あらすじ
16歳の少女たちの生死をかけた通過儀礼がいま、はじまる ガーナー郡に住む16歳のすべての少女は、危険な魔力を持つとされ、森の奥のキャンプへ一年間追放される。少女ティアニーが、謎に包まれた通過儀礼〈グレイス・イヤー〉でのサバイバルの果てに見た真実。『侍女の物語』×『蠅の王』のポスト・ディストピア小説
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Posted by ブクログ
何が何だかわからないが、この先に何かがあると信じて突き進むようにして読んだ。物語に答えや答え合わせ的な仕掛けがもてはやされるエンターテインメント小説だが、これぐらい訳の分からない何通りもの解釈ができる話の方が好みだ。
文章からこの少女たちが置かれた環境が伝わってくる。ディストピアに放り込まれて全てを奪われると何もかもが麻痺するのだ。
自分は男性だが、この作中の少女たちのような状況にある人は男も女も多いのではないか。
本作をジャンル分けするとモダンホラーになるのだろうが、ジャンルを越えた面白さがある。これはいい。面白い。
Posted by ブクログ
少女達は残酷さを徐々に、不気味に醸し出していく。
男尊女卑の村で、結婚か農婦か最下カーストでしか生きていけない女性達。
ある意味サバイバルホラー味があり、絶望感がどっとやってきた。
Posted by ブクログ
女たちを魔力があるという理由で
男たちが女を抑制し管理する。
16歳の儀式の日に男たちに自分が選ばれなければ
生きている意味がないと自分の人生を勝手に決められてしまう。
生まれたときから
その習慣になれてしまっている
ティアニーとほかの16歳の少女たち。
運命に抗うティアニーと
その運命を生きる糧としている
他の少女たちと繰り広げられる
壮絶な女同士の戦いが凄まじい。
この世界観が好きで読んでいて
興奮が収まらなかった。
Posted by ブクログ
『侍女の物語』をよりファンタジーで女の子に向けにしたようなストーリーなのに、起こっているのはどうしようもない現実で、色々と考えさせられた。絶滅してもおかしくないくらいだよ、16歳……
Posted by ブクログ
今年、1番良かった本と言っても過言でない作品。
女性として生きるにはどうすれば良いのか。どうすれば異性/同性に振り回されずに生きていくことが出来るかを作品を通して教えていただいた。
映画化されるようなので上映されたら鑑賞したい。
Posted by ブクログ
女性たちのものがたり。友情、ホラー、恋愛、色んな要素があって、ドキドキわくわくしながら読んだ。
過酷な状況でも前をしっかり向いて、こぶしをしっかりにぎって戦うティアニーの姿が、とてもかっこよかった。
Posted by ブクログ
とにもかくにも読め、読んでくれと言いたい本。
簡単に言えば、家父長制と女性消費から立ち向かう話……なのだが、作中の時代と主人公が暮らすコミュニティ外の世界観が明らかにされていないのがミソで、つまりはどの時代・どのコミュニティでも有り得る話という恐ろしさを感じる。
コミュニティ内にミソジニーがあるとはいえ、それに密かに立ち向かおうとしている他の女性や、終盤で明らかになるが、女性を一人の個人として尊重する男性もいる。
正直、中盤に展開したロマンスは「結局恋愛かよ」と萎えたが、そこからの終盤の展開と伏線回収に脱帽した。
Posted by ブクログ
「侍女の物語」と「蝿の王」の合わさったような物語という宣伝がぴったりの展開。男達が作り上げた都合の良い社会に気分が悪くなる。数の多い女の子を自分たちの手で競って殺し合うように仕向けるシステム、役に立たなくなった女性をまたうまく消し去るシステム、宗教も利用しての完成度は驚くほどだ。
主人公の頑張りの陰に父母や姉の愛が光る。そしてティアニーの二人のナイト、ライカーとマイケルはどちらも違う良さで魅力的だった。
Posted by ブクログ
平積みで気になり手に取った。
ディストピアフェミニズム小説は初だったが、架空世界の設定に現実をひしひしと感じる点が、読んでいてとても面白かった。
Posted by ブクログ
面白かった。
「その人を形づくっているのは、人生で重ねてきた無数の小さな選択」
小さな選択がその人らしさになるなと共感した。
「わたしにだって土壌を突き破ろうとする芽と同じくらいには価値がある。」
小さな事であっても、突き破る生命力は持っていたいと感じた。
Posted by ブクログ
グロかった。
ライカーとティアニーがいい。
こんなおかしな世界に囚われ、抜け出せない辛さ。
何がおかしいのかもわからない世界。
自分が味わった苦労を次の世代にも味わせるのではなく、少しでも良い環境をつくる。
先に生きるものがやっていくこと。
その小さな一歩が大きく世界を変えることになると思った。
Posted by ブクログ
過酷な物語を通じてとにかく怒りが伝わってくる小説。
ティアニーから目が離せなくて、分厚さをものともしないスピードで読み進めました。
序盤は人名が多くてメモを取りながら読む羽目になったけれど、主要な人物は嫌でも覚えるから結果的にはあまり必要なかった。
苦しみとささやかな希望との間でぶんぶん揺さぶられるような作品で、脳が喜んでいるのがわかる。
ヘイルメアリーを読んでいた時の感情に近い。
特にジューンがマントに仕込んだ仕掛けがわかるシーンが大好き。
ティアニーがずっと逞しくてかっこよくて、本当に過酷なお話だけどもエンパワーされる。
草木や土の匂い、血の匂い、心臓や呼吸の音、それから痛みまで、ありありと想像ができる。
文章で読んでいるとは思えないくらい映像、匂い、音が頭に入ってくる。
私があの中の女の子のうちの一人だったらどうするだろうと考える。
ティアニーみたいに強くない。キルステンのようにはなりたくないしなれない。モブの1人として私はどういう行動をし、どう狂い、生きることかできるだろうか。
結末は少し意外だったし、だからこそ現実的な感じもした。
読み終わってからこれがディストピア小説に分類されることを知ったし、言われてみれば確かにそうなのですが、なんかこれ現実だよなあと思わずには居られない描写がたくさんある。
映画を見たような読後感。映像化されるそうですね。楽しみです。
Posted by ブクログ
フェミニズムディストピア小説、と呼ぶらしい。ハンガーゲームが好きで読み始めたが、独特なダークな雰囲気もありつつデスゲーム感も。世の中のあらゆることに置き換えられる話だな〜と後からたまに思い出す本。
Posted by ブクログ
・面白かったし、素晴らしかった。
・現実世界をメタファーとした、「女性」の物語としても読めるし、元がヤングアダルト小説なので純粋なダークファンタジー小説としても当然読める。自分はこの小説内に立ち込める濃厚な湿度、発泡塞がりで息の詰まる様な「暗黒」の空気に、結構やられてしまった。まぁ当然それは現実と重なる事も多いのだけど。
・途中のストーリーラインにあるロマンスの部分も、苦さや厳しさの部分も含めて良かった。自分は主人公の少女と全く属性は違うけど、めちゃ感情移入してしまった。なんで?
・元がヤングアダルト小説という事でこれを若い子達が読むのか…凄い、と思ってしまった。
Posted by ブクログ
魔力が開花すると言われる16歳を迎えた少女たちが森の奥のキャンプに一年間追放され生死をかけた闘いをするディストピア小説でハンガーゲーム感あってめちゃくちゃ面白い。家父長制が支配するディストピアには現実世界へのメタファーが散りばめられていて現実も地獄だよねとなる。男女問わず読んでほしい
Posted by ブクログ
やっと読めました。これまで見てきた数々の閉鎖的社会を描いた映像作品が想起されます。過酷な状況を生き延びるティアニーの逞しさが際立つだけに、ラストの展開はちょっと意外でした。小さな社会に少女たちが押し込められるとこうなるのか、とモデルを見たようです。そして、男性が女性を搾取する現代社会を壮絶にデフォルメした姿がこれなんだな、としみじみ思いました。今後女性が増えそうだし、いつかこんな世界になってるかもしれません。そうした時にティアニーのような生命力が最大の武器になりますね。
Posted by ブクログ
帯どおり一気読み。読んでいたら夜が明けた。
家父長制度がよっぽど強い社会で、強く生きようとする女の話。
たくさんの奇跡が起こったとしても、ひと世代では世の中変えられない、そんなある種現実的な考え方もまた良いと思った。
続編作成中との事だが、続編の方がスカッとするオチになるのかもしれない。
Posted by ブクログ
女性って、なぜこんなにも強いのに、こんなにも聡いのに、男よりも下なのだろう。その位置に甘んじているのは、力が弱いからだろうか。ケンカに勝てないからだろうか。ジェンダーギャップを埋めるために叫ばれて久しいが、心に刺さる。母・姉・女の子たちの言葉が、どこかリアルなのだ。日本にはこんな風習ないけれど、どこかリアルで怖いんだ。生き延びても待っているのは、男が望む結婚。16歳で運命の決まる人生。でもその運命に屈さず、己の力で今までの風習にNOを突きつける力が女性にはある。勇気づけられる一作。
p.71 その人を形作っているのは、人生で重ねた無数の小さな選択、誰の目にも触れない選択なのだと。私にコントロールできる事は多くは無いかもしれない。結婚相手にしても、子供を産むことにしても。でも、この瞬間をコントロールするのは私だ。それを無駄にしたくはない。
p.p.294 体中にある傷痕は暴力的で、肌の下でうねる筋肉は攻撃的に見えた。でも今は別のものが見える。強さだけじゃなく、自制心が、傷痕だけじゃなく、癒しがそこにはあった。
p.403 「傷つけ合うのは、それが私たちに許された唯一の怒りを示す方法だから。選択肢が奪われたとき、私たちの内側には炎が生まれる。時々、いつか世界を燃えかすになるまで焼き尽くしてしまうような気がするの。私たちの愛と、怒りと、その間にあらゆるもので」
p.422 「ここでいろんなことがあったけど、それでもみんなの、一人ひとりの中に、強さや慈悲や思いやりを垣間見ることができた」私は全員と目を合わせながらしゃべる。「想像してみて、みんなのそういうところを輝かせることができたら、世界はどんなに明るくなるか。私はそういう世界に住みたい。私にどれだけ時間が残されているのかわからないけど。父さんがよく言ってた。誰も見ていない時にする小さな決断が、その人を作っていくんだって。みんなはどういう人になりたい?」「でもあなたはどうするの?」「帰れないでしょう…今は…あれだけのことがあった後じゃーー」「その通りだね。ガーナーに帰って妻になるなんてまさかできない。でも真実を伝えることができる。彼らの目を見て、グレイスイヤーが本当は何であるかを話すことができる」自分を保つので精一杯だが、気を強く持たなくちゃいけない。たったひとつの亀裂で、この鎧にわずかな隙間ができただけで、きっとバラバラに壊れて床に崩れ落ちてしまうのだから。私が感情を抱いて良い時、快くまで嘆き悲しんで良い時は、いつか私が火葬される時だ。今じゃない。
Posted by ブクログ
結構期待して読んだけど、それほどではなかった。でも、まあ、面白かった。
現代に生きてていろんな歴史や差別や偏見を知ってる者から見ると、さもありなんな設定、世界観、展開。
逆にほとんどなんもないのに一年生き延びる少女達すごすぎる。ここら辺もうちょっと現実味がある設定が欲しかったな。毎月、食料が投げ込まれるとか。
主人公がモテるところにはあまり共感が持てなかった。マイケルなんでだ。
ライカーとの仲は別に良かったけど、その別離まで描くとは。逃亡エンドでも良かった気がするけど、それでも、改革していこうエンド。マイケルすげえよ。主人公は、マリアで、マイケルはヨセフだったのかもな。
キルスティンは嫌いすぎてイライラして、時間を置かないとダメだった。実際できるかは別としてささっと始末したい。最後も助けたのがっかりした。問題のある者でも受け入れるのは素晴らしいが、自分はそんな素晴らしい人間じゃないし、なれそうにない。改心したら助けても良いかな程度。
あと帰ってからも描写が続くなと思ったら、楽な暮らしをしてて笑ってしまった。トップの妻だもんな。
読んでてやっぱ自分の経験や観察力、目に見えるもの、そして科学最高って気持ちになる。よくわからんものを信じるより、よくわからんけどまあ解明出来る人には出来る科学を信じたいよ。
何だかんだ女性達は団結してるよエンドだったのは良かった。でも、これ乗り越えても問題やまづみなんだろうな。だるいなって気持ち。
映像化したら、まあ見てみたい。
Posted by ブクログ
久しぶりに長い小説を一気読みした。面白かったけど、ライカー登場あたりで結局男に助けられないと生きていけないのか…と思ってしまい、ちょっと残念。マイケルも良い人すぎる。
Posted by ブクログ
500ページあるからね、ちびちび読むつもりだったけど、一気に読み切った。『侍女の物語』を感じさせるジェンダー・ディストピア。現代へのメッセージも感じつつ、ホラー、ミステリ、恋愛、冒険と一気読み要素が詰まってて物語として面白い!
Posted by ブクログ
あとがきから読んだので飲み込みやすかったけれど、本編だけだどモヤモヤしながら読み進めることになったと思う。それくらい、作中世界がどんなものなのかは見えてこない。外部がどうなっているのか、主人公は何の知識も持っていないからだ。
外を知らぬことは比較対象を持たぬことである。掟や刷り込みに疑問を持てない、或いは、持ってても浅い。抵抗したとて浅はかなものにすぎず、捻じ伏せるのも容易かろう。そもそもそんな気にさせない為に、徹底的に自立心をへし折るために設計されたものこそグレイス・イヤーか。
生まれ育った中で当然とされた価値観からの逸脱は、色々な暗喩になりそうな気がする。ガラスの天井、宗教二世とか。
Posted by ブクログ
この本は身近ではないからこそ、イメージのしづらい部分は多々あった。しかし、男女等の性別に関わらず誰かに都合の良い世の中って沢山ありふれてるよな。
そんなことを考えさせられる作品です。
※面白い!!と言って進めることはしないけど、考えさせられる部分はあるよ〜と言った感じですね。
縛られた環境の中で自身が持っている術を使い、上手に生きようとするが自分の気持ちや考えを理解してくれる人はごく僅か、理解してくれた人でさえ多数に靡いていく。
そんな環境の中でもう死んでしまった方が楽なのかなと諦めかけるが、敵だと思って居た人に助けられ、仲間だと思って居た人は自分に危害を加えようとする。
そんな恐怖が隣り合わせの環境での1年間を生き抜く少女の話。
常にこの世の中は誰かの都合の良いように作られていて、その自分達は搾取されている側の人間。
その状況を変えるためには自身が動き、身を犠牲にしてでも変えようと努力しなければ変えられない。
それでも変えられないのかもしれない。
現状に変革を起こすためにはそれらを覚悟して、能動的に動く必要があるのだな。と主人公の少女を見て感じました。
結局、大きな世界観の難しく考えさせられる話だな。
という感じです。
Posted by ブクログ
早川書房さんのTwitterで知り、自分好みのディストピア系かと期待して手に取ってみた。
舞台は森に囲まれた村、ガーナー郡。この地では、女は男を惑わす"魔力"を持っているとされており、"魔力"が開花する16歳にそれらを全て解き放ち、"清らか"な女として男に妻として迎えてもらうため、少女たちは森の奥に閉ざされたキャンプ地で1年間の共同生活を送る。<グレイス・イヤー>―――それについて話をすることも禁じられた、無事に帰還することが保証されない謎に包まれた風習。16歳となり<グレイス・イヤー>を迎えるティアニーは、その真相を目の当たりにする―――。
「男性が女性を従属させる村社会+隔絶された地で繰り広げられる少女たちのサバイバル」。ストーリー概要に目を通した時点でフェミニズム要素がある作品だとは思っていたが、予想以上に社会的メッセージが強かった。「"フェミニズム"・ディストピア作品」と言い切ってしまっても良いかと。別段、そういった作品を毛嫌いする訳ではないのだが、その社会的メッセージを伝えたいためか、エンタメ的な面白さが不足していたように思う。個人的には、少々期待外れ。
Posted by ブクログ
「グレース・イヤー」という習わしで16歳を迎える少女は森の中で1年間もキャンプをして過ごす。キャンプの周りには少女を狙う密猟者がいて、特別な効能を持つ薬として少女らを狩る。グレース・イヤーというサバイバルを経て、ある者は男の所有物として妻となり、そうでない者は労働者としての生活が始まる。こんな女性にとってはディストピアでしかない世界を描く。著者によると、駅で見かけた少女からインスピレーションを受けて書かれた作品なのだそうだ。それを知ってから作品を振り返ってみると、作品世界は現実世界を少しだけ大げさにしたようなもののように感じる。搾取される女性の世界をきちんと物語にして読者に伝えている。
Posted by ブクログ
特殊な設定以外は割とありきたりではあるが
不思議な余韻があった。
しかしガーナー郡はそこそこ大きいのかな?
毎年16歳がいっぱいいるし
ちょっとスケール感が掴めなかった。
続編書かれたら読みたい。
Posted by ブクログ
最後の展開は個人的には納得がいかなかったけど、
一年で大きく変えられるほど伝統はやわなものじゃないってことか。
でも希望のある終わる方で良かったです。
完全に好みの問題だが幼馴染派だったので彼の扱われ方や最後の展開的にちょっと不憫だった。
ただ物語的に幼馴染と恋に落ちると色々崩れちゃうんだろうな...とも思うししょうがないのかな。
読み物として面白く、引き込まれながら読みました。
フェミニズム的な視点で見ると、結果的に女性たちが突然団結して政治を変える!というような大きな変化が
ないままというところがリアルでもありもどかしいところでもあります。
個人的に主人公が妊娠出産するシーンやライカーをはじめとした男性陣の設定には釈然としない部分もありました。
ただ、こうやってもやもやする部分も含めて非常にリアルです。個人的にはもっと爽やかさや希望も欲しかったかなあとは思いますが。