堀江里美のレビュー一覧
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女性って、なぜこんなにも強いのに、こんなにも聡いのに、男よりも下なのだろう。その位置に甘んじているのは、力が弱いからだろうか。ケンカに勝てないからだろうか。ジェンダーギャップを埋めるために叫ばれて久しいが、心に刺さる。母・姉・女の子たちの言葉が、どこかリアルなのだ。日本にはこんな風習ないけれど、どこかリアルで怖いんだ。生き延びても待っているのは、男が望む結婚。16歳で運命の決まる人生。でもその運命に屈さず、己の力で今までの風習にNOを突きつける力が女性にはある。勇気づけられる一作。
p.71 その人を形作っているのは、人生で重ねた無数の小さな選択、誰の目にも触れない選択なのだと。私にコント -
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ネタバレ結構期待して読んだけど、それほどではなかった。でも、まあ、面白かった。
現代に生きてていろんな歴史や差別や偏見を知ってる者から見ると、さもありなんな設定、世界観、展開。
逆にほとんどなんもないのに一年生き延びる少女達すごすぎる。ここら辺もうちょっと現実味がある設定が欲しかったな。毎月、食料が投げ込まれるとか。
主人公がモテるところにはあまり共感が持てなかった。マイケルなんでだ。
ライカーとの仲は別に良かったけど、その別離まで描くとは。逃亡エンドでも良かった気がするけど、それでも、改革していこうエンド。マイケルすげえよ。主人公は、マリアで、マイケルはヨセフだったのかもな。
キルスティンは嫌 -
Posted by ブクログ
ネタバレあとがきから読んだので飲み込みやすかったけれど、本編だけだどモヤモヤしながら読み進めることになったと思う。それくらい、作中世界がどんなものなのかは見えてこない。外部がどうなっているのか、主人公は何の知識も持っていないからだ。
外を知らぬことは比較対象を持たぬことである。掟や刷り込みに疑問を持てない、或いは、持ってても浅い。抵抗したとて浅はかなものにすぎず、捻じ伏せるのも容易かろう。そもそもそんな気にさせない為に、徹底的に自立心をへし折るために設計されたものこそグレイス・イヤーか。
生まれ育った中で当然とされた価値観からの逸脱は、色々な暗喩になりそうな気がする。ガラスの天井、宗教二世とか。 -
Posted by ブクログ
この本は身近ではないからこそ、イメージのしづらい部分は多々あった。しかし、男女等の性別に関わらず誰かに都合の良い世の中って沢山ありふれてるよな。
そんなことを考えさせられる作品です。
※面白い!!と言って進めることはしないけど、考えさせられる部分はあるよ〜と言った感じですね。
縛られた環境の中で自身が持っている術を使い、上手に生きようとするが自分の気持ちや考えを理解してくれる人はごく僅か、理解してくれた人でさえ多数に靡いていく。
そんな環境の中でもう死んでしまった方が楽なのかなと諦めかけるが、敵だと思って居た人に助けられ、仲間だと思って居た人は自分に危害を加えようとする。
そんな恐怖が隣り合 -
Posted by ブクログ
「グレース・イヤー」という習わしで16歳を迎える少女は森の中で1年間もキャンプをして過ごす。キャンプの周りには少女を狙う密猟者がいて、特別な効能を持つ薬として少女らを狩る。グレース・イヤーというサバイバルを経て、ある者は男の所有物として妻となり、そうでない者は労働者としての生活が始まる。こんな女性にとってはディストピアでしかない世界を描く。著者によると、駅で見かけた少女からインスピレーションを受けて書かれた作品なのだそうだ。それを知ってから作品を振り返ってみると、作品世界は現実世界を少しだけ大げさにしたようなもののように感じる。搾取される女性の世界をきちんと物語にして読者に伝えている。
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ネタバレ 購入済み
読み物として面白く、引き込まれながら読みました。
フェミニズム的な視点で見ると、結果的に女性たちが突然団結して政治を変える!というような大きな変化が
ないままというところがリアルでもありもどかしいところでもあります。
個人的に主人公が妊娠出産するシーンやライカーをはじめとした男性陣の設定には釈然としない部分もありました。
ただ、こうやってもやもやする部分も含めて非常にリアルです。個人的にはもっと爽やかさや希望も欲しかったかなあとは思いますが。