斎藤元一のレビュー一覧

  • 容赦なき戦争

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    「敗北を抱きしめて」のダワーが、日米戦争中の日米双方の人種主義を分析した本。

    「敗北を抱きしめて」はとても面白い本で、戦後の日本復興における日本とアメリカの一種の共同作業のプロセスをリーダーたちの言動だけでなく、庶民の捉え方も含め、言説やシンボルなどの文化的な読み解きを通じいて、とてもエキサイティングであった。

    この本が書かれたのは、この「敗北を抱きしめて」より早く、扱われている時代も戦前、戦時中というわけで、「敗北を抱きしめて」の前編ということもできる。

    内容としては、いかに戦時中に日米双方が、人種的な偏見、ステレオタイプ化によって、相手を非人間的な存在として、語り、シンボル化して、戦

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    2022年02月13日
  • 容赦なき戦争

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    著者ジョン・ダワーの『敗北を抱きしめて』は、当時の文献研究を通して、敗戦直後の日本の埋もれていた事実を多様な視点から浮かび上がらせた名著だった。本書は同じ著者が、太平洋戦争時の日米双方の敵意あるプロパガンダや世論を文献から掘り起こし、戦争における人種問題の影響を批判的に指摘したものである。日米双方に強い排他主義と自民族優越主義が見られるが、同時に日本における言説とアメリカにおける言説の傾向は大きく違っていることも対比に基づいて指摘されていて興味深い。

    人種間の憎悪をあおるような差別意識は過去のものでは決してなく、今も根強く残り、そのため簡単に火がついて蘇ることもある。年配の親戚が、韓国やロシ

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    2013年11月17日
  • 容赦なき戦争

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     太平洋戦争における戦中戦後のアメリカ人の日本人観や、日本人のアメリカ人観の変遷が細かに分析された非常に読みごたえのある研究書です。
     アメリカ人の日本人観はさもありなんということが多いのですが、注目すべきは日本人のアメリカ人観の著述です。
     日本人は戦中にあれだけアメリカを憎んでいたのに、戦後はその態度をほぼ正反対に変えます。これは国家戦略として国家が選択したという問題ではなく、広く庶民にそういう感情が生まれました。
     著者は日本人がアメリカ人を『鬼』と見なしていたことが、実は戦後のアメリカ人への対応をガラッと変える事ができた重要な要素として捉えています。それを証明する過程も丁寧で、日本人の

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    2017年08月15日
  • 容赦なき戦争

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    これは読んでいて非常に辛かったです。
    しかし、この事実から目をそむけているというか、そむけさせているような風潮が確かにあるように思えます。常に見なければならないということではないけれど。
    戦時において双方共に人種差別が剥き出しになったわけですが、その種は平時においても、現在でもきっとあるのでしょうね。

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    2011年01月10日
  • 容赦なき戦争

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    第2次世界大戦における日米戦争中のプロパガンダの比較研究書と言えるかと思います。
    何度か読む機会があったのだけれども、今回全文を初めて通して読みました。常に自分の側に「正義」があると謳うアメリカ合衆国。それを信じる国民にとっては、この本は読むのさえ拒絶するのではないだろうかと想像させる内容です。当時、どれだけあからさまにアメリカで、日本人(また日系アメリカ人!)を蔑視していたかを知ることが出来ます。また、時を同じして日本では、「鬼畜米英」をどう謳っていたかも改めて知ることができます。
    どう国民が信じていたかを知ることは出来ませんが、本で書かれているようなプロパガンダが問題なく世間では受けいれら

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    2009年10月04日
  • 容赦なき戦争

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    血迷った残虐な超人の加害者と、脳の足りない残酷なサルの被害者として、まるで逆の両者はどちらもたった数十年前の我々である
    さいわい海外から頭のおかしいサルに見られることはなくなったが、此岸から海外を見る目は昔と変わったか、まだ確信は持てない

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    2013年09月08日
  • 容赦なき戦争

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    太平洋戦争について、この本のように人種主義的な見地から叙述されたものを読んだのは初めで新鮮であった。
    自分たちの民族が優れていると思いたくなる気持ちは分からなくはないが、それは幻想にすぎない。真珠湾や太平洋戦争初期にアメリカが敗北を重ねたのも、日本がミッドウェー以降敗北し続けたのも、その本質的な部分には自らの慢心・奢りがあったことは確かである。太平洋戦争は日本がアメリカに無謀な戦いを挑んだもので、そもそも挑んだこと自体が愚かであったことは誰しもが知るところであるが、その本質が白人至上主義に対する大和民族の挑戦であったことをはっきりと認識している現代人は少ないと思う。白人至上主義に意義を唱えると

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    2011年02月06日
  • 容赦なき戦争

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    連合国の日本人へのむき出しの人種差別といい、日本の独善的な大東亜共栄圏構想といい、胸の悪くなる話ばかりだ。

    とはいえ戦争が終わるとあっけないくらいにスンナリ仲直り(?)できたわけだし、今日のウクライナを見ていても戦争するのに人種間の憎悪が必要でないことは明らかだ。人種差別はあきらかに問題だし醜悪だが、なんといってもダントツに悪いのは戦争こと殺し合いなのだろう。

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    2022年03月19日
  • 容赦なき戦争

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    ゼミの先生が選んだ本
    日本とアメリカの太平洋戦争前後の敵国、自国の見方が、とても面白い
    プロパガンダや自国愛を強める手法、民族問題など現代に通じる部分がいくつもある

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    2020年12月23日
  • 容赦なき戦争

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    ジュンク堂の小熊英二書店のキャンペーンで見かけたもの。学生時代、個人的な印象としては、1945年の敗戦前後の日本史、とくに政治・思想史に関する「古典」として、ジョン・ダワーの名前はおそろしく知名度があったものに思える。それはもう社会学におけるマックス・ウェーバーやテンニース(これはちょっと古すぎる?)のような感じで、同種のものにベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』があった。そんな感じ。実際はどーだったのだろうか?

    彼の名前をそのように有名なものとしているのは『敗北を抱きしめて』だけど、本書はそれに先立つ作品。第二次世界大戦、とりわけ太平洋戦争において、日本とアメリカやイギリスの両政府

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    2013年07月07日
  • 容赦なき戦争

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    大東亜共栄圏によって体現された新秩序は、世界史において前例がなかったようである。それは、道徳が、科学と法律に優先したからである。 こういう閉じられた世界に生きる人々は、他の世界を知らない限りにおいて幸せであろう。一つの絶対的な価値を信じていれば、ある種陶酔感を味わえるであろうし、おのれの身の安全も最低限保証されているであろうから。 今にあっても、我が国の隣人は何も知らずに幸せに生きているのであろうか。反対に、知ったことによる不幸せも分からぬでもないが。

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    2011年10月18日
  • 容赦なき戦争

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    20060922
    ジョンダワー先生の本。アメリカも人種偏見に基づき日本人を虐殺していましたよと。
    ダワー先生はリベラルに分類されるのかな?

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    2009年10月04日