山田俊弘のレビュー一覧

  • 〈絶望〉の生態学 軟弱なサルはいかにして最悪の「死神」になったか

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    生態学の基本的概念、生物多様性理解に必要な部分を網羅している。
    知識は全くないが関心があるという層に、誤解や思い込みなく情報を提供している。
    おそらく高校生以上なら理解できる。
    肝になる論文を抑えていて、リファレンスからチェックができるという科学論文の形式に則っている。
    この本の視点から(入門書として)生態学を学ぶと、目的をはっきり持って必要な知識を身につけていける。

    環境問題とは、古くは公害問題、近年では地球温暖化問題という切り口がメインストリームであると思うが、生物多様性の減少を中心に据えていることは、極めて高く評価できる。

    人間活動(生息地の破壊、乱獲、外来生物、気候変動)は、可変の

    0
    2023年11月13日
  • 〈正義〉の生物学 トキやパンダを絶滅から守るべきか

    Posted by ブクログ

    なんで生物が絶滅する事が悪いの?

    この疑問に対するひとつの解答を提示する本。

    環境保全の理由としてよく挙げられるのが、「生物多様性を守るため」というもの。しかし、生物多様性を守る理由、すなわち「生物の絶滅は悪だ」と考える理由はあまり考えられていない。本書においては、この生物を絶滅する理由を倫理的な視点を中心に、応用生物的な側面も含めて解説している。

    他の多くの生態学的な本が述べてきた「人類の発展に資する」という理由の危うさから、「自然の摂理だから絶滅なんてしょうがない」論まで丁寧に検証している。

    小難しくなりがちな環境倫理学を分かりやすく砕き伝えた名著だと思います。

    0
    2020年09月06日
  • 〈正義〉の生物学 トキやパンダを絶滅から守るべきか

    Posted by ブクログ

    生物学の本のようで、歴史や倫理や哲学の本。
    答えがあるわけではなく、この本読んで自分で考える事が大事かと。
    言葉の定義や仮説検証の仕方に、筆者の研究者としての真摯な態度が見えて良い。

    0
    2024年01月19日
  • 〈絶望〉の生態学 軟弱なサルはいかにして最悪の「死神」になったか

    Posted by ブクログ

    生物多様性の危機の現状が分かりやすく書かれていた。今現在は絶滅しているのは種の1%に満たないが、このままでは将来必ず大きな影響がでる。多様性を取り戻すのに膨大な時間がかかるし、影響に気づいてからでは手遅れという部分はガン治療のようだ。
    本書の最後にあった、人間は倫理的な生き物だから他者尊重と同じように他種の命を大事に、というのが肝要。

    0
    2023年08月16日
  • 〈正義〉の生物学 トキやパンダを絶滅から守るべきか

    Posted by ブクログ

    「トキやパンダを絶滅から守るべきか」を念頭に、これでもかこれでもかと、仮説を説いていく内容だ。途中、苦しくなってくるが、読み終わった時には、納得感で満たされることになる。

    0
    2022年01月10日
  • 〈正義〉の生物学 トキやパンダを絶滅から守るべきか

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     表紙裏の言葉には

    過去の地球で起きた五度の
    “大量絶滅”をはるかに凌ぐ勢いで
    生物多様性が失われつつあることがわかってきた。
    この第六の大量絶滅期を生きる私たちは,
    生き物の保全をおこなうべきだろうか?
    もしおこなうべきだとすれば,
    その理由はどこにあるのだろうか?

    と書かれている。本書には,この質問に対する著者の回答が書かれている。回答かだけ知りたければ,一番最後の章「〈正義〉の生物学」を読めばいい。

     本書のおもしろさは,「今の生物多様性を守らなければいけない」という理由として挙げられている内容に対して,一つ一つ取り上げ,学問的,哲学的にいちゃもんをつけるところにある。「あなたのい

    0
    2021年01月12日
  • 〈正義〉の生物学 トキやパンダを絶滅から守るべきか

    Posted by ブクログ

    同じ疑問を抱いていた時にちょうど本書に出会った。動物を何故守らなければいけないのか、明確な結論を求めていた自分にとって、あらゆる方向から検証し自分なりの答えを考え続けることが重要であると突きつけられた印象。生物学の根本にして永遠のテーマになるのだろうか。

    0
    2020年08月16日
  • 〈正義〉の生物学 トキやパンダを絶滅から守るべきか

    Posted by ブクログ

    答えの出ない問題という印象。著者の意見に納得できる部分もあれば、できない部分もあり、自分で考えることが大事なのかなと。

    0
    2022年12月01日
  • 〈正義〉の生物学 トキやパンダを絶滅から守るべきか

    Posted by ブクログ

    ①生き物の保全はおこなうべきことなのだろうか?、②もしおこなうべきだとするならば、その理由はどこにあるのだろうか?という問いについて、保全不要論や弱肉強食論、役に立つから守る論などを論駁しながら考察し、どの生き物の命も尊重すべきであり、生き物を保全するのは正義に適うので、生き物の保全をおこなうべきと結論づける。
    生物の保全はなぜ必要なのかについてじっくり考えるきっかけにはなったが、著者の論の進め方には、詭弁のように感じるところも多く、かなり違和感を覚えた。特に、後半の社会生物学論争の部分で、戦争を好むのは生存競争に有利だから致し方ないという説は論理的飛躍があると否定しておきながら、自身の生物保

    0
    2022年02月03日
  • 〈正義〉の生物学 トキやパンダを絶滅から守るべきか

    Posted by ブクログ

    生物学における倫理。倫理的に正しい直感が遺伝形質からくるのかもって話は面白かった。ITにおける倫理がちっぽけに思えるテーマだなあと思った。

    0
    2021年06月06日
  • 〈正義〉の生物学 トキやパンダを絶滅から守るべきか

    Posted by ブクログ

    生物の絶滅を防ぐという一見当たり前のように思えることを、生物学だけでなく倫理学等含めて幅広く徹底的に検証しようとする姿勢が面白い。

    0
    2020年09月21日