【感想・ネタバレ】「がん」はなぜできるのか そのメカニズムからゲノム医療までのレビュー

あらすじ

いまや日本人の2人に1人が一生に一度はがんにかかり、年間100万人以上が新たにがんを発症する時代。高齢化に伴い、今後も患者は増加すると予測されるが、現時点ではがんを根治する治療法は見つかっていない。しかし、ゲノム医療の急速な進展で、「がん根治」の手がかりが見えてきた。世界トップレベルの研究者たちが語ったがん研究の最前線

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Posted by ブクログ

がんって、知っているようで知らないことばかり。そんなことを教えてくれた1冊だった。
がんについてわかりやすく説明されていたのでどんどん読み進めたが、きちんと理解しようと思えば、あと2〜3回は読み直した方がいいと感じた。

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2025年05月30日

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非常に分かりやすくまとめられている一方で、知識不足により理解できない部分もたくさんあった。様々な用語が出てくるので、学がないと真ん中あたりから、理解できなくなってくる。

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2025年01月07日

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ネタバレ

ガンのでき方、仕組み、そして逃れる知恵、そしてそれを追いかける医療。遺伝子科学、分子化学、デジタルの進展から「がん」のメカニズムとその複雑さ、そして可変性。医療界の方々に頭が下がります。〇〇の機能が発現しないように抗体とか高分子の○○とか、それを見つけて作って送り込んでしまう医療もすごいし、それを掻い潜るガンも凄い。まるでウイルスみたいに遺伝子が変異して生き残ろうとする。細胞間の生存競争。変化したガンが生き残る。厄介。でも、今後の医療の進展に期待が持てる、そして非常に分かりやすい作品でした。

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2024年04月02日

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ネタバレ

第1章 がんとは何か?
悪性腫瘍とはコントロールされない細胞の増殖であり、自律性増殖、浸潤と転移、悪液質を引きおこすなどの特徴がある。癌腫(上皮性)、肉腫(間質性)、その他血液がんなどに大別される。がんは昔から知られており、近代以後は発がん性の発見(19世紀)、がん遺伝子の発見(20世紀)など研究が進んだ。リン酸化によるシグナル伝達の変異ががんを引きおこすこと、逆にがんを抑制する遺伝子も存在することが判明した。現在は遺伝子レベルのがん化を抑制する分子標的薬が開発され、主力になっている。
第2章 どうして生じるのか?
遺伝子変異の蓄積や、染色体異常によりがんが生じる。がん遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の不活性化など、異常の起こる遺伝子の機能も影響する。カビ毒やタール等の化学物質への曝露、放射線への曝露、細菌やウイルス感染などの外因的要素や、遺伝的素因など内因的な素因がある。がん細胞自体も変化してゆき、多様性を獲得することで、難治性がんに進行してゆく。変異遺伝子の種類によってがんの性質も変わってくるらしい。
第3章 がんがしぶとく生き残る術
がん細胞は健常人にも自然発生しており、免疫により排除されているが、悪性化細胞は免疫をかいくぐって無力化する性質を持っている。がん細胞自身が抗原性を失う変異を起こす、免疫抑制サイトカインを分泌する、免疫抑制機能を持つ細胞を利用する。また免疫チェックポイント分子を用いてT細胞を無力化するなどの戦略があり、これを利用した抗がん剤も開発されている。
第4章 がんと老化の複雑な関係
高齢になるとがんの発症率が上がるが、ストレスによる細胞老化がその一因である。老化細胞により起こる慢性炎症ががんの原因になる。
第5章 再発と転移
がんの再発は、がん細胞群の中にあるがん幹細胞が原因である。がん幹細胞は種のように休眠しており、抗がん剤治療にも影響されにくい。これを除去することで再発を予防できる可能性がある。がん細胞の転移は急速に進行する。がん細胞は細胞環境に依存して増殖する足場依存性を失っているにも関わらず増殖してしまう。また転移しやすい場所がある。
第6章 がんを見つける、見極める
良質ながん治療を行うためには早期発見が重要であるが、がん検診はコストがかかる。腫瘍マーカーも利用できるが早期発見にはあまり有用ではない。血中のmiRNAを利用する方法が有望であり開発されている。
第7章 予防できるのか?
発がん予防の鍵は生活習慣の改善にある。禁煙・節酒・食生活・身体活動・適正体重の維持が現時点で重要だと考えられている。がん予防効果のある薬剤も既存薬を中心に検討されている。
第8章 ゲノムが拓く新しいがん医療
抗がん剤は伝統的な細胞障害性抗がん剤と、近年の遺伝子的知見に基づく分子標的薬に大別される。分子標的薬の問題は副作用と治療抵抗性の発現である。遺伝子解析により抗がん剤が開発されることで、がんの分類も原因遺伝子に基づいて行われる可能性がある。更に分子標的薬の標的分子が発現する前にブロックする核酸医薬も開発中である。また治療抵抗性の発現も乗り越えるべき課題である。がんゲノム医療の拡大が期待されている。

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2022年01月29日

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最新の研究成果が満載で、「がん」が何故できるのかそのメカニズムを詳しく知ることが出来た。 不安心を煽ることなく「がん」について冷静に記述する意志が随所に感じられる。まさに、「がん」の教科書とも呼べる一冊ではなかろうか。

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2020年08月08日

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免疫チェックポイント阻害剤も含めて、最近のガン治療薬を取り上げ、またガンと老化との関係などベースになる知見を網羅しており、基本から先進までの多くの話題を上手く記述しています。久し振りのヒットとなるblue backs ですね!

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2020年02月18日

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がんはその成長過程においてゲノムの異常が多様に変化する「がんゲノム進化」これには遺伝子の発現量に影響を及ぼす「エピゲノム」の異常も含まれる。

がん細胞は、ほとんど分化せず増殖し、アポトーシスにも抵抗するので、傷がついた細胞も生き残る。

20世紀前半、化学発がん説、ウィルス発がん説、遺伝説、どれも決定的ではなかった。
現在では「がんは遺伝子の病気である」と考えられている。

「がんの発生には、正常な細胞に存在する正常な遺伝子がかかわっている」変異を起こす前の正常な遺伝子を「がん原遺伝子」、変異した後の遺伝子を「がん遺伝子」と呼ぶことがある。

リン酸化で情報を伝達するがん細胞
ヒトを含む真核生物は、チロシンリン酸化という、ほかではほどんど起こらない反応を増殖シグナルの伝達専用に割り当てており、それにより増殖の厳密なコントロールを可能にしている。 ”うそつき”を生み出すのは突然変異。

現在では、がん細胞は数百もみつかっている。その多くは細胞の異常は増殖を引き起こす。
細胞のアポトーススをを抑えるものも含まれる。これが抑えられるとDNAが傷ついた細胞が増えて、がんが発生する。

がんになった組織ではたいてい、なんらかのがん遺伝子がオンになっていて、同時に、それを抑えるようながん抑制遺伝子がオフになっている。

遺伝性がんが占める比率はかならずしも高くない。大多数を占めるのは、こうした突発性変異遺伝子を持たない人が発症する「散発性がん」。難しいのは「散発性がん」においても体質のような遺伝的要因が一部かかわっている可能性があること。

その昔、「細胞を個体から取り出し、分化状態から解放すれば、細胞は増殖能力を再獲得し、老化しなくなる」と考えられていた時代があった。1891年ドイツのオーグスト・ワイスマンが最初に提唱。実験技術が改善され、細胞を体外で長期間培養できるようになったのは1910年。1940-50年代にかけて培養細胞として樹立された細胞体が次々と誕生。
有名なのがヒーラ、だがしばらくして、ヒーラ細胞ががん細胞であることがわかった。

テロメアの長さは細胞分裂のたびに短くなり、一定の長さになると分裂を停止する。つまり、テロメアの長さが細胞分裂の回数を規定する。正常細胞では細胞分裂が停止するのに対して、がん細胞ではこのような現象は起こらない。
テロメアを復元する酵素「テロメラーゼ」発見
がん細胞は以外では、生殖細胞や幹細胞といった未分化の細胞でテロメラーゼの活性が高く、長いテロメアが維持されていることがわかった。 iPS細胞でもテロメラーゼの活性が高いことがわかっている。

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2018年11月18日

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がんの最新の知見、最新の治療法や治療薬について、分かりやすく網羅的に解説されています。
全くの素人でしたが、ある程度理解しました。これからは、産官学が協力してやっていかないといけないと思いました。何か力になれることを考えてみよう。
今年のノーベル賞期待してます!

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2018年09月30日

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2018年現在最新の、がんに対する理解とその治療法の最前線。近年のヒトゲノム解析を初めとする生物学の進展によって、がん治療は大きく前進している。がんとは何なのか、なぜ起きるのか、そのメカニズムの理解とともに、治療法も大きく進歩しつつある。

細胞や遺伝子の構造、タンパク質の働き方など、詳しく説明されている箇所もあって、少し難しく感じる部分もあるが、それだけの学術的背景を感じられて説得力がある。一度最後まで通して読んでから、気になるところを掘り下げるような読み方が良いかもしれない。

日本人の二人に一人ががんになるという時代。自分がいつか罹った時には、この本で紹介されている最新の治療法が実現していて欲しいものである。

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2018年09月22日

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これまで読んだがんに関する本の中で一番理屈的にわかりやすい本でした。医療に携わりがんについてこれまでとこれからを勉強し始めた人におすすめ。

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2018年08月11日

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2018年刊行時点でのがん研究、特にがんゲノム医療の基礎についてまとめられた本。国立がん研究センター編なだけあり、これほど安心して読めるがん研究入門書はなかなか無いのではないでしょうか。
第1章、第2章、第8章ではがんゲノム研究と、その成果である治療薬について語られています。がん細胞の遺伝的多様性を軸に語られる最新の研究成果は知的好奇心を大いにくすぐられます。同ブルーバックスの「DNAの98%は謎」という本がわたしが好きなのですが、その本をゲノム基礎研究についての本だとするならば、本書は「がん」を題材に応用研究を述べた本とも読めそうです。「がん」は人類の死因の多くを占め、社会的関心も高いですから、その応用スピードは目覚しいものです。不謹慎かもしれませんが、遺伝子や細胞の仕組みを考えていく上で、これほど面白い題材もなかなかありません。
第3章~第7章は、テーマに沿って様々なトピックが語られています。やや個別の事例に寄った各論的な話も多いので、興味のあるところだけ読むのも手かと思いました。

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2024年08月16日

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・免疫チェックポイント阻害剤
・pdi抗体 のニボルマブ→商品名 オプジーボ
・がんの原因 遺伝子変異
・炎症からがん化するケースがある
・遺伝子に傷がつく事がきっかけで、DNAが変異する
・増殖するがん細胞は不死化
・高齢になるとがんになる可能性が高くなる
・再発と転移が治療を困難にさせる
・再発と転移の要因は幹細胞にある
・足場依存性と足場非依存性の肺癌
正常細胞は足場を失い浮遊状態になると細胞死を起こす。転移がんは浮遊しても死なない。→足場非依存性はタンパク質のリン酸化が強い→RNA干渉法で膜タンパク質の量を減らすとがん細胞は増えることごできない。
・遺伝は5%、がんの発症要因はタバコと食事が30%ずつ。
・分子標的薬 →正常細胞を避けて、がんに狙い撃ちする抗がん剤
ゲフィチニブ 非小細胞肺癌
→副作用として皮膚発疹や間質性肺炎
・ALK阻害剤クリゾチニブ →タンパク質の機能を抑える肺がん治療薬
・ALK融合遺伝子による肺がんの場合→3種類の分子標的薬 クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ →特効薬であり副作用もない。
・他にもROS1(ロスワン)融合遺伝子やRET融合遺伝子についても、分子標的薬が開発されて臨床試験が進んでいる。
・原因となる融合遺伝子
・原因遺伝子の分類が治療薬の選択に直結する
→遺伝子を調べる事が適切な治療薬につながる。
・拡酸(さん)医薬の効果 →まだ治療薬として承認されていない→TDM812 が最初の拡酸治療薬になることを期待
・分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤と頼りになる治療薬の選択肢が増えている。
これに加えて拡酸医薬など新たなコンセプトの治療薬に期待。
更にゲノム医療で適切な治療薬を選択。
・ゲフィチニブは肺癌に効果あるが、しばらくすると抵抗性がでてきて薬が効かなくなる。
・がんゲノム医療中核拠点病院、連携病院、
これらの病院に限っては公的保険が適用される予定(早ければ2019年から)

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2021年02月27日

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ブルーバックスだけあって、内容がしっかりしている(と思われる)のと読みやすさを両立させていると感じます。

なかなか予防とかは難しい病気だとは思いますが、今後の発展にすごく期待します。

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2020年01月13日

Posted by ブクログ

がんが発生するメカニズムや、近年開発が進む治療方法がどのようなものかを説明した本。

正直に言えば、読みやすい本とは言えない。
また、今、病で苦しむ人、再発の懸念を持っている人が、今どうするかには応えられるものではないかもしれない。
(もちろん、私自身も当事者だったりするわけだが。)

もしかすると、NHKの番組で似たような内容のシリーズが既に放送されているかもしれないけれど、映像で見せられれば、理解がもっと進む気がする。

自分は病気が見つかってから手術を受けるまで、仕事の忙しさにかまけて、病気のことを大して知らないままだった。
この本を読んで、ここ数年、すぐに高熱を出したり、傷が治りにくかったりしたのも、がんで免疫力が落ちていたからなのかなあ、と今になって思い当たるような体たらくである。

分子標的薬やゲノム治療の可能性も書かれていたけれど、標的薬が副作用を起こさないとは限らないことや、がん細胞が多様性を持っているから、抵抗性を持つものが生き残り、根絶できないことなどあって、まだまだ課題は多いらしい。

う~ん、自分にはがん治療革命の恩恵に浴することができる時間があるのか、何か微妙な状況だなあ。

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2019年05月19日

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情報が氾濫する中、科学的に正しい情報がまとめられた好著。全体を通して感じたのは、どうしても発生する遺伝子のミスコピーなど「がん」のきっかけになる事態に、人体がちゃんと対応してがんの芽をせっせと摘んでいること。それを、かいくぐるがん細胞の死闘のすごさ。マンガ「はたらく細胞」のがんの回(特に2回目のほう)を読んでから、この本を読むと、いろいろ符合する。足場依存性がなかったり、多様に変異して免疫系を躱したり、ある意味、スーパー細胞なんだなと実感した。新しい薬の開発に期待。

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2018年12月09日

Posted by ブクログ

がんの基礎を体系的に理解できる本。
発生から転移の機構、治療のアプローチと仕組み、今後の展望まで。

素人が「がん」を理解するには充分な内容だと思う。
教科書的な記載が非常に分かりやすかった。

多分に機構の成果を主張しているのは、ご愛敬。

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2018年08月28日

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ネタバレ

著者である「がん研」の宣伝っぽい部分もあるが、がんの特徴、メカニズム、治療法や予防法まで幅広く最新の研究成果が分かりやすく解説されている。個人的には、細胞老化に関連すると言われるテロメアに関する説明が出てきたのが意外で、かつ、分かりやすくて面白かった。
本書は、遺伝子レベルの解析やビッグデータの利用によって画期的な治療法が期待できるということで結ばれているが、本書を読むと、がんというものが、調べれば調べるほど複雑怪奇で、治療法を改良しても改良してもしぶとく生き延びる(もっとも、がんが生き延びると人は死に、がんも死ぬので、がん自体は生物のような生存戦略を持っていないのだろうか。)不気味な存在のように思えてくる。

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2018年07月05日

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がんが遺伝子の病気であることは知っていたが、その複雑性に改めて驚かされた。そこからスタートして治療法や検査法が新しく開発されている状況も説明されている。早くがんを克服できる世界になってもらいたい。

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2025年02月18日

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 「がん」という病の不思議さ、それはひとえにその多様性に尽きる。なぜ様々な臓器に発生しそれぞれ性質が異なるのか。なぜ人によって同一治療の有効性に差があるのか。本書はがんの性質の不思議さをその本態と成因を詳述し、現代医療における最新治療との関連においてその謎を解き明かそうとする。
 
 本書によればがんの多様性は、がん細胞が単一ではなく非常に多くの種類の変異が蓄積されることによって発生することに起因するという。その原因の一つである遺伝子変異を例に挙げれば、その変異によりがんの発生と進展に直接関与する「ドライバー遺伝子」はこれまでに15個特定されているが、これらのうち同種のがんにおいて最も多く共通して現れるものでもせいぜい50%弱の頻度でしか発現しておらず、多くのものは10%以下にしか見られないという。つまりゲノムの変異自体は少数でもその組み合わせが症例によって大きく異なるのであり、従って治療にもその組み合わせごとに応じた個別性が要求されることになるというわけだ。

 また、がんは宿主の免疫系による攻撃を受けているが、変異の蓄積がゲノムの多様性をもたらすため、免疫系のチェックをかいくぐり環境に適応するゲノム変異がどうしても残存していくのだという(がんゲノム進化)。これにがん細胞のもつ増殖能、転移能を考え合わせれば、がん治療の困難さが否応なく理解される。

 余談。読んだ時期がノーベル賞の季節にたまたま重なったため印象に残ったのだが、本書中でフィビゲルなるデンマークの科学者に触れるくだりがいくつかある。彼は寄生虫ががんを引き起こすという「寄生虫発がん説」の提唱により1926年にノーベル賞を受賞しているのだが、後世にそれが誤りだったことが判明したという。現在のノーベル賞が、相当な期間をもって多面的に検証され、十分に確立された研究成果に対してのみ慎重に授与されるようになったのも、このような経験を経たからこそなのだろう。

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2021年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2017年ゼロ歳で男性62%、女性46%ががんに診断される。

癌の要因
遺伝子の多段階変異
 化学物質
 カビ毒
 放射性被曝
 細菌寄生虫:日本人に多いピロリ菌、B型C型肝炎
 遺伝子要因
  ALDHの働きが弱いとアセトアルデヒドを分解できず
  食道がんになりやすい。
 老化細胞の炎症SASP

大腸がんにはアスピリン、メトホルミン、スタチン

分子標的薬
核酸医薬

がんは不均一性、ひとつの薬ではやっつけにくい。

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2020年06月15日

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