国立がん研究センターのレビュー一覧
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ネタバレ第1章 がんとは何か?
悪性腫瘍とはコントロールされない細胞の増殖であり、自律性増殖、浸潤と転移、悪液質を引きおこすなどの特徴がある。癌腫(上皮性)、肉腫(間質性)、その他血液がんなどに大別される。がんは昔から知られており、近代以後は発がん性の発見(19世紀)、がん遺伝子の発見(20世紀)など研究が進んだ。リン酸化によるシグナル伝達の変異ががんを引きおこすこと、逆にがんを抑制する遺伝子も存在することが判明した。現在は遺伝子レベルのがん化を抑制する分子標的薬が開発され、主力になっている。
第2章 どうして生じるのか?
遺伝子変異の蓄積や、染色体異常によりがんが生じる。がん遺伝子の活性化やがん抑制 -
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がんはその成長過程においてゲノムの異常が多様に変化する「がんゲノム進化」これには遺伝子の発現量に影響を及ぼす「エピゲノム」の異常も含まれる。
がん細胞は、ほとんど分化せず増殖し、アポトーシスにも抵抗するので、傷がついた細胞も生き残る。
20世紀前半、化学発がん説、ウィルス発がん説、遺伝説、どれも決定的ではなかった。
現在では「がんは遺伝子の病気である」と考えられている。
「がんの発生には、正常な細胞に存在する正常な遺伝子がかかわっている」変異を起こす前の正常な遺伝子を「がん原遺伝子」、変異した後の遺伝子を「がん遺伝子」と呼ぶことがある。
リン酸化で情報を伝達するがん細胞
ヒトを含む真核 -
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2018年現在最新の、がんに対する理解とその治療法の最前線。近年のヒトゲノム解析を初めとする生物学の進展によって、がん治療は大きく前進している。がんとは何なのか、なぜ起きるのか、そのメカニズムの理解とともに、治療法も大きく進歩しつつある。
細胞や遺伝子の構造、タンパク質の働き方など、詳しく説明されている箇所もあって、少し難しく感じる部分もあるが、それだけの学術的背景を感じられて説得力がある。一度最後まで通して読んでから、気になるところを掘り下げるような読み方が良いかもしれない。
日本人の二人に一人ががんになるという時代。自分がいつか罹った時には、この本で紹介されている最新の治療法が実現して -
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2018年刊行時点でのがん研究、特にがんゲノム医療の基礎についてまとめられた本。国立がん研究センター編なだけあり、これほど安心して読めるがん研究入門書はなかなか無いのではないでしょうか。
第1章、第2章、第8章ではがんゲノム研究と、その成果である治療薬について語られています。がん細胞の遺伝的多様性を軸に語られる最新の研究成果は知的好奇心を大いにくすぐられます。同ブルーバックスの「DNAの98%は謎」という本がわたしが好きなのですが、その本をゲノム基礎研究についての本だとするならば、本書は「がん」を題材に応用研究を述べた本とも読めそうです。「がん」は人類の死因の多くを占め、社会的関心も高いですか -
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・免疫チェックポイント阻害剤
・pdi抗体 のニボルマブ→商品名 オプジーボ
・がんの原因 遺伝子変異
・炎症からがん化するケースがある
・遺伝子に傷がつく事がきっかけで、DNAが変異する
・増殖するがん細胞は不死化
・高齢になるとがんになる可能性が高くなる
・再発と転移が治療を困難にさせる
・再発と転移の要因は幹細胞にある
・足場依存性と足場非依存性の肺癌
正常細胞は足場を失い浮遊状態になると細胞死を起こす。転移がんは浮遊しても死なない。→足場非依存性はタンパク質のリン酸化が強い→RNA干渉法で膜タンパク質の量を減らすとがん細胞は増えることごできない。
・遺伝は5%、がんの発症要因はタ -
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がんが発生するメカニズムや、近年開発が進む治療方法がどのようなものかを説明した本。
正直に言えば、読みやすい本とは言えない。
また、今、病で苦しむ人、再発の懸念を持っている人が、今どうするかには応えられるものではないかもしれない。
(もちろん、私自身も当事者だったりするわけだが。)
もしかすると、NHKの番組で似たような内容のシリーズが既に放送されているかもしれないけれど、映像で見せられれば、理解がもっと進む気がする。
自分は病気が見つかってから手術を受けるまで、仕事の忙しさにかまけて、病気のことを大して知らないままだった。
この本を読んで、ここ数年、すぐに高熱を出したり、傷が治りにくか