山田俊弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ生態学の基本的概念、生物多様性理解に必要な部分を網羅している。
知識は全くないが関心があるという層に、誤解や思い込みなく情報を提供している。
おそらく高校生以上なら理解できる。
肝になる論文を抑えていて、リファレンスからチェックができるという科学論文の形式に則っている。
この本の視点から(入門書として)生態学を学ぶと、目的をはっきり持って必要な知識を身につけていける。
環境問題とは、古くは公害問題、近年では地球温暖化問題という切り口がメインストリームであると思うが、生物多様性の減少を中心に据えていることは、極めて高く評価できる。
人間活動(生息地の破壊、乱獲、外来生物、気候変動)は、可変の -
Posted by ブクログ
なんで生物が絶滅する事が悪いの?
この疑問に対するひとつの解答を提示する本。
環境保全の理由としてよく挙げられるのが、「生物多様性を守るため」というもの。しかし、生物多様性を守る理由、すなわち「生物の絶滅は悪だ」と考える理由はあまり考えられていない。本書においては、この生物を絶滅する理由を倫理的な視点を中心に、応用生物的な側面も含めて解説している。
他の多くの生態学的な本が述べてきた「人類の発展に資する」という理由の危うさから、「自然の摂理だから絶滅なんてしょうがない」論まで丁寧に検証している。
小難しくなりがちな環境倫理学を分かりやすく砕き伝えた名著だと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表紙裏の言葉には
過去の地球で起きた五度の
“大量絶滅”をはるかに凌ぐ勢いで
生物多様性が失われつつあることがわかってきた。
この第六の大量絶滅期を生きる私たちは,
生き物の保全をおこなうべきだろうか?
もしおこなうべきだとすれば,
その理由はどこにあるのだろうか?
と書かれている。本書には,この質問に対する著者の回答が書かれている。回答かだけ知りたければ,一番最後の章「〈正義〉の生物学」を読めばいい。
本書のおもしろさは,「今の生物多様性を守らなければいけない」という理由として挙げられている内容に対して,一つ一つ取り上げ,学問的,哲学的にいちゃもんをつけるところにある。「あなたのい -
Posted by ブクログ
①生き物の保全はおこなうべきことなのだろうか?、②もしおこなうべきだとするならば、その理由はどこにあるのだろうか?という問いについて、保全不要論や弱肉強食論、役に立つから守る論などを論駁しながら考察し、どの生き物の命も尊重すべきであり、生き物を保全するのは正義に適うので、生き物の保全をおこなうべきと結論づける。
生物の保全はなぜ必要なのかについてじっくり考えるきっかけにはなったが、著者の論の進め方には、詭弁のように感じるところも多く、かなり違和感を覚えた。特に、後半の社会生物学論争の部分で、戦争を好むのは生存競争に有利だから致し方ないという説は論理的飛躍があると否定しておきながら、自身の生物保