山秋真のレビュー一覧
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日本は原発列島。でも、原発を作らせなかった地域も3か所以上
ある。紀伊半島がそうだし、石川県珠洲市もそうだ。
そして、西瀬戸内海の小島で原発反対を唱えて活動し続けている
人たちがいる。
中国電力が建設計画中の上関原子力発電所。予定地である田ノ浦
の対岸にあるのが本書の舞台となる祝島だ。
中国電力が建設を予定した地域の海には希少種の生物も棲息して
いる。海からの恵みを受け取って来た島に生まれ、歴史を辿れば
村上水軍の血を受け継ぐ人々は、海を守る為に巨大な権力機構で
もある電力会社に立ち向かう。
反対運動の中心となったのは島の女性たちだ。正に「おばちゃん」
パワー。毎週のデモに加え、船に乗 -
Posted by ブクログ
読んでいてため息の出る本だ。本当に頭が下がるというか、信じられないような心の強さを思い知らされる。目と鼻の先の対岸に計画された原発に対し、自分たちの生活の基盤である恵み豊かな海や自然を守ろうと、男女年齢を問わず懸命に繰り返される、瀬戸内海に浮かぶ小さな島「祝島」(いわいしま)の島民たちの30年にも及ぶ原発阻止運動のレポート。驚くべき粘り強さと行動力のドキュメンタリーだ。
中でも印象に残ったのが、「どうしても原発が必要なら、交付金を出さんようにしてください。(中略)そしたら、原発をほしい自治体しか手を挙げんと思います。」という漁民の声。もう一つは原発計画が浮上して間もないころ作られたという「上原 -
Posted by ブクログ
わたしは能登半島の珠洲原発建設計画に揺れた珠洲市に住んでいます。この著者とも顔見知りです。
珠洲原発計画が凍結されたあと,祝島に行っていたんですね。
山口県上関町の祝島も,ずっとずっと前から原発計画に反対してきた地域です。
どちらの町でも,市民が推進・反対に分かれて,余計に地域の活性化のブレーキとなっていくのが悲しいです。
「国策」の「国」とは,「国民」の「国」ではないんです。
「国策」の名の下でいろいろな施設を押しつけられた地域に住んでいる人たちは,とっくの前に,そのまやかしに気づいています。だからこそ,大量のお金をもらうことで,納得する人がいるのです。 -
Posted by ブクログ
タイトル中の「原発をつくらせない」という表記を見て、「著者は原発推進派。しかし世の中には、原発を作らせない反対派もいるので、推進派から見た反対派を描く」という内容かと思いましたが、実際には、「著者は原発反対派。そして、反対派から見た反対派の活動を描く」という内容でした。
小さく切り取られた範囲の中での話でしかないので、この本の内容をもって「やっぱり原発反対」となる人がいたら(著者の狙いはそこにあるのかもしれませんが)、それには違和感があります。
原発に関しては、もっと根本的なところから、あるいは、もっと長いスパンで、あるいは、もっと広い範囲で考え、ステークホルダーを事前にできるだけ多く巻き