野島博之のレビュー一覧
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幕末期に「日本はなぜ植民地にならなかったか」から始まり、戦後の「高度経済成長はなぜ持続したか」まで、9つの「なぜ」の理由となる背景やいくつかの要因を説明していく本。著者は予備校の先生ということもあって、高校日本史の知識があやふやなおれでも無理なく手軽に読める内容だった。
中経出版の『東大のディープな~』シリーズがあって、大学受験の論述問題を解説したものがあるが、それと似た感じで面白く読めた。
あとは印象に残った部分のメモ。まず明治憲法における天皇は、わりと天皇中心で全てが進んでいくというイメージがあるが、「日本の国家レヴェルのあらゆる決定は天皇の名でなされるものの、現実の政治運営の場面では、諸国家機関が実質的な決定権をそれぞれの役割に応じて担っている」(p.63)というのが、あまり分かっていなかった。p.169にも、明治憲法体制下には2つの天皇像があると書かれており、1つは「『万世一系』で『神聖』なることをひたすら絶対視していく傾向の天皇像」であり、もう1つは「自己の意思を政治的決定の場に極力もちださず、天皇のもとに設置されたさまざまな国家機関の決定にしたがうことを原則とし、強い不満や重大な危惧を感じても最終的には沈黙する天皇像」ということらしい。他にも明治憲法に関しては「政党内閣の成立を容認する規定など一言もありません」(p.75)ということだから、そんな中で政党が成立したこと自体がすごいことなんじゃないかとすら思った。そして、せっかく力を持ったのに、当時の経済状況や政党内部の腐敗もあって、国民は「テロ首謀者の主張に共感し、軍部の行動に熱い期待をよせるようになっていきます」(p.95)という、今ではあり得ないと思ってしまう極端な状況も自然と起こった、ということが分かった。
こういう感じで、当時に生きた人々の感覚、というものを理解することが大事なのではないかと思う。もう1つ、例えば1930年代の「感覚」として、「近代を生みだしたヨーロッパの放つ魅力は、なお強烈でした。そこで新たな実験が続々はじまったのです。しかも、そうした実験はことごとく成功しているかのようにみえていました。一九三〇年代は、一党独裁と計画経済こそが人類の到達すべき理想の姿だ、という感覚が世界をおおった一時期です。」(p.98)というのがあったらしいが、こういう「感覚」を理解することなくして歴史は見れないのではないかと思った。(21/03/12)
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紀元前から現代までをわかりやすくストーリー仕立てに追っていく日本史の入門書。
私は諸事情により日本史も世界史も学生時代に勉強してこなかった。日本史も中学受験時の知識しか持ち合わせておらず、その時は歴史は暗記するもので、その裏の事実やエピソードはほぼ無視していたように思う。
ただ、この本を読む中で、歴史が政治、経済、そして国内外の権力争いや混乱から成り立っていることをまざまざと思い知らされた。その中でも、生活水準として重要視されていた米から土地、銀、金など時代によって価値があるものとされていたことが政策ひとつで変わったり、中世の家族内の殺し合いなど、現代じゃなかなか想像つかないことも事実としてあって発見が多かった。あと、勝海舟や坂本龍馬のように、武力ではなく交渉を通して世界を変えていた人たちもいて、歴史上の偉人に憧れる人が多い理由もなんとなくわかった気がする。 -
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ネタバレ歴史を楽しむのは流れと新たな知見
古墳は実は稲作が進んだ土地改良の残土処理を公共事業化したものというのを、ねずさんの動画で見たけど嘘だぁと思っていた
こうして別の本にも書いてあると少しなっとく
イズレニシテモ権力を見せつけるモニュメントであり、少し時代が下がるとより高度になり仏教寺院が氏寺として勢力を見せつけるシンボルになる(と思う)
大陸の軍事力を意識しないと日本は進歩が無いのか、大和政権の時代から飛鳥時代まで同じ様な展開だ
冠位十二階なんて最初の遣隋使(600年)が恥をかいたから慌てて整備したものだろう
後世のものかとも思ったけど、別の本によれば隋書に記述があるらしい
冠位十二階は中間の立場の人が貰うモノで、蘇我氏などの大豪族は対象外 -
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今更ながら、高校の歴史の教科書は処分せずにとっておくべきだった、と後悔している今日この頃。歴史小説や歴史マンガ、「悪の歴史」シリーズを読みだしてから、よりその思いが強くなってます。どうして、引越しで処分してしまったんだろう。
そんなことが頭の中にある中で、本屋ぶらついてたら発見。
話し言葉なので読みやすくていいです。世界史のほうでも、同じように出してくれないものでしょうか。
学校の歴史の授業は古代から現代まで一連の流れをやるのもいいけど、それとは別に、明治維新から後だけ教える「近代史」の授業があってもいいと思う。
日本とアメリカが戦争をしてたことを最近の若い人は知らない、という苦言が言われて久しい世の中。授業で近代にかかってくると年度末になってるから、駆け込みになるからですよ。
知らないというか、授業内容覚えていないという話だとは思うんですがね。 -
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日本近現代史の入門書。9つの「なぜ」が設定してあり、高校生にも分かりやすく解説してある。高校の日本史の教科書に出ていたことに肉付けするとそうなるんだなあと思う。予備校講師だけあって、(本当は著者の野島さんをそういうくくりにはしたくないけれど)どちらかというと山川の教科書に沿った、実証主義的な定説をなぞっている感じ。本当高校の教科書は保守的なんだとあらためて実感できる。ブックガイドにあげてあるのも、伊藤隆をはじめ保守的な実証主義系統の本が多い(決してそれだけではないですが)気がする。ここから自分流で例えば色川大吉や井上清にたどり着ければたいしたものだと思う。
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本書は
1.日本はなぜ植民地にならなかったか
2.武士はなぜみずからの特権を放棄したか
3、明治憲法下の内閣はなぜ短命だったか
4、戦前の政党はなぜ急成長し転落したか
5、日本はなぜワシントン体制をうけいれたか
6、井上財政はなぜ 「失敗」したか
7、関東軍はなぜ暴走したか
8、天皇はなぜ戦犯にならなかったか
9、高度経済成長はなぜ持続したか
の9個の「問い」 が設定。
著者は、予備校の講師であるが、生徒からの質問が多くまた答えが見出しかねている歴史に著者自身が自問自答して答える歴史書である。こんな問題設定としての歴史もあれば歴史に対する見方も変るだろう。
何よりも、著者がその時代に生きていたとしたらどうするかという眼からも、記述している箇所もあって、単なる編年体の年号としての歴史ないなっていないが、読みやすい。が、分析は国際状況にまで渡り、各章の後に参考文献が掲載されているが、それを見ても本格的な研究ものが多い。いずれにしても、ロマン主義としての歴史ではない歴史は過去から現在を、見ることが出来なければ、それは歴史ではなく、ロマンを読んでいることになるのだろう。