マヤ・ルンデのレビュー一覧
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蜜蜂が忽然と消えた というニュースを聞いてから
20年以上経っている。
ミツバチが原因不明に大量に失踪する現象
蜂群崩壊症候群=CCD(Colony Collapse Disorder)
は世界で発生し 多くの養蜂家が廃業した。
その原因はいまだ特定できていない。
私達は この事実をほぼ無視した国に生きている。
蜂蜜も普通に売られているから
CCDについて知らない人も多いことだろう。
ゾッとしたのは
CCDの原因の一つとされ
欧米諸国が禁止した
ネオニコチノイド系農薬を
日本政府は禁止どころか規制緩和していることだ。
国連環境計画(UNEP)によれば
「世界の食料の9割を占める100種類 -
Posted by ブクログ
ネタバレいやー、驚いた。なんだこれはー、と驚いた。
ウィリアム(1853年/イギリス)、ジョージ(2007年/アメリカ)、タオ(2098年/中国)の3つのパートから成る。
ディストピア小説としての重さ、物語としての大きさ、蜜蜂の意味、3つのパートが重なっていくところ、などもさることながら、3つそれぞれの家族物語に揺さぶられ、心の奥まで打ちのめされる。
”ウィリアム”では、父子(特に娘との)関係と研究者の悲哀。
”ジョージ”は父と息子。そして養蜂家の、なすすべもない自然への無情、非情。
”タオ”では、母と幼子。夫。蜜蜂がいなくなっている世界。
希望は見いだせるのか。
いやー、まいったまいった。 -
Posted by ブクログ
ちょうど星4つな面白さ。
異なる時代の異なる場所での3つの物語が交互に進展していくというスタイル。3つの物語は徐々にその共通点を明らかにしていき、それなりの収斂を見せる。
まず第一に、3つの時代の話が交互に描かれるそのサイクルが速すぎると感じた。
それぞれの時代での場面の描写がいちいち短く、物語として軽薄な印象を残した。
そしてSFファン的にはどうしてもスパイスが足りない。
ディストピア成分というか、ミステリー成分というか、読者を惹き付ける軸が弱い。
面白かったのは未来の中国編で、それ以外の2つはやや退屈。2つの時代の登場人物の区別がつきづらかったほどだ。
中国編でのあの緊迫した雰囲気の描 -
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21世紀に入り、世界に大きな謎を投げかけた「蜂群崩壊症候群・CCD」。世界中で同時多発的に、蜂の群れが死骸も残さず、空の巣箱だけを残して忽然と姿を消した現象。いまもって解明されていないこの怪異は、ニュースに触れた者に、終わりの始まりを予感させたところがあったように記憶している。
本作は2098年の中国を舞台にして始まる。蜜蜂が絶滅した世界では、農業に致命的な危機が訪れ、もはや数十億の人口を養う食物が確保できない。欧米をはじめとする先進国は衰退し、受粉を人海戦術で行う恐怖体制を組織できた中国だけが唯一、国家の体を成していたという設定。面白い。
物語は3つの軸から成り、1852年の英国では、養 -
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養蜂を軸にして親子・家族について描く。
2098年蜜蜂がいなくなり、人間が植物の受粉をしなければならなくなった近未来の中国。幼い息子・ウェイウェンと夫と3人、受粉作業はつらいけれど愛に満ち希望を持って暮らすタオ。
1852年蜜蜂のための新しい養蜂用箱を研究するイギリスのウィリアム。
2007年、養蜂家として苦しいながらも自然な養蜂を目指す米国のジョージ。
3人の挑戦と挫折と新しい親子関係の目覚めを交互に描いていく。
3人の状況の把握に慣れるのに苦労した。特にウィリアムとジョージは、ともに英語圏の男性なので「どっちだったかな?」と思い出しながら読んでいた。
時代も国も違う3人が、蜜蜂をもとに絡 -
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ネタバレ「ミツバチが地球上から姿を消した場合、人類はわずか4年間しか生存できなくなる。蜂蜜はなくなり、受粉はなく、植物も動物も人類もいなくなる――」モーリス・メーテルリンクは1901年に出版した「蜜蜂の生活」の中でそう語ったらしい。
1852年、イギリス。ウイリアムは敬愛する教授との軋轢に耐え、娘の助言を得ながら蜜蜂の巣箱を完成させる。
2007年、アメリカ。ジョージは大学へ進学した息子があとを継いでくれるのかどうか不安に思いながら、養蜂家の仕事をまっとうする。
2098年、中国。タオの仕事は人工授粉。蜜蜂の絶滅した世界は食糧難に陥り、手間のかかる人工授粉をしなくては果実も実りづらくなっている。