マヤ・ルンデのレビュー一覧
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ネタバレ蜜蜂
蜜蜂の謎の失踪というニュースを見たことがあると思います。
ある日急に何の前触れも無く蜜蜂がいなくなってしまう。そして、その行く先もわからず、死骸も見つからない。
原因として農薬説やホルモン異常説、地球温暖化説などいろいろと推測されていますが、真の原因はわかっていない。
そんな蜜蜂を巡る、過去・現在・未来の3つの物語が平行して描かれます。
過去は、養蜂用の巣箱を考案した男一家のお話、現在は、養蜂家一家のお話、未来は蜜蜂の絶滅により、衰退した人類社会の中で受粉労働者として働く女性の一家のお話。
この3つのお話しが、エンディングで見事に一つの物語を紡ぐという見事な構成です。
何より、人類が衰退に瀕している近未来の状況がリアルに描かれています。
最後は希望のあるエンディングですが、それに至るまでの各家族の葛藤や悲劇も良く描かれています。
久しぶりにページをめくるのが楽しみな本に出会えました。
竹蔵 -
Posted by ブクログ
蜜蜂が忽然と消えた というニュースを聞いてから
20年以上経っている。
ミツバチが原因不明に大量に失踪する現象
蜂群崩壊症候群=CCD(Colony Collapse Disorder)
は世界で発生し 多くの養蜂家が廃業した。
その原因はいまだ特定できていない。
私達は この事実をほぼ無視した国に生きている。
蜂蜜も普通に売られているから
CCDについて知らない人も多いことだろう。
ゾッとしたのは
CCDの原因の一つとされ
欧米諸国が禁止した
ネオニコチノイド系農薬を
日本政府は禁止どころか規制緩和していることだ。
国連環境計画(UNEP)によれば
「世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち
7割はハチが受粉を媒介している」そうだ。
蜜蜂の訪花活動がなくなれば
世界的な食糧難は避けることができないだろう。
前置きが長くなったが…
この本は
3つの時代と場所で
蜜蜂に関わった3つの家族の物語だ。
19世紀末のイギリス
21世紀初頭のアメリカ
そして21世紀末の中国。
時と空間を超えて集結する3つの流れは
やがて…。
蜜蜂を育ててきた過去があり
蜜蜂が消えつつある今がある。
そして
もし蜜蜂が消えたら
人間の未来はどうなるのか。
ノルウェーの作家 マヤ・ルンデは
蜜蜂が鍵を握る未来社会を描いた。
蜜蜂のいない世界がどれほど
殺伐としたものか。
想像したこともなかったから
この春 庭の花々を求めて飛びまわる
熊蜂たちがなんとも愛おしく見えた。
いまコロナ禍にあって
私達が見ているようで
見ていないもの
見えていなかったものが
どれだけたくさんあるか 気づいた人も多いと思う。
天変地異だけでなく
生物の激増・激減や
新たなウイルスの発生と変異。
そうした自然界の警告に真摯に耳を傾けないと
人間社会に未来はないと
改めて確信した。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいやー、驚いた。なんだこれはー、と驚いた。
ウィリアム(1853年/イギリス)、ジョージ(2007年/アメリカ)、タオ(2098年/中国)の3つのパートから成る。
ディストピア小説としての重さ、物語としての大きさ、蜜蜂の意味、3つのパートが重なっていくところ、などもさることながら、3つそれぞれの家族物語に揺さぶられ、心の奥まで打ちのめされる。
”ウィリアム”では、父子(特に娘との)関係と研究者の悲哀。
”ジョージ”は父と息子。そして養蜂家の、なすすべもない自然への無情、非情。
”タオ”では、母と幼子。夫。蜜蜂がいなくなっている世界。
希望は見いだせるのか。
いやー、まいったまいった。 -
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ちょうど星4つな面白さ。
異なる時代の異なる場所での3つの物語が交互に進展していくというスタイル。3つの物語は徐々にその共通点を明らかにしていき、それなりの収斂を見せる。
まず第一に、3つの時代の話が交互に描かれるそのサイクルが速すぎると感じた。
それぞれの時代での場面の描写がいちいち短く、物語として軽薄な印象を残した。
そしてSFファン的にはどうしてもスパイスが足りない。
ディストピア成分というか、ミステリー成分というか、読者を惹き付ける軸が弱い。
面白かったのは未来の中国編で、それ以外の2つはやや退屈。2つの時代の登場人物の区別がつきづらかったほどだ。
中国編でのあの緊迫した雰囲気の描写は非常に良かった。
最終的にはそれっぽくネタバラシが行われるけれども、それは非常に解説的で、読んでいる方としても義務感で読破まで漕ぎ着けた感があった。
海外でのベストセラーとのことで、期待値を高く持ちすぎたかもしれない。 -
Posted by ブクログ
21世紀に入り、世界に大きな謎を投げかけた「蜂群崩壊症候群・CCD」。世界中で同時多発的に、蜂の群れが死骸も残さず、空の巣箱だけを残して忽然と姿を消した現象。いまもって解明されていないこの怪異は、ニュースに触れた者に、終わりの始まりを予感させたところがあったように記憶している。
本作は2098年の中国を舞台にして始まる。蜜蜂が絶滅した世界では、農業に致命的な危機が訪れ、もはや数十億の人口を養う食物が確保できない。欧米をはじめとする先進国は衰退し、受粉を人海戦術で行う恐怖体制を組織できた中国だけが唯一、国家の体を成していたという設定。面白い。
物語は3つの軸から成り、1852年の英国では、養蜂用の巣箱を開発した男とその家族について語られる。2007年アメリカでは、CCDにみまわれた養蜂家の失意が描かれる。そして2098年の、世界半崩壊後の中国。
3つの物語をつなぐのは蜜蜂。蜜蜂という小さな存在が、世界のバランスを際どく絶妙につなぎとめているという設定は、不気味な手触りがする。
しかしながら突飛なSFではなく、現に世界がその入り口にあるのかもしれない、という悪い予感も感じさせるところが、新手の終末小説のようで斬新。単なる ifものに堕していない。
優れた小説の例に漏れず、本作も3つのストーリーの絡み合い方は練られており、フィナーレに向けて一本の糸に縒り合されてゆく技術は鮮やか。読んで損なし。 -
Posted by ブクログ
養蜂を軸にして親子・家族について描く。
2098年蜜蜂がいなくなり、人間が植物の受粉をしなければならなくなった近未来の中国。幼い息子・ウェイウェンと夫と3人、受粉作業はつらいけれど愛に満ち希望を持って暮らすタオ。
1852年蜜蜂のための新しい養蜂用箱を研究するイギリスのウィリアム。
2007年、養蜂家として苦しいながらも自然な養蜂を目指す米国のジョージ。
3人の挑戦と挫折と新しい親子関係の目覚めを交互に描いていく。
3人の状況の把握に慣れるのに苦労した。特にウィリアムとジョージは、ともに英語圏の男性なので「どっちだったかな?」と思い出しながら読んでいた。
時代も国も違う3人が、蜜蜂をもとに絡み合うようにあらわされていく。面白い構成だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ミツバチが地球上から姿を消した場合、人類はわずか4年間しか生存できなくなる。蜂蜜はなくなり、受粉はなく、植物も動物も人類もいなくなる――」モーリス・メーテルリンクは1901年に出版した「蜜蜂の生活」の中でそう語ったらしい。
1852年、イギリス。ウイリアムは敬愛する教授との軋轢に耐え、娘の助言を得ながら蜜蜂の巣箱を完成させる。
2007年、アメリカ。ジョージは大学へ進学した息子があとを継いでくれるのかどうか不安に思いながら、養蜂家の仕事をまっとうする。
2098年、中国。タオの仕事は人工授粉。蜜蜂の絶滅した世界は食糧難に陥り、手間のかかる人工授粉をしなくては果実も実りづらくなっている。そんな中、久々の休日でピクニックに出かけたタオとクワン、そして一人息子のウェイウェンだが、突然ウェイウェンが倒れてしまい…。