柿村将彦のレビュー一覧

  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    全員狸に丸呑みにされて滅びることが決まった村の、最後の一ヶ月。ある意味終末もの?
    狸の怪異自体よりも、終わりを突きつけられて静かに呑気に狂っていく村人たちの様子が怖かった。
    敢えて余白を残した終わり方が印象的で他の読者とあれこれ語りたくなる!

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    2024年10月29日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    自身の身の丈では思いの全ては叶えることが出来ない、抗うことの出来ない運命。日々の生活の中で感じることでもある話であり、長くを見れば人の一生も同じようなものだと思う。この幸せが未来永劫に続けば良いと思う時があるがそれは叶わない話。
    ファンタジーであり、ホラーであり、シュールであり、ユーモアでもあり、登場人物は、立場・環境の違いがあり、さまざまな思いや考えから色々な行動を起こすため、それぞれに妙な人間味を感じた。
    読む人によって、様々な捉え方、感じ方が出来そうな話だ。私は切ない気持ちになってしまったので次は明るい気持ちになる小説を読もうと思ったが笑、読み終えて、一日一日を大切にして、前を向いて、

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    2024年08月11日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    2、3回読んだけど何度読んでも面白い。終わりに向かって、村人それぞれがいろんなふうに壊れていくのが面白い。終わり方が、そんなにハッピーじゃないのもいい。

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    2024年03月10日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    引き込まれる設定と巧みな文体に魅了されてぐんぐん読み進めてしまった。面白い。
    権三郎狸の出現によって、破滅の運命から逃れようとする人、抗おうとする人、受け入れる人、ベクトルは違えど着実に変化していく村の人々と、それでもどこかに漂う日常の雰囲気の間にギャップがあり、それによって物語がより一層深みを増している。「全てを諦めきった人が醸し出す静かな絶望」という感じ。それを中学三年生の少女の目線から描ききった作者の発想力、観察力、表現力は素晴らしいと思う。新潮文庫の解説は森見登美彦氏だが、森見の作品が好きな人には特におすすめです。

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    2023年02月12日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    物語の端々で、想像が膨らむ。
    「この後って、」「この言葉って…」と読む人によって色んなお話が出来上がりそうです。
    終わりに向けて、どんどん加速していくお話でした。

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    2021年02月06日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    本作の読みどころは、日常では「悪」と見做される行為が、日常が崩壊したそばから仕切りを失って主人公の行為に雪崩れ込んでくるところにあると私は感じた。淡々としているところが、逆に凄まじい。だから、主人公と一緒に、自分の倫理観も麻痺していく。報復、暴行、火付、殺人。つくづく、「善行」なんてものは、極めて条件付きの世界でしか航行できないやわな船なんだと思わされる。
    ファンタジーノベル大賞は、私の中ではまだ信頼できる賞モノのひとつ。酒見賢一氏しかり、森見登美彦氏しかり。今回もいい感じ。読み手に媚びてない作品は、よい。含みの多さも大いに歓迎できる。地名の消滅、自治体の消滅、死の遠さ、余命宣告を受けた後の生

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    2020年12月31日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    そうか、こういうの、ファンタジーか。
    妖怪話だけど、海外から見ればファンタジーなんだな。
    でも帯に書いてる「ディストピア・ファンタジー」は嘘だろ。どこがディストピアやねん。

    そして、フシギ系ファンタジーではなく、どちらかと言うとかなりのホラーだった。
    グロいとかびっくりとかそういうのではなく、淡々と静かに、存在について考えてしまう怖さ。和風ホラーですねぇ。

    そして、色々な点が説明ない系でもあるが、これこそまさに昔話というか民話というか、とにかく良い。

    本屋で衝動買いして、帰りのマクドで1時間ほどで一気に読み終わってしまった。

    姉がいなくなるときも怖いが、主人公が姉を襲った相手を角材3本

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    2020年12月21日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「私たち丸呑みにされちゃうらしいよ」「そっか、じゃあ宿題やっても意味ないか」とズレた倫理観のままふわふわと話が進んでいくかと思うと、起承転結の転のところで急に「なんで大人しく受けいれてるんだ私は、変えられないと思うものでも変えてしまえばいいんだ!」と思い、「じゃあ殺すか」と極端な破壊行動に飛びつくあたり情緒が安定してなさすぎる。
    かと思うと、結局やる気になったからといってなにが変わることもなく、逆に諦めとか受け入れとかそういう負の方向の劇的な変化もなく、すっと幕が引かれていく。
    読み終わっても権三郎狸という不気味な存在があまり不気味に感じられないという不気味さがあっていいなと思う。

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    2024年09月10日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    気の強い斜に構えた女子中学生が主人公の1人称。世界の終わりが見えたとき街の人々はどうするか。どこか粘膜人間を思わせるストーリーだった。

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    2023年09月16日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    皆が滅びを受け入れて「せめて死ぬ前に楽しもう」と緩やかに狂ってゆく様子が不気味だった。
    昔話を聞いてしまうと受け入れるしかなくなるのは、希望なのか絶望なのか……。
    たぬきは可愛かったです。

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    2023年07月31日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    祖父から聞いていた、「権三郎狸」の話では、美しい女が巨大な狸を村につれてきて、村の人々を次々と丸呑みにし、誰もいなくなった村に火を放ち、何もかも焼き尽くすのだという。5月はじめの連休、はじめは友達の綾子からの電話にあわてて駆けつけた。権三郎狸が現れたという。信楽焼の狸の置物のような狸を連れた女性あかりによると、5月30日に村の人達を飲むことが決まっているという…。

    おそらく新人の作家で、ネット感覚の言語感のため、非常にスピード感のある文章である。時々主語が飛んだり、てにをはが抜けたりするも、それほど読みにくいと感じない。

    ほのぼのアニメの原作のような話かいなと読み始め、途中までは「あ、私達

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    2023年03月30日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    まずはタイトルのインパクトで手に取ったんだけど、少し読んでみて、なるほどのほほんとした感じの少し不思議なSFだろうなーと。

    読み進めてみたらもっとディープで破天荒な藤子不二雄テイストのファンタジーだったと。気持ちよく騙されたなー。

    暗く陰鬱な雰囲気が漂いがちな閉塞的な村話だし、暴力的なシーンもあるのに何故かあっけらかんと明るい。ある種バッドエンドなのに微笑ましい。

    受け入れ難い現実をまぁいっかと諦観で受け止める人たちを見てるから、読んでる方もまぁこんな終わり方でもいっか、ってなるのかしらん。

    ボリューム感も程よくキレイな作品だった。

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    2022年12月22日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    面白かった。
    残り1ヶ月と分かってする行動は人それぞれだなと思った。私なら何をするかな。
    信楽焼の狸について何も知ら無かったことに気づいた。

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    2022年07月26日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    面白かった。賭け値なしに面白い!舞台と設定をこれでもかというくらいに綺麗に進行した作品。登場人物にはあまり魅力を感じなかったが、システムの消費がずば抜けて凄かった。終盤で一気に物語を加速させる様には鳥肌が立った。又、主人公の独白や情景描写も良かった。漠然と良かったとしか言えないが、あまり想像力のない僕も世界観に上手くのめり込めることが出来たのだからとても素晴らしかったのだろう。ただ、後半の加速分、少しだけ前半が退屈だった。登場人物を魅力的に思えればそうではないのかもしれないが。何にせよ、良い作品だった。

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    2022年06月02日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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     いやあ凄いものを読んだなあと。活き活きと細部が描かれ、生活の匂いが行間から香り立ちそうなほど艶めかしいのに、ちょっと離れて全体を眺めようとすると、薄ぼんやりとした霞に包まれてしまう感じ。なんとも不思議な読後感。分かるけど分からない。分からないのに分かる。明晰夢な白昼夢を見ていた気分。
     うまく言葉で感想をまとめることが出来ないけど、この作品を長編としてまとめ上げた手腕の見事さに舌を巻く。くどくどと長ったらしい感じを微塵も感じさせず、読後感は短編を読んだ時のそれに近い。
     おそらく、これを映像化するのは大して難しくはないと思う。ラストだけCGでちょいちょいとやればいける。ただ、この作品の根幹と

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    2021年09月03日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    不思議なお話。まさにファンタジー!?
    唐突に始まり、唐突に終わる。
    何このエンディング!?
    面白かったんだけど、話は全然終わらない。
    この後、どうなるの?これから先どうなるの?

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    2021年07月20日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    あと一か月で村ごと死ぬことが決まった人々は・・・
    というお話。
    設定からしてものすごく暴力的ですが、どこかコミカル、ときどきファンタジック、全体を覆うホラーなカンジが面白かったです。


    ズバっとネタバレしてるわけではないんですが、死ぬこととか生きることとかについて、人様におしらせするようなものでもない気がするけど、この本を読んで考えてしまったので書いてしまいます。
    あ、でもやっぱネタバレしてますね。あはは。
    なので、この先はうっかり読んでしまわれませんように、どうぞ。


    信楽焼の狸にそっくりなバケモノと綺麗な女の人がやってきて、一か月後に村全体を丸呑みにするという。
    その時点で村にいた人は

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    2021年06月13日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    女子中学生が主人公で文体は軽い印象だが、舞台は陸の孤島というべき山村、独自の民話にまつわる事件と、じんわり怖さが増してくる。解説の森見登美彦による読み解きも面白い。

    札幌弘栄堂書店にて手書きポップ付きで平積みされていた。出版社の販促ではなく、書店オリジナルのプッシュは読書心をくすぐる。書店員が実際に読んで惚れ込んでおススメしているのがわかるから。結果、大正解。

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    2021年04月18日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    あっさりと読めるが、記憶に残る作品。祖父から聞かされた昔話が導入で示されるが、それがリアルです。

    「あとひと月で死ぬ」そう予告された村人が死を受け入れている様子が、リアリティに欠けると思いますが、村外出身の人達の取り乱す描写が、主人公が抱いた感想に通じるこの村の異質性、そして村と外の世界が違うということを表現しているような気がしました。
    特にあちこちに信楽焼のたぬき置物が隣町には置いてある描写。「逃げられない」というのは、この信楽焼たぬきの置物が監視しているから?何故これを置くんだという主人公の指摘に、はっとした。もしかしたら、他の世界には、私たちが伝承で恐れている化け物、妖がマスコットのよ

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    2021年03月03日
  • 隣のずこずこ(新潮文庫)

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    理不尽かつ不可避に村を消滅させる存在と、それによって運命を狂わされていく人々のお話。そもそもが理不尽なので、救いも解決もない。緩やかな極限におかれた中で、どう受け入れ、どう立ち向かうのかそんなお話でした。

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    2020年12月31日