある。村に器量の良い娘がやってきて、村にたくさんお金をあげる代わりに自分をしばらく村に置いてくれと頼む。娘は農作業を手伝い、祭りのときには舞を舞い、村に馴染んだ頃、突然いなくなる。娘が去った後に、権三郎狸がやってき...続きを読む
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    女子中学生が主人公で文体は軽い印象だが、舞台は陸の孤島というべき山村、独自の民話にまつわる事件と、じんわり怖さが増してくる。解説の森見登美彦による読み解きも面白い。

    札幌弘栄堂書店にて手書きポップ付きで平積みされていた。出版社の販促ではなく、書店オリジナルのプッシュは読書心をくすぐる。書店員が実際...続きを読む
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    あっさりと読めるが、記憶に残る作品。祖父から聞かされた昔話が導入で示されるが、それがリアルです。

    「あとひと月で死ぬ」そう予告された村人が死を受け入れている様子が、リアリティに欠けると思いますが、村外出身の人達の取り乱す描写が、主人公が抱いた感想に通じるこの村の異質性、そして村と外の世界が違うとい...続きを読む
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    理不尽かつ不可避に村を消滅させる存在と、それによって運命を狂わされていく人々のお話。そもそもが理不尽なので、救いも解決もない。緩やかな極限におかれた中で、どう受け入れ、どう立ち向かうのかそんなお話でした。
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)
    とても面白かった。そして、じわっと背筋が凍る。さらっと読んでも面白いのだが、そこかしこにイニュエンドゥな示唆に富んでいて、色々と思考をほじくられまくる。読み手の好きな深度で読める感じか。設定が絶妙。本文中に語られない部分がまた、読みながら自動でいくつものパターンを想像していってしまう。のんびりとした...続きを読む