中川織江のレビュー一覧
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唯一無二
早川雪洲は1914年から1960年代まで約90本の映画に出演し、ハリウッド黄金時代に「唯一の国際的日本人スター」として君臨した存在である。
特に1910年代後半は、マリー・ピックフォード、ダグラス・フェアバンクスと肩を並べる人気を誇り、彼の名前だけで映画が売れる時代があった。
早川雪洲以降、ハリウッドで「主演級スター」として長期間活躍した日本人はほぼ存在しない。雪洲はまさに「唯一無二」の存在だ。
本書は、ハリウッド草創期に単身渡米した早川雪洲(本名・金太郎)の波乱万丈な人生を、妻・鶴子との夫婦像を中心に描いた評伝である。
1915年の『チート』で悪役ながらセックスシンボルとなり、全米の女性を -
Posted by ブクログ
雪洲の人生も興味深かったし、ノンフィクションとして著者の調査、記述も良かった。
まず、雪洲についていえば、名前は知っていても、初期のハリウッドでそこまで大物だったとは知らなかった。周りの登場人物が、セシル・デミル、チャップリン、ヴァレンチノと豪華絢爛で、周りの人物のサイズからして、雪洲が対等なら本当に大物だったんだと納得する。この本を読むまでのサイズ感では、映画初期にハリウッドで成功したのは、米国で東洋人の俳優が少なかったのでたまたまそう言う仕事に出ていた、ある種ニッチな存在、または、その特殊性を売っていただけと思っていたので、新鮮であった。妻の鶴子さんと言う人も、川上音二郎の姪というのは知ら