犬養道子のレビュー一覧
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書名の『お嬢さん放浪記』から受ける印象とはだいぶ異なる。「お嬢さん」という看板は犬養家の娘だからしょうがない。でも、おとなしく勉学などしていない。好奇心の赴くままに突き進み、経済的な窮地も妙案を実行して切り抜ける。そして「放浪」でもない。1948年から10年間、日本に戻ることなく、ボストン、アムステルダム、パリに根をおろし、見聞を広め深めてゆく。
なかでも、オランダについての2つの章、「オランダ風物」と「洪水」は読み応えがある。「オランダ風物」では、オランダの四季の移ろいが描かれる。その風景描写がすばらしい。人々が繰り広げる風習や行事の記述も、臨場感にあふれる。一方、「洪水」は、1953年にオ -
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コアさんのレビューを拝読し、俄然興味が湧いた。
犬養毅の孫と家柄的なものは大きいだろうが1948年の、戦後間もない頃に単身留学。(しかも旅費は友人達から工面!) 現地の人に引けをとらない語学力や交渉力(これが凄かった!)・教養・時にはユーモアを発揮。トラブルがあっても瞬間冷静になり、知らない土地にいても前進できる度胸。
これ全部日本国内で身につけたの…?
勉強内容の難易度といい勉強量といい、コアさんの仰る「この時代のインテリは賢い」というのは確実なんだろうな。
著者は27歳の頃に出国、ボストン留学からのヨーロッパ周遊へと繰り出し、計10年異国を"放浪"する。
彼女のそ -
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著者の犬養道子さんは、五・一五事件で暗殺された犬養毅のお孫さんである。カトリック教徒であり、長年難民の支援活動に力を入れてこられたが、二〇一七年に鬼籍に入った。
著者の家柄を知っているわれわれは、題名から親の援助を受けて気ままに世界を旅する女性像を思い浮かべてしまう。だが、そのような思い込みは見事に裏切られる。
舞台となっているのは一九四〇年代後半から五〇年代にかけてのアメリカやヨーロッパ。まだ海外へ渡航すること自体が珍しかった時代に、自分の旅費は自分で稼ぎ、女性ひとりで旅をして回ったのだから、その好奇心と行動力には驚かされる。
しかも、彼女は旅行者として上っ面の欧米を見聞したのではない。その -
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星3.5
五・一五事件の犬養毅の孫であり、家系図を見ると華麗なる一族に生まれた著者。
戦後すぐ、ほとんどの人は海外旅行など夢の時代に、アメリカのカレッジのスカラシップを取って渡米するが、本当の目的はそこを経由してヨーロッパに渡ることだった。
とにかく、著者の語学力と教養には目を見張らされる。
留学したカレッジも、レベルが低すぎたと書いているし、アメリカ人からも、「あなたはアメリカ人ですか?東洋人の訛りがない」と言われるほどの英語のレベル。
ヨーロッパでも、住んでいたオランダ語、フランス語はもとより、旅行中のイタリア、ドイツでも現地人の会話を聞き取り、返答できるレベル。
ところどころで見せる