【感想・ネタバレ】セッシュウ! 世界を魅了した日本人スター・早川雪洲のレビュー

あらすじ

全米を代表するアイドルとなり、ブロードウェーで主役を張り、フランスで国賓待遇として映画を作り、「永遠に保存されるべき名画」の主演俳優でもある――世界を舞台に一流スターとして君臨し続けた男。日本人が知らない超有名日本人を知るため、7年を費やして完成した超大型評伝。

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唯一無二

早川雪洲は1914年から1960年代まで約90本の映画に出演し、ハリウッド黄金時代に「唯一の国際的日本人スター」として君臨した存在である。
特に1910年代後半は、マリー・ピックフォード、ダグラス・フェアバンクスと肩を並べる人気を誇り、彼の名前だけで映画が売れる時代があった。
早川雪洲以降、ハリウッドで「主演級スター」として長期間活躍した日本人はほぼ存在しない。雪洲はまさに「唯一無二」の存在だ。

本書は、ハリウッド草創期に単身渡米した早川雪洲(本名・金太郎)の波乱万丈な人生を、妻・鶴子との夫婦像を中心に描いた評伝である。
1915年の『チート』で悪役ながらセックスシンボルとなり、全米の女性を虜にした彼は、排日運動の嵐に抗い、自ら映画会社を興す行動力を発揮した。日本では反日イメージで非難されたが、ブロードウェイやヨーロッパ進出によって国際的スターの地位を確立。『戦場にかける橋』(1957年)でのアカデミー賞ノミネートでキャリアの頂点を極めた。
豪奢な私生活や女性関係のエピソードも赤裸々に語られ、単なる伝記を超えて日米文化摩擦の鏡ともなっている。雪洲の「胸を張って生きた」力強さが心を打ち、知られざる日本人英雄の輝きに圧倒される一冊だ。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

雪洲の人生も興味深かったし、ノンフィクションとして著者の調査、記述も良かった。
まず、雪洲についていえば、名前は知っていても、初期のハリウッドでそこまで大物だったとは知らなかった。周りの登場人物が、セシル・デミル、チャップリン、ヴァレンチノと豪華絢爛で、周りの人物のサイズからして、雪洲が対等なら本当に大物だったんだと納得する。この本を読むまでのサイズ感では、映画初期にハリウッドで成功したのは、米国で東洋人の俳優が少なかったのでたまたまそう言う仕事に出ていた、ある種ニッチな存在、または、その特殊性を売っていただけと思っていたので、新鮮であった。妻の鶴子さんと言う人も、川上音二郎の姪というのは知らなかった。
雪洲は非常にスケールの大きな人物だと思うが、人間生まれながらにスケールが大きいということは無かろう。一旗挙げようと外国に渡るものは五万といるだろう。そのうち成功するものは、ほんの一握りだ。雪洲とその他の四万数千との差は何か。最初からそれほど差があったとは思えない。米国に徒手空拳で渡った後は、食い詰めもした。
しかし最終的に大成功を収め、世界中に名を知られるようになった原動力は、雪洲が常に大きなものに「賭け」続けてきたからではないかと思った。普通の人は、少しお金ができれば、ここらで良いかと思う。多少上手くいけば、次には失敗しないように守りたいと思う。雪洲の事績からは、彼が常に有り金を次の賭けに注ぎ込んでいるように見える。負ければ、一文無だ。実際負けたこともある。しかし雪洲は賭けることをやめない。そうやって積み重ねてきたものが、年を経て無名の存在と、煌びやかなスターの差になっているように思う。しかし雪洲は常に、その差を生んでいる目も眩むような高い崖の崖っぷちに立っているのだ。

著者は丹念に調べていて、完璧主義と見える。その調べた内容を、歯切れ良く書いていく。雪洲の個人的な想いや、感想、その時どういう気持ちだったかの憶測は、インタヴュー等の資料がない限り行わない。その抑制的な筆致が雪洲の姿を、ブロマイドを見るかのように浮かび上がらせている。
面白かった。

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

雪洲とレオナールフジタは同い年。
共に日本より海外で評価されている。
この2人の比較が面白かった。
明治期の飛躍を育んだ江戸という時代につい、思いを馳せてしまう。

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2013年03月22日

Posted by ブクログ

名前は知っていたけれど、どのような経歴の持ち主なのか、不勉強で全く知らなかった。世界をまたにかけた日本人スターの生涯。

この人の生涯を描く映画が企画されていたようだが、実現には至っていない。波乱に富んでいるので、観てみたいと思うのだが。

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2013年02月17日

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