富岡多恵子のレビュー一覧

  • 男流文学論

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    とっても爽快でした。座談会形式の評論ですがとにかくおもしろかった。いかに我々がジェンダーバイアスに晒されているか考えさせられました。解説が斎藤美奈子氏でさらにお得。

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    2011年11月24日
  • 波うつ土地・芻狗

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    個人的には「坂の上の闇」が最も面白かった。主人公福間一紀の心理分析や心境変化を極力排し狂気性を持った異行動の描写により読者へそら寒さを感じさせることに成功している。一転して福間大夫との関係性は、おそらく男色による性の抑制による暴発と過去そして先々に渡る精神的軟禁を思わせ、それらの事実を語ることなく読者へ訴えかける手法は見事だ。この作品があまり話題に上ることがないのが不思議なくらい出来がよい。

    次点で「芻狗(すうく)」。「芻狗」とは神前に供える藁細工の犬のことであるが、顔のない「わたし」が人身御供として淡々と男性と性行為を重ねる姿は性を軽んじることで生を虚無化しているように映る。ラストの遊園地

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    2018年08月29日
  • 男流文学論

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    吉行淳之介、島尾敏雄、谷崎潤一郎、小島信夫、村上春樹、三島由紀夫の6人の作家と作品について、上野千鶴子、小倉千賀子、富岡多恵子の3人が語り合った鼎談を収めています。わが国におけるフェミニズム批評の嚆矢とは言えないまでも、フェミニズム批評の活性化に大きく寄与した本と言えるように思います。座談会ということもあって、三者ともかなり辛辣な言葉を吐いていますが、制度化してしまったフェミニズム批評には見られないおもしろさがあります。

    村上春樹の文体について富岡が作家の視点から鋭い分析をおこなっている箇所には目を見張らされました。また上野が、島尾の小説に対する吉本隆明の批評や、小島の小説に対する江藤淳の批

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    2017年09月24日
  • 男流文学論

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     俎上に載せられた作家と作品は、
     吉行淳之介「砂の上の植物群」「驟雨」「夕暮まで」
     島尾敏雄「死の棘」
     谷崎潤一郎「卍」「痴人の愛」
     小島信夫「抱擁家族」
     村上春樹「ノルウェイの森」
     三島由紀夫「鏡子の家」「仮面の告白」「禁色」
     
     このうち、わたしが読んだのは島尾敏雄の「死の棘」だけだった。以前は小説をあまり読まなかったうえ、近頃は主に女性作家のものをよく読んでいるからだ。しかし、ラインナップを見てみると錚々たるメンバーの有名な作品群であることはわかる。やはり、読まなかったのは、読もうとしても、解説なり批評なりを見て、自分に近く引き寄せられるものを感じなかったからだと思う。
     

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    2011年12月06日
  • 波うつ土地・芻狗

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    ネタバレ

    「波うつ土地」★★★★
    「坂の上の闇」★★★
    「芻狗」★★★
    「結婚」★★★
    「箱根」★★★★
    「環の世界」★★★

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    2024年04月12日
  • 波うつ土地・芻狗

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    木下古栗が薦める「芻狗」という短編が収録されているので読む。この文庫には『波打つ土地』と短編集『芻狗』の二作を収録。

    『波うつ土地』は共子が退屈な男を買うところからはじまり、周囲の人間模様を描く。女性を中心に話を進み、男性の影は非常に薄い。さばさばとした小説。

    「芻狗」は、性交の相手を物色して、関係を持つさまを描く。木下古栗は「とても尖っている」と評している。

    個人的に面白かったのは、遊郭での殺人事件を扱った「坂の上の闇」、恋人の親族の理由が読めない言動が不気味な「環の世界」の二編。

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    2022年12月13日
  • 男流文学論

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    フェミニズムの論客3人組が文学作品を、作者を、登場人物を、めった切り。時にあまりに行き過ぎていたり時に斬新な視点ありで、文芸評論としてはおもしろい。一緒に酒は飲みたくはない。

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    2009年10月04日
  • 男流文学論

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    4.11
    けっこう女の子で「男の作家の書く小説に出てくる女の人が、男の都合のいい幻想の塊で読んでいられない」って言う子いるでしょ。自分はけっこうそういうの平気で、むしろ男流作家のほうが読むから、敢えて手にとってみました。ハルキも標的にされてたし!(にしても文庫で920円は高いってーorz)いやまあ、著者の方々のメンツを見ればこーなるだろうと予想してはいたけど、やっぱよってたかってハルキ(だけじゃないけど)のことを男尊女卑のブタ野郎扱いされると泣きたくなります。題材にされてるのが『ノルウェイの森』っていう自分内ハルキランキングのかなり下位作品ってとこがちょっと煮え切らない部分もあるんだけど。これ

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    2009年10月04日