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いまや日本人の2人に1人が一生に一度はがんにかかり、年間100万人以上が新たにがんを発症する時代。高齢化に伴い、今後も患者は増加すると予測されるが、現時点ではがんを根治する治療法は見つかっていない。しかし、ゲノム医療の急速な進展で、「がん根治」の手がかりが見えてきた。世界トップレベルの研究者たちが語ったがん研究の最前線
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Posted by ブクログ
がんって、知っているようで知らないことばかり。そんなことを教えてくれた1冊だった。 がんについてわかりやすく説明されていたのでどんどん読み進めたが、きちんと理解しようと思えば、あと2〜3回は読み直した方がいいと感じた。
非常に分かりやすくまとめられている一方で、知識不足により理解できない部分もたくさんあった。様々な用語が出てくるので、学がないと真ん中あたりから、理解できなくなってくる。
最新の研究成果が満載で、「がん」が何故できるのかそのメカニズムを詳しく知ることが出来た。 不安心を煽ることなく「がん」について冷静に記述する意志が随所に感じられる。まさに、「がん」の教科書とも呼べる一冊ではなかろうか。
免疫チェックポイント阻害剤も含めて、最近のガン治療薬を取り上げ、またガンと老化との関係などベースになる知見を網羅しており、基本から先進までの多くの話題を上手く記述しています。久し振りのヒットとなるblue backs ですね!
がんはその成長過程においてゲノムの異常が多様に変化する「がんゲノム進化」これには遺伝子の発現量に影響を及ぼす「エピゲノム」の異常も含まれる。 がん細胞は、ほとんど分化せず増殖し、アポトーシスにも抵抗するので、傷がついた細胞も生き残る。 20世紀前半、化学発がん説、ウィルス発がん説、遺伝説、どれも...続きを読む決定的ではなかった。 現在では「がんは遺伝子の病気である」と考えられている。 「がんの発生には、正常な細胞に存在する正常な遺伝子がかかわっている」変異を起こす前の正常な遺伝子を「がん原遺伝子」、変異した後の遺伝子を「がん遺伝子」と呼ぶことがある。 リン酸化で情報を伝達するがん細胞 ヒトを含む真核生物は、チロシンリン酸化という、ほかではほどんど起こらない反応を増殖シグナルの伝達専用に割り当てており、それにより増殖の厳密なコントロールを可能にしている。 ”うそつき”を生み出すのは突然変異。 現在では、がん細胞は数百もみつかっている。その多くは細胞の異常は増殖を引き起こす。 細胞のアポトーススをを抑えるものも含まれる。これが抑えられるとDNAが傷ついた細胞が増えて、がんが発生する。 がんになった組織ではたいてい、なんらかのがん遺伝子がオンになっていて、同時に、それを抑えるようながん抑制遺伝子がオフになっている。 遺伝性がんが占める比率はかならずしも高くない。大多数を占めるのは、こうした突発性変異遺伝子を持たない人が発症する「散発性がん」。難しいのは「散発性がん」においても体質のような遺伝的要因が一部かかわっている可能性があること。 その昔、「細胞を個体から取り出し、分化状態から解放すれば、細胞は増殖能力を再獲得し、老化しなくなる」と考えられていた時代があった。1891年ドイツのオーグスト・ワイスマンが最初に提唱。実験技術が改善され、細胞を体外で長期間培養できるようになったのは1910年。1940-50年代にかけて培養細胞として樹立された細胞体が次々と誕生。 有名なのがヒーラ、だがしばらくして、ヒーラ細胞ががん細胞であることがわかった。 テロメアの長さは細胞分裂のたびに短くなり、一定の長さになると分裂を停止する。つまり、テロメアの長さが細胞分裂の回数を規定する。正常細胞では細胞分裂が停止するのに対して、がん細胞ではこのような現象は起こらない。 テロメアを復元する酵素「テロメラーゼ」発見 がん細胞は以外では、生殖細胞や幹細胞といった未分化の細胞でテロメラーゼの活性が高く、長いテロメアが維持されていることがわかった。 iPS細胞でもテロメラーゼの活性が高いことがわかっている。
がんの最新の知見、最新の治療法や治療薬について、分かりやすく網羅的に解説されています。 全くの素人でしたが、ある程度理解しました。これからは、産官学が協力してやっていかないといけないと思いました。何か力になれることを考えてみよう。 今年のノーベル賞期待してます!
2018年現在最新の、がんに対する理解とその治療法の最前線。近年のヒトゲノム解析を初めとする生物学の進展によって、がん治療は大きく前進している。がんとは何なのか、なぜ起きるのか、そのメカニズムの理解とともに、治療法も大きく進歩しつつある。 細胞や遺伝子の構造、タンパク質の働き方など、詳しく説明され...続きを読むている箇所もあって、少し難しく感じる部分もあるが、それだけの学術的背景を感じられて説得力がある。一度最後まで通して読んでから、気になるところを掘り下げるような読み方が良いかもしれない。 日本人の二人に一人ががんになるという時代。自分がいつか罹った時には、この本で紹介されている最新の治療法が実現していて欲しいものである。
これまで読んだがんに関する本の中で一番理屈的にわかりやすい本でした。医療に携わりがんについてこれまでとこれからを勉強し始めた人におすすめ。
2018年刊行時点でのがん研究、特にがんゲノム医療の基礎についてまとめられた本。国立がん研究センター編なだけあり、これほど安心して読めるがん研究入門書はなかなか無いのではないでしょうか。 第1章、第2章、第8章ではがんゲノム研究と、その成果である治療薬について語られています。がん細胞の遺伝的多様性を...続きを読む軸に語られる最新の研究成果は知的好奇心を大いにくすぐられます。同ブルーバックスの「DNAの98%は謎」という本がわたしが好きなのですが、その本をゲノム基礎研究についての本だとするならば、本書は「がん」を題材に応用研究を述べた本とも読めそうです。「がん」は人類の死因の多くを占め、社会的関心も高いですから、その応用スピードは目覚しいものです。不謹慎かもしれませんが、遺伝子や細胞の仕組みを考えていく上で、これほど面白い題材もなかなかありません。 第3章~第7章は、テーマに沿って様々なトピックが語られています。やや個別の事例に寄った各論的な話も多いので、興味のあるところだけ読むのも手かと思いました。
・免疫チェックポイント阻害剤 ・pdi抗体 のニボルマブ→商品名 オプジーボ ・がんの原因 遺伝子変異 ・炎症からがん化するケースがある ・遺伝子に傷がつく事がきっかけで、DNAが変異する ・増殖するがん細胞は不死化 ・高齢になるとがんになる可能性が高くなる ・再発と転移が治療を困難にさせる ・再...続きを読む発と転移の要因は幹細胞にある ・足場依存性と足場非依存性の肺癌 正常細胞は足場を失い浮遊状態になると細胞死を起こす。転移がんは浮遊しても死なない。→足場非依存性はタンパク質のリン酸化が強い→RNA干渉法で膜タンパク質の量を減らすとがん細胞は増えることごできない。 ・遺伝は5%、がんの発症要因はタバコと食事が30%ずつ。 ・分子標的薬 →正常細胞を避けて、がんに狙い撃ちする抗がん剤 ゲフィチニブ 非小細胞肺癌 →副作用として皮膚発疹や間質性肺炎 ・ALK阻害剤クリゾチニブ →タンパク質の機能を抑える肺がん治療薬 ・ALK融合遺伝子による肺がんの場合→3種類の分子標的薬 クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ →特効薬であり副作用もない。 ・他にもROS1(ロスワン)融合遺伝子やRET融合遺伝子についても、分子標的薬が開発されて臨床試験が進んでいる。 ・原因となる融合遺伝子 ・原因遺伝子の分類が治療薬の選択に直結する →遺伝子を調べる事が適切な治療薬につながる。 ・拡酸(さん)医薬の効果 →まだ治療薬として承認されていない→TDM812 が最初の拡酸治療薬になることを期待 ・分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤と頼りになる治療薬の選択肢が増えている。 これに加えて拡酸医薬など新たなコンセプトの治療薬に期待。 更にゲノム医療で適切な治療薬を選択。 ・ゲフィチニブは肺癌に効果あるが、しばらくすると抵抗性がでてきて薬が効かなくなる。 ・がんゲノム医療中核拠点病院、連携病院、 これらの病院に限っては公的保険が適用される予定(早ければ2019年から)
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