ジャスティン・O・シュミットのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
著者のジャスティン・シュミットは、2015年にイグ・ノーベル賞を受賞。授賞理由は、苦痛に耐えての虫刺されの痛みの尺度の作成。まさに体を張った研究。本書の原著は、タイムリーにも、受賞直後の刊行。
子ども向けの授業では、ミツバチが何匹も飛び回っている広口瓶に手を入れてみせる。刺されると思いきや、大丈夫。実は中にいるのはオス。オスは刺さない。進化的には、ハチの産卵管の先端が刺針に変化した。つまり、刺針をもつのはメス。
刺針や毒液がどう進化したか、防御のためにどう刺針を使うか、どんな毒虫の擬態をするか(ベイツ型とミューラー型)が、体験談も交え、かなり詳しく解説されている。トリビアも満載。
巻末には、毒 -
Posted by ブクログ
ネタバレ蟻と蜂が刺針をどのような目的で発達させてきたかを、その生態、社会生活を営むのか、単独性なのか、餌との関係なのか、捕食者との関係などに触れながら記述していく。
社会性の高い種ほど、その失うモノ(蜜や幼虫など)が大きいため、外敵に対する刺針とその毒を発達させ、単独性の昆虫は餌を麻痺させる目的で発達させているようだ。特にオオベッコウバチがタランチュラを麻痺させ、巣に運び、卵を産み付ける。孵った幼虫がタランチュラの血や筋肉、脂肪、消化器系などを食べられ、最後まで動いていた心臓を食べられて死ぬという。この部分を読んだ時は、タランチュラが少しだけ愛おしく感じた。
他にもヒアリが拡大した理由に人間とその -
Posted by ブクログ
昆虫刺されの痛さを1−4スケールで示し、イグノーベル賞を取った著者の渾身の一作。
蜂と蟻がどうやって毒針を持つに至ったか。もともとは産卵管が発達して刺す機能を持ったので、メスしか刺せない!どういう蜂や蟻が刺すのかというと、失うものが大きい種類。高度な社会性を持つ場合、コロニーを大型哺乳類から守るには自らを犠牲にしてでも捕食者をすから遠ざけなくてはならない。そのため、ミツバチは毒針を自切し毒液を捕食者に対して全部注入する。またありバチは社会性はないが、メスは翅もなく長生きであるため捕食されるリスクも高い。そのため、硬い体、柔軟な針、痛い毒液を備える。痛さ最高に君臨するサシハリアリは、主に植物性の -
Posted by ブクログ
国立科学博物館の「毒展」から辿りついた一冊。
自分で痛みを検証した、イグノーベル賞を受賞した著者はなんとも強者。
虫の毒や針についてだけでなく、第4章ではオーストラリアのカンガルー島を学会で研究仲間と訪れた著者は、
「何気なく誘って、みんなにも刺されてもらおう。ここに集っているのは、 社会性昆虫に造詣の深い研究者ばかり。格好の標的になってもらえる。」
などの研究の過程も垣間見え、読み物としても楽しませてくれる。
極めつけは、付録の「毒針をもつ昆虫に刺されたときの痛さ一覧」
・ウォーリアーワスプについてにて、
「拷問以外の何物でもない。 (中略)それにしてもなぜ私はこんな一覧を作り始 めてしま -
Posted by ブクログ
サシハリアリにスズメバチ、アシナガバチにヒアリ。
刺すアリやハチは数々あるが、できたら刺されたくないと思うのが普通の反応だろう。
ところが著者、ジャスティン・シュミットは違う。
昆虫毒を専門とする生物学者である彼は、さまざまな毒針昆虫に自ら刺され、痛みを数値化したシュミット指数なるものを作り上げた。その功績で2015年にイグ・ノーベル賞を受賞している。
その「成果」は、巻末付録としてついている、毒針昆虫に刺されたときの痛さ一覧表にまとめられている。
数値スケールで1~4まで。種の名称と分布域、刺されたときの感じも記載される。
「目がくらむほどの強烈な痛み。かかとに三寸釘が刺さったまま、燃え盛