佐藤おどりのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
※現在出ている3巻までまとめての感想です※
教育図書教科書6年生紹介本。
鈴木彰吾は自他ともに認めるパーフェクトな小学校の児童会長。クールで知的な雰囲気で、スタイルも顔も良い。みんなの前で喋ることは得意だしサマになる。実は運動はそこまで得意じゃないんだけど…まあバレないくらいにはできている。鏡を見て思う。ほーらオレって今日も決まってるぜ。
しかし突然学校のみんなに秘密ができてしまった。今年から彰吾たちの学校にも集に何度か教えに来る変わり者の理科講師のキリン先生が実の父親だってこと。
キリン先生は背は高いけどひょこひょこ歩くし、体力は無いし、いきなり歌い出すし、なんでも理科で答えるから会話もビミョーに通じない。パーフェクトなオレにあんなユニークな父親がいるなんて知られたらきっとからかわれてしまう。
児童会長である彰吾のところには、生徒たちからの相談事や、小学校内のナゾが持ち込まれる。
理科室の人体模型が笑ったんだ!
クラスメートが緑色の太陽を見たって言うけど、そんなことあるの?
登り坂をボールが上がっていったんだ。
クールで知的な児童会長として謎解きに乗り出す彰吾に、キリン先生がその答えを示してくれる。
もしかしてオレの変わり者のお父さん、背は高いし(オレのお父さんだしな)、メガネを取ればかっこいいし(オレのお父さんだしな)、噛み合わないかのような会話だってよく聞いたら理科の面白い話をしてくれるし、なんといってもナゾの向こうにある真実を明かしてくれる、実はすごいお父さんなんじゃないのか!?
そんな「一見噛み合わないが、実は通じ合ってる」お父さんと息子くんが解いてゆく日常のナゾのお話。
現代児童書で、学校の身近な謎を主人公たちが解いてゆくものっていくつかありますが、その中でも読みやすいし、登場人物も良いし、謎とその科学的解説も良い。
「冷蔵庫が壊れたときにジュースを冷やす方法」とか、「エセ科学詐欺に引っかからないように」など役に立つことも楽しく知ることができます。
そしてキリン先生やPTA役員さんが「頼れる大人」で、彰吾たちが「信頼してもらえる子供」というのもいいですね。小学生でも詐欺に引っかかることもある。そんなときは頼れる大人に正直に話してね。大人は子供を見守りたいんだよ。
さすが教科書紹介本です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分は人の話を聞くのが好きだし、人に話すのも好きだ。
つまり雑談というコミュニケーションが好きだ。新聞記者のインターンをしたのも、きっとそれが関わってると思う。
人に何か聞くときは大体にして好奇心と興味が理由なので、「自分はあなたの話を聞きたがってますよ!」と伝える為に相槌をうつのだけど、主人公の原之内 菊子に相槌は必要ない。ただ、「はあ、へえ」と言ってるだけで一方的に相手が話してくる特殊な体質だ。
作中に根っからの悪い人ってのは出てこなくて、みんなどこかにユーモラスが備わってる。
自分が練馬在住なので練馬のにんじん畑の話には笑ってしまった。作品中に優しさが溢れてるから安心して読み進んでしまった。
物語の終盤に今までは聞く専門だった菊子さんが延々と語るシーンがある。
彼女には語る相手が必要だった。
会話をキャッチボールだとか、ラリーみたいな例え話をたまに耳にするけど、そんな同一テンポのやりとりなんてそんなに存在しない。
片方が喋り倒す時だってあるし、聞いてばかり時もある。
でもどこかで聞き手と話し手がフェアにならないと、関係性や信頼が崩れてしまう。
作中メインの話し手「桐谷」が終盤、菊子さんについて全然聞こうとしていなかった事に気づいて探しに行くのだけれど、いざ菊子さんも再開するとチームメイトとして迎えていれてるに留まっていて、とても自然だった。
上京してからずっと探していた居場所を見つけた菊子さんを想っただけで泣いてしまった。大人になってから上京した自分と、きっと重ねてしまったんだと思う。
聞く・話す
あまりにも日常にありふれた2つのコミュニケーションについて、もう一度考える事が出来た物語です。 -
Posted by ブクログ
原之内菊子には不思議な能力がある。
その顔を見たものは自分語りが止まらなくなってしまうのだ。悩み、愚痴、恋心……心の奥底に隠していた本音が、次から次へとダダ漏れになっていくという面白そうな設定に惹かれて手に取った作品だ。
誰しも、嫌なことや辛いことがあった時
「誰かに話を聞いてもらいたい」と思った経験が
一度はあるはずだ。
話すことで不思議と気持ちが楽になったり、
肩の荷が軽くなったりする。
菊子はまさに、周囲にとって
そんな救いのような存在だ。
しかし、楽しい話なら良いが、負の感情ばかりを聞かされるのは辛く、心が壊れてしまいそうにもなる諸刃の剣。
それでも人を信じ、心を癒す菊子の優しさに触れるうちに、自分の話を黙って聞いてくれる人が身近にいるということは、実はとても幸せなことなのかもしれないと思わされた一冊だった。