野沢直子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
まず、本作品は短編集かと思ったが、7つの章に分かれている長編小説である。そして、極めて平易な文体で、誰もが頭の中に描く事ができるであろう、登場人物、家族、東京の下町の情景や中学生時代の淡い思い出…、などを描きながら、読む者をごくごく自然に、ぐいぐいとその世界に引き込んでいく魅力があると思う。
作者の野沢直子氏の私の思い出と言えば、四半世紀前にお笑い番組で破天荒なギャグをかまして個性的なコメディアン?マルチタレント?として活躍していたにも関わらず、突然、外国に行きミュージシャン活動の傍ら、外国人の方と結婚して子供も生まれ…という生き方までも破天荒な人、という印象であった。
そんな多芸な悪く言えば浅く広い?、人物に文字の世界でなぜここまで緻密な創作が出来るのか?、不思議であると共に、その才能に驚愕せざるを得ない。先に書いたように、平易な文章、であるので、いわゆる芥川賞候補作、の様な難読語、は出てこない。実際、いつも私は読書をする際に難読語を必ず電子辞書アプリ等で調べながら読み進めるのだが、この作品ではそれが一切無かった(即ち芥川賞は狙っていないという事か?笑)、ただその分、淡々としてスリリングに進む物語を、切れ目なく歯切れ良く味わい尽くす事ができた…
こちらでの紹介にある様に、50代初老の男女を主人公とした物語である。今の閉塞感溢れる世の中、誰もが決して幸せな人生を歩んではいないのでは無いか?、自分の立ち位置はどうなんだろう?、こんな素敵な物語はあり得ないだろう?、…そう言った期待、感想、がこの作品からは聞こえて来るようである。自ら、決して順風満帆な人生を送ってきたわけでは無かった、と自分の気持ちのどこかで感じている同世代の方には、是非とも読んで頂きたい。 -
Posted by ブクログ
たまたま読んだ雑誌のインタビュー記事で子育て論がなんだかいいな、と思ったので紹介されてたこちらを読んだ。
野沢直子さんの、愛と感謝と強さでいっぱいの一冊。
破天荒なお父さんと、そんなお父さんを愛し続けたお母さん。一見今なら大騒ぎされてしまうような内容だけど、お母さん含め女性たちの愛情と強さですべてがあったかいもので包まれている。
複雑な心境も当たり前にあるだろうけど、それをも覆ってしまうほどの愛情が登場人物たちにはあって、なんだか昭和の長屋の風景が目に浮かんでくるようだった。
私の祖父や祖母が同じ世代。ここまでの破天荒さはないにしても、この時代の人たちは本当にエネルギッシュで、愛情に溢れていて、強い。
それが私の大好きな祖父や祖母のことも思い起こされて
この時代の人たちから学ぶものは本当に多いなと、改めて。 ✳︎
母親とは何があっても家の中にまっすぐに立って、子供と一緒に笑ってさえいればいいのだと信じている。母とはそういう生き物で、笑っていることが母親の一番重要な仕事なのだと信じている。
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母親が「悲惨だ」と言っていれば、それは「悲惨」という名の記憶になり、母親が笑っていれば、悲惨な状況だって悲惨ではなくなるものだ。
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子育てしてる方にもおすすめです。 -
Posted by ブクログ
吉本興業の野沢直子さんが書いた小説です。
どうしても野沢直子さんの顔がチラつきながらの読書になってしまったのですが、テレビで見る野沢直子さんとのあまりのギャップに驚きが止められませんでした。
表紙には真っ黒な空に浮かぶ半月。商店街を走る女。
この表紙のような暗い暗い雰囲気が漂う物語でした。
1ページ目から、自分がどんなに歳をとり、醜くなったかということを延々と語る女・カオル。
カオルは何の感情も持たず、淡々とパート先のスーパーとアパートを毎日往復するだけ。
もう1人の語り手はカオルが時々立ち寄る弁当屋の主人・誠。亡き両親が遺した弁当屋を継いでいるが、脱サラして弁当屋を始めた父に否定的な言葉を投げつけたまま別れの日がきてしまったことを後悔している。
2人の孤独が全ページに溢れています。
自分は何のために生きているのか?
自分に生きる価値はあるのか?
本当にこの表紙のように暗くて黒い2人の孤独。
大切なのは自分で選ぶこと。自分で掴み取ること。人は幸せを感じるために生まれてきたということ。
読後、表紙を見ると走っている女が違って見えます。
力強い後ろ姿です。 -
Posted by ブクログ
野沢直子の父がいかに破天荒で、その全てを受け入れた母そして祖母という家庭環境で育った野沢直子の本質に触れることができる。
普通に考えれば「ひどい父親」に違いないのだが、その父親を受け入れることができたのは「母親の父への信頼」そして「どんなときでも笑顔で子供に接する愛情」に尽きる。子供というのは、やはり母親の影響を強く受けるので、同じ環境で育っても母親の接し方で異なる人格の子供に成長するということが理解できる。
また父親も信念を貫いていれば、子供にはそれが伝わるということ。
そして子供は思春期を通して大人になるので、思春期を親が邪魔をしてはいけないということ。
親として色々と考えさせられた一冊である。 -
Posted by ブクログ
2022年の年末、久しぶりにテレビで見た野沢さんは、あいかわらず、ワチャワチャしながら、この本を宣伝してた。
野沢さん、1963年生まれで現在59歳。私より少しお姉さん。
「老い」がなんだ!って書いてると思ったら、「老い」を前にジタバタしてるって。
ほうれい線に落ち込んでるとか、いっしょだね。
タイトルを『全国の59歳のみなさんへ』に、したかったけど却下されたとか。
50代最後の微妙な心境を伝えたかったのかも。
これからは
もう、家族を養うとか、結果を出すとかもない。子供のころやりたかったことでも、なんでもいいから楽しいことをするって。
西本喜美子さんとバディ·ウィンクルさんみたいに。
海外に、別家族を作ってしまったお父様のお話しも興味深い。