ラリイニーヴンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ【無常の月】
表題作にして白眉。
ある夜、月が異常な明るさで輝きだす。月は太陽光を反射している。つまり地球の反対側、昼の領域はもう……。というお話。
月という身近な存在に異常が起きるという掴みから、想像力を働かせて未曾有の事態にたどり着く衝撃。主人公は事態に勘づくが夜の街は平和そのもの、さて人類最後の夜をどう過ごすか、という哀愁。論理と情緒が両方詰まったハードな展開に心揺さぶられた。自分が読んだここ数年の短編では一番かも。
【帝国の遺物、中性子星、太陽系辺境空域】
同じ世界感を共有しており、ワープあり異種族ありで王道SF感がある。中性子星やブラックホールのアイデアは既視感がすごいけど、逆にこ -
Posted by ブクログ
SFマガジン700収録の一遍がいいな、と思ったので。
まずは短編集から。
数々の賞を取られた作家さんなのに、ちゃんと読むのは初。
SFマガジン700収録の『ホール・マン』はこちらにも収録。
結果、この一冊の中で一番好きなのは『ホール・マン』だった。
静かで、クールで、ちゃんとSF。
ファンタジーじゃなく。
というのが素敵。
全体として3種類くらいにタイプ分けできるかなーと思う。
まずは、ああ、これがSFってものだな、というタイプ。
異星人とか宇宙とか。
軽く読めるしこれを(私が好きな)ハードSFと呼んでいいものかは悩むけど、ちゃんとしている。
ちゃんとしているというのは、ファンタジーじゃ -
Posted by ブクログ
鴨は旧版「無常の月」も持っていまして、被っている収録作は2作のみ。現在絶版の短編集「中性子星」からもセレクトされており、ラリイ・ニーヴンをまんべんなく知るにはちょうど良い短編集だと思います。
バリバリのハードSFからファンタジーまで、ぱっと見はとっ散らかった感じですが、バックボーンに当時最先端のハードSFとしての筋が一本通っているところが、ニーヴンの面目躍如。軽いタッチの見た目とは打って変わって、相当考え抜かれた理論派作家なのだろうと思います。
・・・が、まぁ、軽いですね(^_^;
SFという文学ジャンルの中でも特に、ハードSFはアイディア一本で勝負できるジャンルです。SF的アイディアと舞台 -
Posted by ブクログ
そうだ、ラリイ・ニーヴンはハードSFを得意とする作家だった!と痛感したのは、本書収録一作目の「帝国の遺物」を読み進めて間もない頃。そこから「中性子星」、「太陽系辺境空域」にかけて(いわゆる<ノウンスペース>シリーズ)は理解が追いついていない描写が結構あります。とはいえ、それでもなんとなーく読み進められるのがニーヴンのニクイところでしょうか。
以前読んだ「リングワールド」もそんな感じでしたが、結構、いやかなり楽しめたように先述の三作品もない頭を絞りながら、楽しむことができました。
が、やはりお気に入りは表題作。アイデア一発ものといってもいいのかもしれませんが、現実の延長線上で起こりえそうな事象を