【感想・ネタバレ】諜報国家ロシア ソ連KGBからプーチンのFSB体制までのレビュー

あらすじ

ウクライナへの全面侵攻で世界に衝撃を与えたロシア。なぜ国際法を無視し、蛮行を続けるのか? その背景には、ソ連時代に国家の根幹を掌握し、かつてプーチンも所属した諜報機関「KGB」と、ロシア連邦でそれを継承した「FSB」がある。ウクライナで近年公開されたKGBの極秘文書、反体制派やハッカーによるリーク情報、最新のインテリジェンス研究から、「諜報国家」ロシアの社会構造と行動原理に迫る。

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Posted by ブクログ

ソ連は滅んだが、その諜報機関/弾圧装置は滅びなかった。

チェキストのアクティブメジャーズと、中国の超限戦、これらを知ってしまうと、もうロシア人や中国人との共存は無理だなという結論しか出てこない…

本書は鈴木宗男参議院議員以外全国会議員必読の書である。
本書を自分で読んだ上で、最後のあとがきを読めば、チェキストとの孤独な戦いに挑んだ著者の意志(と哀しみ)が伝わると思う。

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2025年09月20日

Posted by ブクログ

私自身に基礎的な知識が足りず、通読になった。巻末に歴史や人物が表にまとめられているので、参照しつつ読みすすめました。
深入り禁物がな感じがしました。

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

ソ連時代から今のロシア連邦のFSBまでを解説する書籍。あまりにも日本と常識や考え方が違いすぎて理解するのに時間がかかった。ロシアの何を信用して何を信用してはいけないのか混乱する。それくらい諜報機関の活動は手広く全世界に広がっている事を知った。ソ連を知らない世代として本書で書かれている内容についてよく考えなければならないと思った。

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2025年04月14日

Posted by ブクログ

ロシアにかぶれたからこそ書ける著者によるロシアを知る為に必見な書。ウクライナとの戦争が注目されるが遡って解説してくれるので読みやすい。
同国におけるKGBとFSBがそのままロシアの歴史であり現在でもある。権力者達の猜疑心が具象化した様な組織で情報戦の巧みさは道徳的にはともかく勉強になる。
『ゴルゴ13』シリーズの『マンモスの牙』という作品にソ連崩壊後のKGB高官が「国の仕組みが変わってもKGBは滅びず」みたいな台詞を言っていた(記憶は正確でないので悪しからず)が本書を読むとその通りで共産主義より上に在ることが分かる。
佐藤優先生にも言及されており色々とパラダイムシフトされそうだが手元に置いておきたい本。巻末に人名録があるのも親切。

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2024年06月18日

Posted by ブクログ

 世界有数の諜報機関を持つロシアの原理をひも解く。KGBの前身は、1917年に誕生した反革命・サボタージュ取締全ロシア非常委員会、通称「チェーカー」である。これは富裕層(ブルジョワジー)との闘争のために、臨時的かつ超法規的に設けられた組織であり、もし革命によって敵を倒して権力を掌握したら、解散するとされていた。しかし、公式に発表したのは1922年で、実態は謎に包まれた。
 KGBは、政府に対する報告義務はなく、ソ連共産党の最高意思決定機関である政治局の指示に従う政治機関であった。ソ連崩壊後、KGBの防諜はFSBに、対外諜報はSVRに引き継がれたが、諜報の手法は依然として変わらない。前者は主に国内のスパイ活動を取り締まるが、CISに対しても活動する。後者は西側諸国に向けて活動して、その際に協力者(エージェント)をリクルートする。本書で言及されているが、ロシア随一の保養地ソチは、FSBのスパイ活動(KGBの時代でも)の拠点とされており、偶然を装って観光者と接触して協力者へと仕立てる。このように、一見安心できそうな場所でも、秘密裡に活動しているので、身の安全を守るという観点から、ロシアのスパイの手法は知っておいたほうがいい、と著者は警告する。ロシア人と信頼関係を築いたつもりが、ロシアの協力者として貢献してしまう場合もある。
ゴルバチョフ時代、ペレストロイカやグラスノスチとソ連の改革に着手した。その際、党内の古参や軍の保守派を更迭させた。その一方で、KGB内部には手を付けなかった。その理由は、ゴルバチョフは元KGB議長アンドロポフの庇護を受けて、党のトップに就任したとき、KGB議長チェブリコフの政治的支援を受けたためである。このように、ソ連の体制が変化しつつある時代ですら、諜報機関の根本的なところは覆ることなく、依然として根づいている。
最後には、今後のロシア、ポスト・プーチンに関して考察する。これまでの指導者や体制をふまえると、プーチンの次の指導者は保安機関出身が就任する可能性がある。また、西側諸国のウクライナ支援疲れを口実に、全面侵攻に一旦区切りをつけて、制裁解除を求めるかもしれない。そのとき、表面上リベラルな人物を置くと考えられる。さらに、プーチンが倒れた後のロシアの崩壊や分裂に関して言えば、プーチンの側近が権力闘争、粛清が起きる可能性があり、場合によっては地方を巻き込むかもしれない。しかしプーチンの体制は盤石であるため、当面は倒れないだろう。

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2024年06月03日

Posted by ブクログ

ソ連の情報機関・秘密警察組織であるKGBから現在のFSB体制までの歴史的経緯、及びロシア・ウクライナ戦争に至る過程のなかでKGBの後継組織であるFSBがどのような役割を果たしたかに関する考察。ここ最近は特にロシア政府の発信が妄想的なものが散見されるが、「普通はありえんやろ」と思うようなスパイの国家を、独裁政権のなかで100年かけて建設・洗練してきたため、他国にも同じような目線を向けているような印象を受ける。

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2023年08月05日

Posted by ブクログ

本書は「“ロシア”とは?」ということを問い、考える材料を多々提供しているとも思う。
題に「KGBからFSBまで」と在る。これは所謂「諜報機関」、「防諜機関」のことである。ロシア革命による新しい体制が成立して行く中で「諜報機関」、「防諜機関」が形成された。やがてそれが「KGB」となって、知られるようになって行く。1990年代に入ってロシアの体制が変わった後も、「KGB」が再編されて行く。そして再編された機構の中で代表的なモノが「FSB」だ。
「諜報機関」と言えば、情報を収集し、そのために様々な工作を展開する場合も在るというモノだ。「防諜機関」と言えば、不利な情報が漏れることを防ぐ活動を展開するというモノだ。何れも重要ではあるが、何処か秘密めいていて、余り表に出て来ないような印象は在る。が、ロシアに在ってはそういう印象の範囲に留まらない存在かもしれない。内政や外交の直ぐ背後に、その種の機関による活動が密着していて、直接的に当該機関の職員というような判り易い形で仕事をしている「以外」の「関係者?」が実に多種多様であるのだという。
国を統治する、または国際関係の中で存在感を示して影響力を行使するというような中で「情報」が重要な位置を占める。ロシアはソ連時代からそうしたことに非常に重きを置いていたという一面が在る。本書ではそうしたことが、様々な角度で論じられている。そういう分野に関して、ソ連時代から比較的近年となる1990年代から2010年代迄の事柄を広く取り上げ、最近のウクライナでの事態を巡る動きに至る迄の言及が在る。
自身は、実はソ連の歴史を学んだ経過も在り、1990年代からロシアを訪ねる機会や、滞在した経過も在るので、様々な見聞が在ると思うが、そういう事柄に関連する内容が豊富な本書を実に興味深く拝読した。「それでも」と、ロシアと日本とは、互いに「引越出来るでもない隣人」であるというように思う。が、「こういう面も在る」と、本書で論じられているようなことを注視する必要は在るであろう。
「諜報機関」に注目した「分野別歴史」という感の本書は、在りそうで無かったかもしれない内容を色々と盛り込んでいる。貴重な一冊で御薦めである。

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2023年07月12日

Posted by ブクログ

ウクライナと縁のある筆者だという前提への自覚は必要だが、それを踏まえた上で過不足ない記述により旧KGBがロシア政府・社会にどのように根を下ろしているのかを分かりやすく解説している

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2025年05月12日

Posted by ブクログ

去年『ロシア語られない戦争』『プーチンの正体』『独ソ戦』と読んだのである程度理解したつもりだったが、諜報手段をさらに具体的に知りたく、この本も読んでみた。

FSB(その前身となるKGB)の方法論が網羅的に描かれていてとても参考になった。また、プロパガンダやアクティブメジャーズのアプローチのみならず、組織体制の全貌や、ソ連成立時に遡っての歴史的経緯、特にはその思想や、もはや「文化」とさえ呼べる基盤的価値観も理解できてとても良かった。

プーチンロシアについても立体的に理解でき、『プーチンの正体』で描かれていた非道な独裁者のバックグラウンドがよくわかったというか、なぜプーチンがプーチンなのか、腑に落ちた。特にサンクトペテルブルク時代の市長の片腕からのし上がったところに違和感があったが(市長はそこまで力のある人物だったのか?など)、プーチンはむしろ市長を監視する立場であり、そこで資金源・権力源となる「システマ」を作り上げたこともわかり腑に落ちた。

警察国家・諜報国家としての体制は一連のプーチン時代に固められているように見え、プーチンがいなくなっても(権力闘争は熾烈になりそうだが)ロシアが変わることはなさそうに思えた。

一方で、プーチンや習近平亡き後の「権力闘争の時代」がいかなるものになるかは想像がつかず、世界がどうなっていくのか不安がある。そのとき、西側が、リベラル的な性善説的融和を行って失敗した前例があることはありがたいかもしれず、必要な態度がとられたい。

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2024年08月28日

匿名

購入済み

KGBがインパクト強くて知った気でいたが、いやいや、そんなことはなかった。勉強しました。ただ細かいなぁと思いながらなんとか

#タメになる

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2023年11月04日

Posted by ブクログ

異様に猜疑心の強い国で、力を持つのは諜報機関。
それが、権力者の手足となるのでなく、国の崩壊のどさくさで表の権力も握り、大統領まで作り上げてしまう。
ランドパワー系の文化のねちっこさと暗闇は、シーパワー系の文化のどこかノー天気さには想像もつかないところがある気がする。
共産主義は結局手段であったわけだ。当初は違ったかもしれないが。それが崩壊したのち、頭の中にある歴史とファンタジーと、銭金権力の現世欲を、胡散臭いが故に気持ち良い歴史に裏打ちさせようという志向は、共通する部分があるのだろう。

読みやすく、わかりやすい文章でした。

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2023年10月19日

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