2019年出版の書籍であるが、在宅勤務の未来などを的確に予測している。日本は何を目指して行けばよいのか。
コロナ禍前にも関わらず、世界はデジタル化が浸透し、場所と時間に制約されず、出勤して働くという行為も減っていくという未来を予測している。
私自身、コロナ以前はそんな未来が訪れるのは遠い先の事と思っ
...続きを読むていた。
そういう意味で人間とは、どこまで行っても現状維持バイアスがかかるものだと改めて感じてしまう。
変わりたくないという人が多数いる一方で、時間の流れは益々速くなり、変化が急激になっていくのは不思議な感覚である。
いずれにしても我々に残された時間は少ない。
本書では、ネガティブ・ポジティブのシナリオが用意されているが、答えは明白だ。
現状のままでは確実にネガティブシナリオに陥るだけだ。
急いで改革を行わなければ間に合わない。
国民全員が不幸になっていって、足の引っ張り合いをしていくことになるだけだ。
少子高齢化と人口減少は待った無しであるが、その中でも経済を伸ばしていかないと日本の未来はないのだ。
一人当たりが豊かになれば、年寄り国家であってもそれなりに生きていける。
そういう未来の日本をどうやってデザインしていくのか。
そのデザインをどうやって形にして実行していくか。
私自身も50代となり、現役世代の中でも上の方であるが、だからこそ我々が先陣を切って改革せねばいけない。
守りに入って、負の遺産を若い世代に残してはいけないのだ。
年寄りも若者も、一人当たりの豊かさを求めるのであれば、その方法はデジタル化しかありえない。
労働の効率を極限まで高めて、生産性を上げるという発想だ。
本書で記載されていた「情報銀行」は一つのアイディアと言える。
個人情報が莫大な価値を生むのは明白であるが、その情報が現在はGAFA含めた海外企業に独占されてしまっている。
やはりここは日本国内に留めておきたいところだ。
欧州のGDPRのように「ルールで守る」という考え方もあるが、やはりせっかく価値を生むものは積極的に活用した方がいい。
これを日本の中で抱え込んだ方がいいということなのだ。
コロナ禍もあって、ようやくマイナンバーやデジタル庁などが進み始めた。
本来は一気に加速したいところであるが、目指す方向性が本当に合っているのか、そこは慎重になっているのかもしれない。
様々な識者が集まって喧々諤々の議論をしてのデジタル庁なので、なんとか頑張ってほしいと思っている。
若者にとって未来に希望を持てる国にしたい。
綺麗事であるが、私は本当にそう思っている。
自身で出来ることがあれば、少しでも役立つことをやりたいと思う。
もし「情報銀行」がうまく行き、情報産業が活性化すれば、その未来では労働分配率が大きく下がっていく話になる。
現在の日本はまだまだ製造業メインだから、労働分配率は高め。
ここが大きく下がっていくという話なのだ。
労働分配率が下がれば、格差が生まれる。
これについても社会保障や税制で何とかする。
話の展開を聞くと多少無理を感じる部分もあるかもしれないが、結局何か一撃を放てば全てが解決するという必殺技は無いのだ。
「出来ることは全部やる」という姿勢が大切だろう。
本書で示す通り「2060年に我々はどうなっていたいのか?」と考えるところからが原点ではないか。
最初に未来の世界感を考えて、そこに向けて何か対策を講じていくのがセオリーだ。
余りにも未来を考えず、短期的かつ単視観的に対処してきたから、今こんな日本になってしまった。
(少子化などはいい例だと思う)
長期ビジョンは夢のような話かもしれないが、むしろ夢を見ないといけない。
「夢がなければ先の未来はない」
まさにそう感じるのだ。
(2022/10/27)