森田正馬のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
再読。
この本は、形外会の記録(森田全集第五巻)の参加者、そして森田自身によって、読むだけで神経質が治った、と繰り返し言及されている伝説の書である。
この名著には、今から思うととてつもなく革命的な強迫観念の定義がなされている。
いわく、「強迫観念とは、自ら思うことを思うまいとする心の葛藤のことに名づけられたものである」と。
通常強迫観念は、自分の意思に反して不合理な観念が繰り返し起こることとされている。
森田では、観念が不合理ということは要件にされない。そして、繰り返し起こるのを避けようとするからこそ生じるのであるという発想の逆転により、強迫観念という病態の本質、原因論までこの一行で言い尽くし -
Posted by ブクログ
日本で独自の神経症治療を試みた森田正馬、その元患者たちとの座談会をまとめたものが本書である。
この本では神経症の治療過程が述べられているわけではない。この座談会では神経質の症状や人生について様々なことが話題に上がる。その応答は、師匠と弟子とでもいえるような関係のなかで行われ、人生観に係る内容の「教育」も行われるのだから、二重の意味で「先生」を囲む会になっている。精神疾患について学んでいくと、こういう宗教的ともいえるような団体の話がでてくる。アルコール依存症にとってのAAや断酒会はその中でももっとも代表的なものだろう。
この本が最初に出版されたのが1959年だが、戦前、戦中をとおして強迫神