この本が役に立たないという訳ではないが、この本を読んでもすぐに交渉力はついてこない。
そもそも交渉場面は毎回状況や条件が違うわけで、場数を踏んでこそ実力として積み上げられるものだと思うから。
とくに難しいと感じたのは、「ドア・イン・ザ・フェイス」のような交渉の小手先テクニックと、それに対する交渉戦術の使いどころ。
交渉戦術を知らない人からみると同じように見えてしまうため、冷静な交渉戦術であっても小手先テクニックを使われていると思われかねない。
また、こちらがかなり利益の高い合意着地を果たせたとしても、そのプロセスに運要素が強ければ、交渉能力が高いとはいえないし、逆も然り。
交渉相手が「双方の最大限の利益を目指して」いる相手(自分と同じ志)か、そうでない相手かによっても大きく変わってくる。
交渉の手法も進め方も目指すべき着地点もケースバイケースで共通する最適解を実感しづらい。
自分は交渉となると、その場限りの雰囲気や立場関係に絶対に流されてしまうから、まず相手の要望や交渉が目指す本質を見極めようとする姿勢を身につけることがなによりも先決だと思った。
内容としては、交渉における手法だけではなく、商材販売・物販や営業のテクニックとしてイメージの付きやすい内容も多かった(主に、惑わされないように事前に知っておくべき心理戦術など)。
「交渉」というとやはり難易度高く感じられるが、「商材販売」の一貫と思うとイメージしやすく、実際に交渉する立場になった時にも知識に裏付けられた自信につなげられそう。
ただ論理的な説明がほとんどだったので、もっと具体的なケースに沿っての説明があると、想像しやすく活かしやすくなってたかも。
また、そうした方がいいことはわかってるけど現実なかなか難しいよーって内容もわりとあった。
●理想の交渉とは…
「相手が自ら納得して提案を撤回するか、修正提案といった形で譲歩してくれる(p.69)」ようにすることだと思った。
●交渉力とは…
①対立にあわてず、適切に事故種し、相手の価値を理解する努力を継続する
②表面的な態度屋、脅し、ごまかしに惑わされず、真意を見抜き、毅然と対応する
③交渉相手の圧力に屈して安易に譲歩せず、時には意見の対立を恐れず議論し続ける
④どれほど対立的な状況が深刻化したとしても、最後まで対話による問題解決をあきらめない
●無理な提案をされたとき、こちらの提案を受け付けてもらえない時など、とにかく使える!
「もう少し詳しく、説明していただけますか」
めちゃくちゃ誤字が多かったのが意外と気になったかな…