ありがとうぁみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
事の始まりは、幽霊が怖いかどうかって言う話だったと思う。男ってのは何で下らないことで競いあったりするんだろう。そのせいで俺は肝試しに付き合わされる羽目になったんだ。そのせいであんな怖い目にあっちゃって、なんて酷い話なんだ。
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こちらも別シリーズの怪談集。かなり前に買ってやっと読んでみた。販売当初はちょっとはやってた気もするが、どうだったか。 さて、こちらは「5分後の隣のシリーズ」ということなので、一話一話が読みやすくさらさらと読める。
一話一話が短めなのだが、原作者が怪談師のありがとう・ぁみさんだけあってなかなかにショッキングで怖い。そして話も怖いのだが、挿絵がややリアル寄りで怖い。挿絵単体で見てもかなり怖い。これが小説のセリフの一部として組み込まれていたり、意表を突くように次ページに割と大きく乗せられていたりして、読んでいてわっ、となってしまった。こちらの本の対象年齢が調べてみると小3、小4とのことだが、怖いの読みなれてる子でもギョッとするし、耐性がないと泣いてしまいそう。それぐらい怖かった。
思い返すとどの話もまんべんなく怖かったが、その中でもぞーっとしたのは、「廃墟がまんくらべ」、「本二冊分の空間」、「こたつ生活」。「廃墟がまんくらべ」は語り手が、友人二人とで心霊番組を見ていた。その後各々が幽霊が怖いかどうかの話になってしまう。怖い、怖くないの問答が続き、次第に怖くないのならあるゲームをして証明しようという話に。その時点で、引っ込みがつかなくなっていた三人は、一家心中があったことで有名な廃墟に行くことに。三人はびくびくしながら廃墟に侵入し、それぞれ強がってはいるが、戦々恐々としている様子がよくわかる。後悔しつつ3人は父親が起こしたとされる一家心中事件があった家に赴く。闇の中にひっそりと建つ家は不気味そのもので、しり込みしつつ、中に入ると生活感が残っていて殊更に気持ちが悪い。何とか冷静さを保ちつつ、2階にある書斎に侵入すると、まさにそこが事件現場のようで、まだ痕跡が残っていた。生々しい有様に息をのむと、突然廃墟に残っている電話が鳴り響く。 ここから先が怖くて仕方がなかった。最初に言ったが本当に挿絵が怖い。怖いのだ。
この挿絵が小説の一部になっているものだから、見ない訳にもいかないのが、中々に意地悪だ。 その挿絵があるから余計想像力が働いて、語り手たちがどういう状況にあるのかが手に取るようにわかってしまう。この話だけ昨日の夜に読んだのだが、読んで後悔してしまうほどだった。「本二冊分の空間」は学校の委員会活動で図書委員になっている語り手が体験した恐怖体験。先生に言われ、返却された本などを棚に戻す作業をしていた語り手。本を戻しながら、面白そうな本を物色していると、本が棚から落ちていることに気が付く。不審に思いながらも、棚に戻し別の棚を物色していると、また本が落ちていた。訝しみながらも、本を戻すと今度は目の前で2冊本が向こう側から押し出され、落ちる瞬間を目撃。何かあるのかと棚をのぞき込むと、同じくこちらをのぞき込む目と、視線が合ってしまった。一瞬驚いた語り手であったが、すぐにクラスメイトのいたずらだと思いなおし、正体を突き止めるか否かを考えながら、その空間を見つめていると、驚かせてきた相手がとんでもない事を始めてきた。 これも怖くて気味の悪い話だった。
何気ない日常に差し込まれた恐怖体験で、ただ委員会の仕事をしていただけなのにこんな怖い目にあうなんて語り手はなんてついてないんだろう。さっきから挿絵の話しかしてないが、これも挿絵がいい仕事をしている。この話の挿絵は小さくて先程の話ほどの主張はないのだが、絵の描き方がうまくて、今まさにその状態だというのをとても分かりやすく示している。これが妙な臨場感を生んでいて、語り手の恐怖心がこちら側に伝播してきそうだ。この挿絵のどの辺りが怖いと言いたいがそれだと、ネタバレになってしまうので我慢我慢。
語り手は図書委員になったばっかりで、まだまだこれからなのだが、こんな体験をして続けられるのだろうか……。 「こたつ生活」はこたつをこよなく愛する語り手が体験した恐怖。母親と言い争いながら、こたつを勝ち取った語り手。夜が遅いこともあり、ついうとうとと眠り込んでしまう。ふと目を覚ますと、こたつの中で何か触れ合うものがある。最初は家族の誰かが足を突っ込んだと思ったが、部屋は真っ暗でどうも違うらしい。不思議に思いながら、こたつ布団をめくりあげ、中を覗くとそこには衝撃的なものが潜んでいた。
この話は、読んでいて気持ちの悪さに鳥肌が立った。コタツの中にいたものも怖くて気持ちが悪いが、そのいた者がしていることも気持ち悪い。どんな意図があってやってるの……。怖い。 相手は怖がらせようとしているのかわからないが、その光景を想像してゾゾーっ。気味が悪い。コタツはせっかく憩いの場なのにそんなことをされると、足を突っ込むのをためらってしまう。 そしてやっぱり挿絵が気持ち悪かったなぁ。 なんだか、挿絵の話ばっかりだが、この挿絵が本当にいい仕事をしているのだから仕方がない。
挿絵+話の相乗効果でかなり話の恐怖度が上がっており、大人の自分でもかなり楽しめたし、怖かった。全部で24話入っているのだが、一気に読み終わってしまうほど。ここでは紹介していないが、引っ越し業者の話や、塾の帰り道の話も怖かった。本当に全編通して怖くて、最後まで気の抜けない一冊だった。 -
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僕のすむ村には、入っちゃいけないっていわれる山があるんだけど、入っちゃいけないっていわれると、入りたくなる。でも、その山へ続く橋は他の橋とは全然違ってて気味が悪かった。今思えば、あそこでやめておけばよかったんだ。
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久しぶりの読書。しばらくヒスイ地方で延々ポケモンを捕まえていたり、なんだりかんだり。レイワ怪談シリーズも早くも5冊目。既刊はこれで読み切り、今後の展開を楽しみにするというところである。今回の巻もゾッとする話ももちろんあるが、やや怖さは控えめでマイルドだと感じる。
1冊目がかなり怖かったので、ちょっとやさしめにしようということにやはりなったのかも?そんな中でも怖かったのは「山の学校」、「禁足地」。「山の学校」は小、中学生に向けて行われる林間学校のようなイベントで起こった出来事。中学生である語り手は、参加している小学生の面倒をみる立場にある。 それ自体は問題がないのだが、今から行われようとしている催し物に問題があった。夜の森を使っての肝試しである。怖い物やお化けにめっぽう弱い語り手は、この催し物が嫌でしかたがない。
小学生をサポートしなくてはいけないので、行かないわけにはいかないし、上級生として取り乱すわけにもいかない。自分の状況を憂いでいると、ボランティアとして参加している姉が、からかいの声を投げかけていた。他人事だと思って面白がる姉に立腹しながら、いよいよ自分の番になった頃、姉が見知らぬ女が混じっていたと言い出す。また、そんなことをいって怖がらせようとしているのだと思った語り手は、この発言をスルー。しかし、既にこの時から、語り手を襲う恐怖はそこまで来ていたのだった。 楽しいはずのイベントで見舞われた恐怖体験。
参加したくない肝試しをこわごわ終わらせ、一息ついている語り手に追い討ちをかけるようだった。この肝試しでなにか起こるのでは?と思っていたが、本当に怖かったのはそこから先の話。肝試しなんて、怖くともなんともなかったと思わせるほどの恐怖。避けたいのに避けられない、むしろ自ら向かっていってしまった語り手はこの後、果たしてどうなってしまったのだろう。この後何があったかは明らかではないが、存在を見つけてもらっただけで満足してくれていたらいいが……。
「禁足地」は入ってはいけない山をめぐる話。小学生である語り手のすむ村には、足を踏み入れてはいけない山があった。その山は『御山』と呼ばれ、長年禁足地として言い伝えられている山らしい。しかし、入ってはいけない明確な理由があるわけではない。理由もなく入ってはいけないと言われれば、真相が知りたくて入りたくなるのが人の性。禁足地である御山は、語り手の冒険心をくすぐるに十分すぎる存在だった。仲のよい友人ふたりと連れだって、御山まで赴いた語り手であるが、語り手達と御山とを隔てる川に掛かっている橋の異様さに早くも来たことを後悔しはじめていた。
怖じ気づき、帰ろうかという相談を始める語り手と気の弱い友人。しかし、もう一人の怖いもの無しの友人が、一人で行ってくると言い出す。とんでもない事を言い出した彼に面食らっていると、明らかに雰囲気がおかしい。いつものハツラツとした表情はみる影もなく。虚無をたたえた無表情。あまりの変貌ぶりに再びぎょっとしていると、不気味な笑みを口の端にはき、制止の声を振り切って、彼はそのまま橋を渡って山に分け入ってしまった……。
何人たりとも足を踏み入れてはならないとされる禁足地。入ってはいけないといわれているが、明確な理由を知る子どもはいない。だから理由が知りたいし、何があるのか知りたいというのが人間だろう。というか、この手の怪談は何で入っちゃいけない理由を子どもにいわないのだろう。大体大事に至った後に「実は……」と話し始める。まさにそこはセオリー通りだが、言っておけばこんなことにならなかったのでは?というのは無粋だろうか。理由が神聖なものならあんまり効き目はないかもしれないが、この度の理由はかなり不穏なものだ。
小学生だったとしても、かなり恐怖心をあおられ近づくこともためらっただろう。出来事自体は大昔にあったことだし、村の負の歴史をわざわざ子ども達に知らせることもなかろうと、隠していた大人達だがそれが完全に裏目に出てしまっている。橋を渡ってしまった語り手の友人は向こう側で何をみて、どんな目にあってしまったのだろう。友人がすでに語る術を持たない今となってはわからない。友人があまりひどい目に合うことなく……。ということを祈るばかりだが、負の歴史の忌まわしさを考えるに、多分そうはいかないだろう。
あと、それともう一つ。先では紹介しなかったが、お気に入りの話を。 「懐かしい広場」というタイトルのこの話は怖い話ではなく、感動する話でもなく、どこか物悲しさを含んだ怪談。地元に帰ってきた語り手が、子どもの頃の思い出を思い返しながら実家へと足を進める。その途中、よく遊んだ公園へ立ち寄った。懐かしい遊具を眺めつつ、さらに奥に足を進め昔遊んだ広場へ行こうとするが、道は途絶えそこにはたどり着けない。たどり着けないことを何となく知っていた語り手だったが、たどり着けない悲しさと寂しさに思わず胸を締め付けられてしまう……。
子どものころにだけたどり着けた公園の奥の広場。そこだけ聞くと素敵なファンタジーだが、大人になってしまったことによってその場所を失ってしまった語り手の心情を考えるとそうでもない。大人になることによって子供の頃に抱えていたものを失ったり、あきらめなくてはいけなくなったりするものだが、それがより一層感じられて、大人の私が読むと胸に刺さって逆にきつい。ひとしきり遊んだ後、帰るときに見た夕日が沈んで紫色になった空を見た時のような寂寥感が胸いっぱいにこみあげてきた話だった。
感想を書きながら、本をめくると、やっぱり怖い話が多いような気がする。私が怪談を読みすぎて慣れてしまったのか?それとも、感動する話が頭に残ってしまって、そのほかの怖さが薄れてしまっているのか。 どちらなのかちょっと判別がつかないが、12月に発売される予定の新刊が楽しみ!
(新刊3月だと思ってたけど、まさかの12月。ほぼ1年後……) -
Posted by ブクログ
友達の佐藤が、塾の帰りに看板につられて変な場所に迷い込んだらしいんだ。それが、佐藤家の葬式会場だって。佐藤なんて名字全然珍しくないけど、なんだか不気味だよな。でも、本当に不気味なのはそこから先だったんだ。
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レイワ怪談早くも4冊。既刊が全5巻なのでやっと追い付いた!3月に新刊が出る様子なので、この後最後の一冊を楽しんで新刊に備えたいところ。さて、巻によって怖さが違うレイワ怪談シリーズであるが、この度の巻はなかなかに怖かったのではないだろうか。一話感動する話か……。と思っていた話が実はそうじゃなかったとか、事故物件の話とかがあり、なかなかのボリューム。純粋に幽霊がでてきて怖い話や、不可解で気味の悪い話などいろいろな怪談話がズラリと綴られていた。今回は別の話と繋がっていたりと少し凝った作りになっていたのもおもしろかった。お気に入りの話は「お葬式」、「深夜2時、着信アリ」、「事故物件」。
「お葬式」は塾帰りに語り手の友人である佐藤くんが遭遇した奇妙な葬式の話。塾帰りにふと目に入った「佐藤家葬式」の立て看板。看板はどうやらどこかの佐藤さんの葬式会場へ案内する看板のようだ。
珍しい苗字ではないが、何となく気持ちの悪さを感じたと語る佐藤。しかし、好奇心が勝ったのか、看板を追ってその先を目指してみることに。誘われるように看板を次々追って、たどり着いた葬式会場で、なんともいえぬほど居心地の悪い葬式が行われていたという。 これはなかなかに気持ちの悪い作品。オチが一番怖いのと、ネタバレなので詳しくは話せないが、佐藤くんがたどり着いた先で見たものにぞっとした。思わず鳥肌が立つほどに。この奇妙な出来事を語り手に教えてくれた佐藤くんは一体全体どういう因果でここにたどり着いてしまったのか。
ある意味での未来視のようなものなのか、それともたどり着いてしまったがゆえに迎えてしまった結末なのか。でも、もし未来視なら参列者の薄気味悪さが意味不明だし。怖さで言えば後者の方が恐ろしいが、果たしてどうだろう。佐藤くんは、看板に誘われ、一体全体どこへ迷い込んでしまったのだろうか……。
「深夜2時、着信アリ」は、亡くなってしまった親友から死後も送られてくるLINEメッセージをめぐる怖い話。深夜に突然亡くなってしまった親友が、自分がなくなったことに気づいていないのか、はたまた寂しさを紛らわせるためなのかLINEメッセージを送り続けてくる。内容は、真夜中にもかかわらず「今から会えないか?」という内容。初めは恐怖心が勝っていたが、回数が増え、生前と全く変わらぬ様子に慣れてきたのかだんだん、他愛のないものだと思う様に。ただメッセージを送って来るだけで、害はなさそうなのでスルーしていた語り手だが、後々にその選択が誤りだったと思い知る羽目になる。 この話は、何となくいい話風で終わるのかなとか、誘いに応じない語り手にしびれを切らした親友が襲ってくるのかなと思っていたが、オチを読んでびっくり!やっぱりこの話もオチが重要なのでそこは割愛。しかし、思い込みというのは怖いというかなんというか……。この一連の恐怖を生み出しているものは、何というか連鎖する呪いのようなものなのか?語り手が最後にいろいろ考察していたが、もし語り手の考えていることが正しければ、一番初めの始まりはどこだったのだろう? 友人の前がいたのか、友人が始まりなのか。どこからが始まりだったとして、何が原因で個の連鎖が始まってしまったのか……。非常に疑問が多く残り、多くが語られない話。だが、だからこそ様々な可能性が考えられ恐怖が増幅された。真相は気になるが、それ以上先を語り手が話すことができるのだろうか?
「事故物件」は語り手の住む部屋で起った奇妙な出来事を発端とした恐怖。職場から仕事の疲れを引きずりながら帰宅していると、住んでいるアパートの一室に電気がともっているのが目に入った。明かりが漏れ出るカーテン越しに誰かが身を躍らせている。なんとなしにその光景を見ていると、ふと、あそこは私の部屋ではなかったかという気がしてくる。しかし、自分は一人暮らしで、電気は消して出勤している。
誰かいるはずがないのだ。だとしたら泥棒だろうか……。ありえないと思いがらも、緊張しつつ鍵を開けるとドアは確かに施錠されており、電気もついていない。気持ちの悪さは胸中に残っていたが、やはり先ほどのものは見間違いだったのだと、思い直し部屋に入る語り手であった。しかし、それを皮切りに語り手は恐怖の日々に引きずり込まれる。 大好物の事故物件モノに思わずにっこり。内容は到底にっこりできるようなものじゃないけれども。語り手の部屋で帰宅時間帯に繰り広げられる、カーテン越しの影絵。
踊るように、暴れるように動きまわるその様子は不気味そのもの。不審者か、ストーカーか泥棒か。様々な可能性を考えたが、語り手が部屋につく頃には部屋の電気も消え、鍵もかかっていていままで人がいたような気配もない。それが輪をかけて不気味で気味が悪くて仕方がない。会社の同僚と様々な可能性を考えては消し、考えては消しを繰り返す中で、正体は幽霊であり語り手の住む家は事故物件ではないかと言う結論に至る。その結論に至ってから、展開はまさに急転直下。驚く間もない程のスピードで話が進んでいった。
同僚が事故物件のデータベースで調べた結果、やはりそうであったらしいが、どの様なことがあったのかは語り手が聞いても教えてくれず、「早く引っ越した方がいい」というばかりだった。最初は冗談めいた態度で事故物件かも、と言ってた同僚が頑なに教えてくれないあたり、余程凄惨なことがあったようだ。
(挿絵と語り手の記憶がない間の語り手の狂乱っぷりを見ると大体何があったかは察しがつきそう)これ以上この部屋で暮らし続ければ、取り返しのつかないことが起こりそうで、怖い。語り手は早急に引っ越すことをおすすめしたい。
紹介した3話以外にも怖くて、不気味で思わず身震いする話がたくさん入っていて、楽しい1冊だった。是非読んでみて、好みの怖い話を見つけ恐怖しながら読んで欲しい。 -
Posted by ブクログ
立地が悪いわけでもないのに新しい店が入っても、直ぐにつぶれちゃう場所ってみんなのまわりにもあると思うの。流行って無い訳じゃないのに、何故かいつの間にかなくなってる。そんな場所が。
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レイワ怪談シリーズ、早くも三冊目。私がこの本の雰囲気に慣れてきたのか、それとも怖い話ばかりだと対象年齢層には怖すぎると判断されたのかだんだん怖さが少なくなっている印象。怪談に絡めた教訓話のようなものも出てきて、純粋に怖い話からはちょっと路線変更したのかもしれない。(児童書なので)
怪談本なので怖い話(上記では路線変更したのかといっていたが、怖い話の方が比率は圧倒的に高いのでご心配なく!)はあったので、その中からお気に入りの話をいくつかチョイス。 お気に入りの話は「つぶれる店」、「覗かれる」、「学級閉鎖」。
「つぶれる店」は、商店街に一か所だけ、なぜかどんな店舗が入ってもすぐに閉店してしまう場所をめぐる怖い話。 非常に活発な商店街に、たった一か所どのジャンルの店が入ってもすぐにつぶれてしまう場所があった。語り手の記憶をたどるだけでも、4~5回以上は店舗が入れ替わっており、その店舗全てが何か問題を起こしたり、変な噂があったりという話を聞かない店ばかり入れ替わる。むしろ流行っていたのに、突然何の前触れもなく閉店したりしていた。商店街の中にあるので、立地が悪い訳では無いのに何故だろう、と思案していると、不意に店舗の横側にある小窓に何かあるのを見つける。その内側でなにかうごめいている気がするのだ。気になって覗き込もうとすると、空き店舗の隣で店を構えている寿司屋の大将に、覗き込まない方がいいと止められた。怒られると思っていた語り手は、まるで自分を案ずるような止め方に、不審に思っていると、寿司屋の大将の口からこの空き店舗が抱える恐ろしい過去を知ることになる。 場所に関係する怪談、店舗や家屋に関係する怪談は本当に素晴らしい。場所にとどまった呪いというのか、穢れというのか一度そこでよくないことが起こると、その後にそこに滞在した人たちも一様にして不幸になったり、酷い目にあったりする。一番最初にその店舗で事を起こしてしまった店主に、何があったのかはわからないが、相当思い詰めての行動なのだろう。その後も、その場にマイナスの感情が留まり続けて、渦巻いてしまった結果全てを排斥する様な有り様になってしまったのだろう。 いまだにそこに留まり続ける者の胸中たるや。しかし、後から入ってきた人たちも、自分の店舗を持つと言う夢を胸に抱えてやってきたのだから、その者の胸中がいかにと言えど、理不尽極まりないのは変わり無い。
「覗かれる」は語り手の住むマンションで起きた怪異。語り手はいつも通りベランダで洗濯物を干していると妙な視線を感じた。そちらを見てみると、隣室のベランダの仕切りから男が目をかっと見開いてこちらをのぞいている。
常軌を逸している表情に、驚きながらも声をかけるが、反応はない。不審に思っていると、語り手は突然ある事実を思い出し、恐怖にかられ部屋へと急ぎ戻る。語り手の記憶が正しければ、隣は空き部屋だというのだ……。 安心できるはずの我が家に襲い掛かる恐怖体験。覗いていた男をめぐる話で、この覗いてきていた事件を皮切りに、次々と怖いことが起こり続ける。覗いてきていた男は、見つけてくれたことがうれしかったのか知らないが、ただの隣人である語り手の前に異様な姿でたびたび現れる。何か伝えたいことがあるのか知らないが、現れる姿が異様すぎるし、男の現状を知った今、とてもまともに相手できる手合いではない。何度も何度も異様な風体を見せられる語り手の身にもなって欲しいものだ。最後の最後、この生活に耐えられなくなった語り手が、引っ越しをする前日の夜寝ている時にも表れ、しかもそのあらわれ方がかなり最悪だった。完全に悪意があるか、何か伝えたいことがあったにしても、あまりに一人よがりすぎる。というか、招いてないのにどうやって中に入ってきたんだ……。あまりに怖気の立つ話だった。
そしてこの話は話自体も怖いが、挿絵も不気味そのもの。久しぶりに怖い挿絵を見れて満足である。(ほかの話も怖いが、ダントツに怖かった)
「学級閉鎖」は語り手が小学生時代の友人と再会したことで思い出される恐怖。夜に急にラーメンが食べたくなった語り手は、おのれの欲望に負けラーメンを食べに行くことに。席に座ってラーメンを待っていると、自分の名前を呼ぶ懐かしい顔が入り口から入ってくる。 近況報告や思い出話に花を咲かせていると、不意に小4の時にあった騒動のことについて友人は話し始めた。その話をきっかけに、語り手の脳裏にはあの日にあった恐怖体験がよみがえっていった。 友人が言う小4の時の大騒動がなかなかに気持ちが悪い。掃除用具のロッカーから出てきたその何者かがどういう者なのかが分からないが相当強い存在の様子。そうでなければ、クラスの半数ほどを一時的に不能状態にし学級閉鎖まで追い込めないだろう。しかも、語り手の予測では、その者はある程度移動できる様子で、行く先々で同じようなことをしているに違いないだろう。なんというか、一個人の幽霊の慣れの果てなのか、はたまた妖怪のようなものなのか、あるいは神がかりてきな存在なのか……。いずれにせよ、不気味な見てくれから、よい物じゃない(こいつが現れると質の悪い風邪のような現象に襲われるので、 絶対良い物じゃない)。何を基準に様々な場所に現れるのだろう。友人の母親が体調を崩しているとの事だが、本当にそれは風邪なのだろうか……。話の中では後遺症のが残るという話はなかったので、それがせめてもの救いかもしれないが、相当しんどそうなのでできれば最初から関わり合いになりたくない。
最初にあんまり怖い話なかったかも……、と言っていたが、感想を書くために読み返すと、中々ショッキングな内容が多かった。怖いというよりは衝撃的過ぎて怖いの感情よりその衝撃が勝ってしまったという感じ。 他者の自殺の記憶を追体験する話や、久しぶりに田舎に帰ってきた語り手が体験した出来事などは、改めて読むと何とも言えぬ怖さだった。 やっぱり自分が連続して読んでいるので、このシリーズの雰囲気に慣れてきてしまったのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
家族で出掛けた私達は、空腹に耐え兼ねファミレスで昼食を済ませることにした。連休初日ということもあり、駐車場はいっぱい。諦めて別の店に行こうとすると、意味ありげに三角コーンが置いてある駐車スペースがあった。
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先日読んだ、レイワ怪談の第二巻。一巻は話そのものも怖く、話も怖くとなかなか楽しい一冊だったが、こちらの本の怖さはやや控えめ。全部がぶっ続けで怖いというわけでは無く、怖いけれど少し悲しい気持ちになったり、怖いというよりは気持ち悪さが目立つ話もあった。
お気に入りの話は「停めてはいけない」、「廃墟のホテルで」。 「停めてはいけない」は、連休の初日に家族と出かけ、ファミレスで昼食をとることにした語り手。ファミレスに赴くと、連休初日ということもあり、駐車場はいっぱい。 しばらく止められる場所はないかと探していると、一か所だけ車が止まっていない場所を見つける。しかしその駐車スペースには三角コーンがおいてあり、明らかに駐車禁止を示している。やっと見つけた駐車スペースだったが、店側が止めることを禁止しているなら仕方がないと、諦め、更に探すことに。
その後運よく開いた場所に止めることができ、家族での食事を楽しんでいた語り手であったが、くだんの駐車禁止のスペースが語り手を恐怖の世界へと誘う。 この話は、語り手自身がひどい目に合う話じゃなかったので一安心。家族との憩いを台無しにされたのは非常に残念だが、語り手やその家族には何事もなかったのでよかったのだろう。この駐車禁止スペースをめぐる怖い話は、あとから来たカップルが駐車禁止スペースに停めてしまったことで起きてしまった。この駐車スペースにどんな曰くがあるのかという詳細はわからないが、カップルに起こってしまった悲劇を見て、店員たちが口々にまた事故が起こったといっていたのでこの店では有名な駐車スペースのようだ。しかし、店員には何が原因でこんなことが起こっているのかわからないため、客が停められないように三角コーンを置くしかないのが現状。というかそもそも、店側が停められないようにしているのに、そのルールを破って停めたカップルが悪いのだが、その代償があの結末だと思うとちょっとひどい気もする。場所が呪われるというのはよく聞くが、可能であればこの駐車スペースの曰くを詳しく知りたいところ。それにしても、興味本位で駐車スペースをのぞきに行った語り手が一部始終とその原因を見てしまったというのは、非常にかわいそうだった。 語り手達は、ルールを守ったことにより間一髪、ひどい目に合わなくて済んだのだが、どうしても車を止めたいが為に、三角コーンをカップルと同じようによけ、同じ結末を迎えたかもしれないと思うと、背筋が寒くなってしまった。
「廃墟のホテルで」は、友人たちと連れ立って心霊スポットへ肝試しに行く語り手。その廃墟のホテルはその昔、女性が一人殺され、その霊が浮かばれず、地縛霊となっているらしい。というのがもっぱらの噂とのこと。幽霊の存在は信じていない語り手と友人の一人は、噂だと決めつけ、 ホテルへと突入していく。一人だけ怖がりな友人がついてきているので、雰囲気は出るが、ホテルの中は荒れ果てており、落書きまみれで白けてしまう。それでも、独特の雰囲気をまとうホテルをこわごわ一階から順繰りに見て回っていると三階で落書き一つないきれいな一室を見つけ、違和感を覚える。今まで感じなかった気味の悪さを初めて感じた語り手たちは、次の場所に移動しようと部屋から出ようとした語り手達はそこから恐怖のどん底に叩き込まれる。 心霊スポットの廃ホテルに殺された人間の地縛霊というのはなかなかのシチュエーション。よくあるシチュエーションだが、シンプルだからこそ怖いということもある。しかも、この幽霊は恨みつらみが強いのか、積極的に危害を加えてくる。語り手の腕をドアに挟んで怪我させようとしたり、逃げ出した三人を執拗に追いかけてきたり……。この追いかけてくる描写がうまく、じわじわ、じわじわと迫ってきているのが手に取るようにわかった。まさに命からがら逃げだした三人であったが、腕をつかまれた語り手はしっかりくっきり痕を残されており、それがなかなか消えなかったということだから、よほど怖かったに違いない。しかし、女の幽霊が出た部屋だけ綺麗だったというのは非常に面白い。ほかの部屋や廊下は荒れ放題だったのに、一室だけ綺麗ということはつまり、先に入って散々荒らしまわった人々が、霊感はないにせよこの部屋だけはまずい場所だというのを分かったからだろう。本能で回避するとはこのことだろうか。それほどまでに、怨念を募らせる幽霊にかなり鳥肌が立った。
全体的に恐怖度が下がってしまったのがちょっと残念だが、まだまだシリーズが続いているようなので、パワーアップした怖い話を読みたい。