保坂三四郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ロシアにかぶれたからこそ書ける著者によるロシアを知る為に必見な書。ウクライナとの戦争が注目されるが遡って解説してくれるので読みやすい。
同国におけるKGBとFSBがそのままロシアの歴史であり現在でもある。権力者達の猜疑心が具象化した様な組織で情報戦の巧みさは道徳的にはともかく勉強になる。
『ゴルゴ13』シリーズの『マンモスの牙』という作品にソ連崩壊後のKGB高官が「国の仕組みが変わってもKGBは滅びず」みたいな台詞を言っていた(記憶は正確でないので悪しからず)が本書を読むとその通りで共産主義より上に在ることが分かる。
佐藤優先生にも言及されており色々とパラダイムシフトされそうだが手元に置いてお -
Posted by ブクログ
世界有数の諜報機関を持つロシアの原理をひも解く。KGBの前身は、1917年に誕生した反革命・サボタージュ取締全ロシア非常委員会、通称「チェーカー」である。これは富裕層(ブルジョワジー)との闘争のために、臨時的かつ超法規的に設けられた組織であり、もし革命によって敵を倒して権力を掌握したら、解散するとされていた。しかし、公式に発表したのは1922年で、実態は謎に包まれた。
KGBは、政府に対する報告義務はなく、ソ連共産党の最高意思決定機関である政治局の指示に従う政治機関であった。ソ連崩壊後、KGBの防諜はFSBに、対外諜報はSVRに引き継がれたが、諜報の手法は依然として変わらない。前者は主に国 -
Posted by ブクログ
本書は「“ロシア”とは?」ということを問い、考える材料を多々提供しているとも思う。
題に「KGBからFSBまで」と在る。これは所謂「諜報機関」、「防諜機関」のことである。ロシア革命による新しい体制が成立して行く中で「諜報機関」、「防諜機関」が形成された。やがてそれが「KGB」となって、知られるようになって行く。1990年代に入ってロシアの体制が変わった後も、「KGB」が再編されて行く。そして再編された機構の中で代表的なモノが「FSB」だ。
「諜報機関」と言えば、情報を収集し、そのために様々な工作を展開する場合も在るというモノだ。「防諜機関」と言えば、不利な情報が漏れることを防ぐ活動を展開すると -
Posted by ブクログ
去年『ロシア語られない戦争』『プーチンの正体』『独ソ戦』と読んだのである程度理解したつもりだったが、諜報手段をさらに具体的に知りたく、この本も読んでみた。
FSB(その前身となるKGB)の方法論が網羅的に描かれていてとても参考になった。また、プロパガンダやアクティブメジャーズのアプローチのみならず、組織体制の全貌や、ソ連成立時に遡っての歴史的経緯、特にはその思想や、もはや「文化」とさえ呼べる基盤的価値観も理解できてとても良かった。
プーチンロシアについても立体的に理解でき、『プーチンの正体』で描かれていた非道な独裁者のバックグラウンドがよくわかったというか、なぜプーチンがプーチンなのか、腑