原田國男のレビュー一覧
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感動した。特に働き方について学ぶことが多かった。また司法と裁判官のあるべき姿・ありたい姿について自由な捉え方を可能にしてくれる。そして、人としての謙虚な考え方を一つ学んだ。
なお内容は法律モノのエッセイであり、判決文の書き方にまつわる小咄や、裁判官の趣味・生き方、司法制度改革に関わる意見など、いろいろな話が載っている。それぞれの話の特徴は、簡潔で知的に面白い内容であること。
判決文を簡潔にする石田裁判官と、文学的な長文とする四ツ谷裁判官の対比が面白く、石田裁判官が四ツ谷裁判官の補佐をした際には長文としていたという話も、石田氏の謙虚さが窺えて面白い。また若いうちは長い証拠文書を効率よく読もうとす -
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よく知らない裁判官の世界。裁判官が書いたものを読むのは初めてかも?
堅苦しい話はほとんどなくて、裁判官が世間からどうみられているか、それなりによく認識されていることに多少の驚きあり。。。彼らは、どのようにその世間の見方を知るのだろうかとか。
紹介されてた本が軒並み面白そう。
『法服の王国』『汽車ポッポ判事の鉄道と戦争 』『青春の柩―生と死の航跡』『裁判官の書架』『落日の宴』
法服の王国だけ、意外にも黒木亮さん作だったので、買ってみた。
厳密さは違うけど、内部監査の独立性や「保証」の難しさが、裁判所、裁判での事実認定と重なってみえて、妙な親近感がわいてきました。
・訓戒は無意味なのか
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裁かれるのも「人」なら、裁くのも「人」のはず。しかし、私たちにとって裁判と裁判官は、いまだ遠い存在だ。有罪率99%といわれる日本の刑事裁判で、20件以上の無罪判決を言い渡した元東京高裁判事が、思わず笑いを誘う法廷での一コマから、裁判員制度、冤罪、死刑にいたるまで、その知られざる仕事と胸のうちを綴る。(2016年刊)
・第一章 裁判は小説よりも奇なりー忘れがたい法廷での出会い
・第二章 判事の仕事ーその常識、非常識
・第三章 無罪判決雑感
・第四章 法廷から離れてー裁判所の舞台裏
・第五章 裁判員と裁判官ー公平な判断のために求められるもの
・おわりに
本書は、岩波書店の「世界」に連載したコラ -
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法律を扱う仕事をしているのに、法律や裁判にどこか苦手意識を抱いている。
試しに「裁判」の2文字を頭に浮かべると、イメージとして広がるのは、冷たいコンクリート色したグレーの世界。
もちろん、公平さを期するために感情を排した慎重なシステムであるべきなのはその通りだし、よくわかるのだけど。
でも、私が好きなのは、例えば新聞だったら家庭面に「ひととき」などの名前がつけられ掲載されている、誰かが綴った生活の小さなひとコマや喜怒哀楽の話なのだ。
本書は、長年の間、刑事事件の裁判官を務めていた著者による、裁判や裁判所、裁判官の仕事についてのエッセイ集。
エッセイといったって、そこは裁判官。
難しい、厳しい -
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裁判官を退官された著者がその仕事人生をエッセイで振り返られています。裁判官としての自分はこんな人なんですよということが紹介されていて面白く読ませていただきました。また他の裁判官のことについても少し話されていて、この仕事に就く人の日常といったものを知ることができます。仕事とプライベート、新人時代のことなど、今まで特殊な世界だと思っていたところが色々と分かって「へえー」と気楽に楽しめる内容になっています。
裁判官の主とした仕事である判決を出すということについては、現状の問題点含めて考えさせられます。こんなこと考えながら苦労されていたのだなということが分かって、裁判に対する気持ち的な理解を持つことが -
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藤沢周平「海鳴り」「玄鳥」「蝉しぐれ」
学者は締め切りになってから書き始める
人間は他人の良いところを学べず、悪いところばかり真似をすることになる。
司法権の独立は自浄作用を前提とする
まず余暇を入れてその残りで仕事をする。そうでないと仕事に追いまくられる。
無期懲役では自由に手紙を出せない、死刑なら出せる。
「若き志願囚」「偽囚記」
国民は少年であることを刑を重くする要素と考えている。
少年の大半は更生している。少年法の理念。
被告人から距離があるほど嘘を言っていると思いやすい。世間は罪人と判定しやすい。弁護人は無罪を信じやすい。
人質司法。
無実と身柄についての感覚がない -
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山田洋二監督の帯文「こんな裁判官がいる限りこの国の法曹界を信じたい」に惹かれ、手に取った。
元高裁判事の、雑誌連載をまとめたエッセイ。
法廷内での出来事とか、法曹界の課題問題を軽妙に綴っている。
その中で著者は、誤審判決に絡み、人を裁くことの意味を問い、人を裁くということは、人に許された仕事なのか、本質的に許されない業なのではないか、と逡巡する。
再審無罪までの時間の長さにも、裁判所の責任は、と問う。
監督の推薦文にも納得。
裁判官の判決文にふれ、「名文とは、文章の形ではなく、その中身であり、その訴えかける力の強さだと知る。そういう意味での名文を裁判官は目指すべきである。」と、述べている。裁