大川恒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私どもの職場ではワールド・カフェがよく開かれる。旅人のようにテーブルを移動するスタイルは他のグループワークにはない体験であり当初は新鮮であったが、他のグループワークとの違いも理解できぬまま日時だけが過ぎていった。そんな中である雑誌の書評で紹介されていたのが本書である。本書を読むことで、ワールドカフェの歴史と意味や意義が理解できた。そして、その会話で重要なのが、私が今一番興味を持っている「ダイアログ」である。そのことも共感とともに理解が進んだ。いくつかの事例が紹介されており、読み進めているうちに私共が行っていた「ちえのわ」の紹介がされており、情けないことに本書でその意義が再確認できたのが、一番の本書の収穫であった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ私たちの社会は今、大きな変動期にあります。この変動期では単純な過去からの学びだけでは解決できない問題がたくさんあります。まったく新しい環境、新しい問題に対峙するには、未来を創造し、未来に学ぶことが必要です。U理論をはじめとするコンセプトをもとに、多くの人を巻き込んだ対話を行うことで、新しい未来を創造するアプローチ。それがホールシステム・アプローチです。社会問題、企業、個人。これから先、問題に対峙することが必要な人は、今までのシステムに加え、このホールシステム・アプローチを理解することは必ず必要になります。
以下、要約と解釈の整理です。
○ホールシステム・アプローチとは
できるだけ多くの関係者が集まって、自分たちの課題や創造すべき未来について話し合う手法のこと。ただし、ただ話し合うのではなく、この課題の解決や創造すべき未来の実現に向けて、互いの中にあるわだかまりを廃し、新しい可能性を見出し、その実現への意思を共通化するというもの。情報共有ではなく、真なる理解の共有をするための手法、といえます。このため
・ダイアログ=対話をベースにしており
・ダイアログにより新しい知識を生み出すことに大きな価値を置き
・関係者を幅広く参加させ
・参加者の自主性・自立性を最大限に活かし
・一貫してポジティブな場を提供し
・全体脳=集合知を利用する
ということが特徴となっています。
このホールシステム・アプローチが必要になっている背景には
①社会全体がより複雑に関連するようになった
②急速に環境が変化するようになった
③従来型(ケーススタディなど)の組織変革では解決できない問題が増えた
④関係者の合意、意思の共通化へニーズが高まっている
⑤新しい未来の創造=イノベーションが強く求められている
といったものがあげられます。これは昨今、野中郁次郎氏の知識創造企業や、オットー・シャーマー氏のU理論への注目が急激に高まっている要因でもあります。知識創造企業を野中氏と共著した竹内弘高氏は現在、ハーバード・ビジネススクールで競争戦略のマイケル・ポーター氏と共同でクラスを持っているほどですから。
こうした背景もあり、ホールシステム・アプローチは、知識創造企業、U理論に加えて、ダニエル・・ピンクのモチベーション3.0やコトラーのマーケティング3.0なども取り込んで、実践レベルに落とし込まれたもの、という内容になっています。
○ホールシステム・アプローチ実践のポイント
まず、ダイアログのための基本要素として
・安全な場 : 対立しても関係性が壊れず、全員が対等に話せる場
・参加者の姿勢 : オープンに聴き、話せる
・意識の集中 : テーマに集中して議論できる
というものを用意して、会話の質を向上させることが必要です。逆に言えば、これだけで質の高い集合知を得ていくことが可能になります。
そして、目的や参加者、会場などを念頭に、あらゆるミーティング手法を駆使してダイアログを進めていきます。このとき
・結果と成果を明確化する(無目的にやるのはただの雑談)
・プロセスとして展開する(単発ではだめ)
・全体を巻き込む(関係する人の全て、または代表者、中心人物を巻き込む)
・カスタム・メイドする(固定化された方法は通用しない)
という4点が必要となります。
その上で
1・全体を感じ取る・俯瞰して見つめる
2・未来の可能性を思い描く
3・実現に向けた検討項目を洗い出す
4・行動計画を作成する
というステップを踏んでいくことになります。
ただし、ホールシステム・アプローチは時間がかかる点には注意が必要です。
・スピード・効率性が重視される場合
・情報伝達・指示を目的とする場合
・結論が決まっている場合
はホールシステム・アプローチは向きません。それぞれにあったファシリテーションが必要です。
○ホールシステム・アプローチに使う主な手法
ホールシステム・アプローチで紹介されるミーティング手法は4つあります。
・AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)
あるがままの現在を見つめ、肯定的に受け入れ、新しい可能性を探求する手法です。
肯定的なテーマ設定をしたのちに
・Discovery : よいところ=ポジティブコアを探す
・Dream : 可能性を描く
・Desing : 実現方法を考える
・Destiny : 変革を持続させる
のサイクルを継続してきます。
参加人数は何人でもできることが特徴であり、ホールシステム・アプローチのベーシックな手法ともいえるかもしれません。
・OJT(オープン・スペース・テクノロジー)
参加者が自ら場作りをして、対話を重ね、具体的なテーマに対する実現の可能性を探求する手法です。
・オープニング : 全体の流れを共有
・検討テーマの提案 : 参加者が検討テーマを自ら設定
・マーケットプレース : どのテーマについて検討するかを参加者が選ぶ
・分科会 : テーマごとに分かれてダイアログ
・プロジェクトの提案 : ダイアログの結果を実行するためのプロジェクトを参加者が提案
・実行チームの編成 : 参加者が自らの意思でやりたいプロジェクトを選ぶ
・クロージング : 全体の振り返りとシェア
という流れで行います。
数名から数千名規模でも実行でき、実行計画を作り上げるときに有効な手法です。テーマの提案の前にワールドカフェを実施しておき、セットで開催すると一連のホール・システムアプローチになります。
・フューチャーサーチ
特定の課題に関係する人を一同に開始、過去から現在、そして未来に向けてさまざまな角度からダイアログを重ねてビジョンとその実現に向けた計画に落とし込むための手法です。
3日間のプログラムが推奨されており、
・初日は過去から現在の外的な状況の認識共有
・2日目は現在の内面的な状況を共有し、未来へのシナリオ作り
・3日目でビジョンを策定し、実行計画へ落とし込み
という流れで行います。
25名以上で64名が理想的な規模。企業やプロジェクトの合宿で有効なアプローチでしょう。
・ワールドカフェ
カフェのようなリラックスした空間でダイアログを重ね、アイディアを融合して集合知を作り上げるアプローチ。
・テーマ設定
・3回(またはそれ以上)のラウンドに分けた4~6人での対話
・ラウンドごとにテーブルを移動してメンバーはシャッフル
・最後に全体で振り返り
という流れ。アイディアを新たに生み出したり、それを収斂したり、互いの共通認識を得るという点で有効な手法。しかも他の手法に比べると手軽に開催することができます。実行計画に落とし込むためにはOJTをワールドカフェの後に開催することが必要になります。 -
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情熱を注げる企画を探している折に見つけた書籍。最近のテーマは「企画立案と実行」。本書は、アイデア出しや企画立案のためのワークショップ技法であり、かつ、アイデア実行までをフォローする。多少なり、リーダーシップ論と絡めているところがある。
■著者が抱く課題と本書の意義
自分ですごい!と思うアイデアや前から持っていたアイデアがあったとしても、躊躇してしまい、実現に向けた一歩を踏み出せない人は多いのではないか。そんな人たちへ向けて実現までドライブしていくための方法論、OSTを紹介する。
■OSTとは
OSTは、実行したいアイデアや解決したい課題、探求したいテーマを参加者が提案し、それに賛同する人が集まって話し合うことにより、具体的なプロジェクトを生み出したり、議論するためのワークショップ手法。参加者には自発性と貢献性を要求する。
■ OST4つの原則
・ここにやってきた人は、誰もが適任者である
・何が起ころうと、それが起こるべき唯一のことである
・いつ始まろうと、始まった時が適切な時である
・いつ終わろうと、終わった時が終わりの時なのである
■ 移動性の法則
自分が参加したグループで、自分の貢献度が低いと感じた時には、いつでも他のグループに移動できる。自発性、貢献性で仕事を持つ
→社内でもこういう風に仕事をするといい。役職や立場で仕事が割り当てられる従来のやり方は、自発性や貢献性を引き出しにくい。
■OST2つの仮説
・人は自分が本当にやりたいと思ったことに取り組むとき、最大限の能力を発揮する
・参加者の内発的な動機から自発的に行動するためには、ファシリテーターはコントロールを手放して、参加者の行動上の自由度を高めなければならない
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Posted by ブクログ
近々,恋愛カフェを開催したいと思っています。「恋愛」について様々な立場の人がざっくばらんに話し合う,そういうイベントです。ただ,どのように開催すればいいかわからないので,参考になりそうな本を探していたところ見つけたのが本書です。
本書はワールド・カフェのマニュアルであり,これ一冊と頭を悩ます時間,実行する勇気さえあればワールド・カフェが開催できます。事例も豊富に載せられているため,自分の開催したいカフェと近い取り組みを臨場感を持って擬似体験できます。
著者らは本書以外にも本をいくつか出しているので,それらも参考にすれば事前勉強はよりバッチリになると思います。
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Posted by ブクログ
ネタバレ■Q1. OSTには、どのような効果があり、どのように運営されているのかを知る。
[効果]
OSTは、アイデアの実行力を高める場をつくることを目的とした手法である。
アイデアの実現や課題解決に向けて、様々な視点、立場、組織の人々と協同するという、新しいタイプのリーダーを生み出す効果がある。この理由は以下の通り。
①OSTでは自発性が尊重される
→強い意志と責任感を持って参加するリーダーを生み出す。
②集団の中でテーマ出し
→積極的に前に踏み出す勇気を示すリーダーを生み出す。
③OSTでは、どの検討会に参加するかは個人の自由(移動性の法則)であるため、メンバーの共感を引き出して自発的な参加を促すリーダーシップが必要となる。
→権限に頼らず、態度と姿勢でリーダーシップを発揮するリーダーを生み出す。
④OSTのテーマは答えが自明ではないため、他者の協力が不可欠であり、ダイアログが必須
→ディスカッションではなく、ダイアログで合意を形成するリーダーを生み出す。
※ダイアログとは:図1-2
※相手の発言の意図を「探求」することが重要:図1-3
⑤OSTのテーマは答えが自明ではないため、メンバーの能力を引き出せる必要がある。これには、専制君主的に振る舞うのではなく、部下を信じて任せることで、貢献している実感を持ってもらうことが重要である。
→メンバーが能力を発揮できる環境を整えるリーダーを生み出す。
※部下の能力を引き出すリーダー:図1-4
⑥これらにより、メンバー自身のリーダーシップが育まれる。
[アイデアの実行が促進される理由]
変化がゆっくりしていた時代には、ビジネス実行のための知識やスキル、ノウハウが安定していた。そのため、経験者や上位者の指示で動くことが効率的であった。
これに対して、VUCAの時代には、アイデア出しとアイデア実行には他者の協力が不可欠である。そのためには、個々の参加者が、テーマに情熱と責任を持って積極的に参加すること(=リーダーシップが醸成されていること)が必要となる。情熱が強くないと困難を乗り越えられないためである。OSTは、リスクを感じることなく自由に意見を述べることができ、行動が制限されない、安全で安心できるオープンな場を作り上げることで、リーダーシップの醸成とともにアイデアの実行を促進する。この際、ファシリテータの振る舞いが重要である。
[運営]
①オープニング
サークルになり、ファシリテータが目的、プロセス、グラウンドルールを説明する。
・グラウンドルール
・4つの原則
・ここにやってきた人は、誰もが適任者である。
・何が起ころうと、それが起こるべき唯一のことである。
・いつ始まろうと、始まった時が適切な時である。
・いつ終わろうと、終わった時が終わりの時なのである。
・移動性の法則:自分の意志でいつでも他の分科会に移動してよい
・蜂:ある分科会から別の分科会に移動する人
・蝶:どの分科会にも参加しない人
②テーマ出し
ファシリテータが提案を募集する。サークルの中心に出てテーマを提案する人が現れるのを、辛抱強く待つ。※全体ファシリテータの役割はここまで。あとは分科会ごとのファシリテータに任せる。
③マーケットプレイス
各自の意志に任せて、テーマごとにチームを分ける。
④分科会
自主的な運営が重要。移動性の法則、蜂、蝶を守って実践する。
⑤クロージング
サークルになり、感想を述べあう。
■Q2. 自身の業務に適用できるOSTの要素、および、期待できる効果を見つける。
OSTのファシリテータの態度や振る舞いから、組織マネジメントへの示唆(★印)が得られる。
①目的を共有して場を開く
参加者が貢献したい/貢献できる/貢献すべきと思える目的を設定することで、参加者に情熱や責任を持ってもらうことができ、能力を引き出すことができる。
★ミッション(何のために存在するのか)とビジョン(何を目指すのか)を共有すること。メンバーが情熱と関心を持てる共有ビジョンを、対話を重ねて決定することで、各自に貢献したいという自発的行動が生まれる。
②グラウンドルールを示す
グラウンドルールを示すことにより、安心、安全な場であると認識してもらう。これにより、主体的な行動や積極的な意見を引き出せる。
★バリュー(組織として何を大切にするか)や行動指針を共有すること。それを守れば何をしてもよいという安心、安全な場を作り、参加者の積極的な参加を促すため。
③フラットな関係の場を作る
フラットな関係の場を作ることにより、安心、安全な場であると認識してもらう。
※成功循環モデルにおける「関係性の質」が根底にある(図3-2)。いきなり成果を求めず、関係性の質を高めることから始めることが大切。
※キーパーソンやポジションの高い人には、事前に説明しておくことが重要。
※サークル状の椅子配置が大切。
④今ここに集中する
第一原則に従い、お互いを尊重して目の前のメンバーで最大限の成果を出そうとすること、および、第二原則に従い、むやみに意見を否定せず受け入れることで、主体性に目覚めることができる。そして、一歩前に踏み出しやすくなる。
★コントロールできることに集中する。それを日常的に発信し続けることが重要。
⑤内なるリズムで行動するように促す
積極的なリーダーが生まれることを期待できる。一方、つねに時間で管理され、誰かの指示によって使われていると、自発性が損なわれてしまう。また、多様性により創造性が生まれることを期待できる。
⑥コントロールを手放す
OSTのファシリテータに望まれることは、自己組織化が起こりやすい場づくりである。これにより、自主性や自律性が育まれる。そのためには、コントロールを手放して介入しないことが重要である。①目的の共有、②グラウンドルールの明示、③フラットな場づくりにより、コントロールを手放すことが可能となる。
※コントロールを手放したうえで、⑦場をホールドし、⑧混乱に耐える覚悟を持つこと。
★ミッション、ビジョン、バリューを共有し、安心、安全な場づくりを心掛けることにより、コントロールしないで信じて任せることが可能となる。
⑦場をホールド(保持)する
安心、安全で心地よい場を「確保」することが、リーダーが現れるための重要な条件である。そのためには、ファシリテータの行動ではなく態度が重要である。場に集中し、つねに「何のために、ここにいるのか」を自らに問い続けること。
⑧混乱に耐える覚悟でのぞむ
参加者を信じて自主性に任せる。クラエス・ヤンセンの混乱の部屋(図3-4)は、自発的な行動や創発的な協同のチャンスとなる「建設的な混乱」である。
■Q3. どのような問題を抱えている場合に、OSTの適用を考えるべきかを知る。
・Value Engineeringや基盤研究のネタ出しから、さらに実行においても有用ではないか。