ホルモンが人間感情に強く影響を与えている。
という事は、それが意思決定に作用し、社会問題や国際問題に及ぶことだってあるのではないか。そう思ってホルモンに関心を持ち、同時にというか本音は「若返り」の方がやや強めの興味で読み始める。
アンチエイジングに関わる研究者たちの注目を集めているホルモン。DHEA。別名「長寿ホルモン」とも呼ばれ、免疫機能の維持やストレスに対する抵抗力、生活習慣病のリスク低減にも関わり、DHEAの血中濃度が高い人は長生きの傾向にあることもわかっているらしい。ただ、残念なことに、加齢とともに減少し、35歳以降、分泌量が急減。感染症やがんの発症リスク、内臓や血管の老化、骨、筋肉、皮膚へのダメージなど、体への影響は甚大。
DHEAを減らさず増やすには、どうすれば。
「糖化」はNG。血液中に余分な糖分があると、アルデヒドという物質が過剰に生成されて、体内のたんぱく質に結びつき、たんぱく質が変性してAGE(終末糖化産物)をつくり出す。このAGEがDHEAを低下させる原因。白米や小麦、そば、砂糖など、糖質の多い食品は、年齢が上がるにつれてAGEをつくる原因となる。他に、ストレスや睡眠不足もNG。まあ、何となく分かる。
本書で残念なのは、増やし方がよくわからない点。摂取せよ、というのは書かれていたので、サプリメントは一つの手段なのだろう。他に、運動が良いとか、この食事が良いとか、日常で取り組めそうな具体例が欲しかった。
ホルモンは24時間、365日、私たちの体内で分泌され、体のコントロールを行っている。起床の数時間前に「コルチゾール」が分泌されることで目が覚め、「セロトニン」が覚醒を促し、食事をすれば「インスリン」が血糖値をコントロールして、仕事や勉強の際には「アドレナリン」が働く。トレーニングをすれば「成長ホルモン」が筋肉の生成を助ける。寝つきをよくするのは「メラトニン」。それらのホルモンが、最適なタイミングで最適な量が分泌されている事が大事。
ホルモンの基礎知識が少し上がる。良書。