ツチヤタカユキのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
きっと好き嫌い分かれると思うけれど、この全ての文章が刺々しい感じが好きだ。
自伝なのでどの程度脚色が入っているかは分かりかねるが、私はこの本に強烈に惹き込まれたのだから事実のほどはどうでもいい。
こういう一つのことしか出来ない人物に惹かれるのはきっとその人が、自分なら簡単に出来ることが出来ないという「付け入る隙」と自分では到底不可能なことをやってのける「畏れ」を持ち合わせているからだと思う。
笑いに命をかけるというのは自分には縁の無かった世界で、だからこそ手に取ったのだが、脚光と名声に支えられてるだけのチャランポランの張りぼて野郎が書いたものだったらどうしようという不安は読むまで少々あった -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画がすごかったので、原作も読んだらこっちもすごい。エグさがすごいのだけど、逆に映画には映画なりのエグさがあってどっちもエグい。とことん本人なりのお笑いを追求する姿勢がすごい。しかし、あくまで裏方である芸人の作家を目指していてプレイヤーは目指さない。適正があるので、芸人そのものを目指すべきだとは言えないが、選ばれないと成立しない立場はつらい。
それに厳しいことを言えば、なにがなんでも作家になりたいという気持ちがない。ジャニーズのタレントがジャニーさんに性加害をされても耐えて栄光をつかんだように、ディレクターのケツを舐めてでも作家になるという気合がない。ボケを作る、ネタを作ると言う得意なこ -
Posted by ブクログ
一気読み。
大喜利に始まり、漫才、コント、落語と沢山のネタを創り出した著者。
笑いを生み出しているはずなのに著者自身が笑う描写がほぼ無かった。
狂気じみていて猟奇的、それでいてとても情熱的。
唯一自分の正義を信じて生きていけると思ったお笑いの世界でも現実を突きつけられ、社会や人生に対して嫌悪感を抱き続ける日々。
自分の正義を貫いて一つのことにここまで狂うなんてまず普通じゃない。
それでもネタを量産する手は止めずにずっと動かし続ける姿は恐ろしくもあるけど、周りの景色が見えない程に熱中するパワフルさ、生命力みたいなのを感じた。
ピンクも元カノさんも本当に素敵な人。
二人もきっと刑務所や学 -
購入済み
夢に生きたいと思える本
想像もできないほどの挫折を重ねて、この作品が出来上がったのだと思うと、人生に意味のないことなんてないのだなと思いました。
1日1日を意味にするってことが、報われるってことなのかなと。
まさに「ぶっ刺さる」作品でした。こんなにエネルギーの詰まった作品に出会えて嬉しいです。
毎日を無碍に生きることが嫌な人、退屈な人、ぜひ読んで欲しいです。 -
Posted by ブクログ
又吉直樹に似たような小説を探していたら、Yahoo知恵袋でこの「笑いのカイブツ」が挙げられていて、映画化もされてるし、興味本位で読んでみた。
ここまで人間は自分の目指すもの、欲求に対して行動力を持続して発揮できるものだろうかと疑いたくなった。読んでいて文章の巧さとかではなく、主人公のただ笑かすために不必要なことを削ぎ落とした日常は痛みすら感じて読んでいてヒリヒリさせられた。
私自身も主人公からすればしょーもない人生を送っている1人なのかもしれないが、物語を通して苦しさを感じれたのはよかった。
後は好きな作家に西村賢太と高橋源一郎のことを挙げていたのがなんか嬉しかった。
まさか、1日で読めるとは -
Posted by ブクログ
ネタバレ創作に真剣に向き合う人間は、カイブツになることがある。
ならなきゃいけないわけではないとは思う。
ここまで一直線に向き合った人間が、社会に受け入れられないことは、すごく悲しい。
寂しい気持ちになる。
主人公の性格に共感し過ぎてしまう部分がある。
というか、主人公は筆者なのだけれど。
純粋なものが非常識で、不純なものが常識な社会。人間というもののベースが不純だ。
カイブツの方が大切なのに。
大学生の自分はこうだったよなって、思い返すことになった社会人一年目に読んでよかった本だった。
作中にも挙げられているように、西村賢太の苦役列車を思い浮かべた。純粋ゆえに悪態をついて世の中に受け入れ