B・ラッセルのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
幸福論
訳:堀 秀彦
著:B・ラッセル
角川ソフィア文庫
ラッセルが数学者であることは知っていた。が、哲学者で、論理学者であって、ノーベル文学賞まで授賞されているとは知らなかった。
数学者が、幸福論などを論ずるとはおもってはいなかったが、文学者であれば、これはもう納得である
気になったのは、以下です。
・私はただ、諸君の常識となってくれればいいと希うところのものによってつづられた若干の評論を書こうとしてみたにすぎない
・不幸をたのしむどころか、不幸によって悩み苦しんでいる無数の男女のうちの幾人かがこれによって彼らのおかれている状況を診断し、そしてそれからの脱出法を示唆されてくれたなら -
Posted by ブクログ
とても難しい本で、哲学初心者の私はとりあえず読み進めるという。でも、うまくいえないけどすごく惹かれる本。わかんないけど、面白い。初めての感覚かもしれない。
巻末の小川仁志氏の解説がとても明解でわかりやすいです。
あと最初のページにあるウォルト・ホイットマン(アメリカの詩人)の言葉もジワジワくる感じで。
「成功は幸福の一つの要素でしかない。そのために他のすべての要素を犠牲にしてしまっては、決して幸福にはなれない」
「思考のコントロール」これはカギになる言葉かと。
考えるべきことを、考えるべき時に十分に考える力。
これが不幸の解決策だと小川氏は書いています。
もう一度読み返したいと思います! -
Posted by ブクログ
一番自分に響いたのは、
「外的な条件が決定的に不幸なものでない場合、そしてその人の情熱と興味が彼自身の内部に向かってではなく、外側に向かって動いているかぎり、人間は幸福を達成することが必ずできるのである。」
という一節。このことは何度も繰り返し本文中で説かれていて、自己没入が不幸の源泉の一つとして大きいことと、興味を外に向けて世界的宇宙的に広い意識を持ってバランスを取ること(有意識と無意識の協力、社会との統一融合が備わっていること)が幸福に繋がると結論付けられていると思う。
このことは、伝統的な哲学と宗教が持つ形而上的な存在を前提に置かない、ポジティブな懐疑主義に基づく論理的分析でもって裏 -
Posted by ブクログ
1930年にバートランド・ラッセルが発表した、「幸福論」。原題「The Conquest of Happiness」(幸福の獲得)
第1部では不幸の原因の分析と、」それを取り除く解決策、第2部では、幸福になるすべをまとめていると、巻末に掲載された「復刊にあたっての解説」に書いてありました。
内容は現代にも通じる内容で、これを読んで、自分や現代人の身のまわりに置き換えて考えても、確かになと思う事ばかりでした。
文章も読みやすい部類かと思います。
一気に読むことができました。
たびたび読み返して、自分に置き換えて、考えてみたいと思える一冊です。 -
Posted by ブクログ
「ラッセル 幸福論」
アランの幸福論がエッセイで気楽に読めたのに対し、ラッセルの幸福論は論理的で気を抜いて読むことができない。まず不幸の原因は何かという分析から始めている。どういう不幸を対象にしているかなど対象範囲を明確にしている。その中で個人では対処のしようがない絶対的な不幸は除外し、幸福の条件はある程度揃っているのに幸福を感じられない現代的な豊かさの中の不幸について検討している。そして、解決策を論じ、幸福になるための具体的な方法を述べている。いかにも数学者でもあるラッセルらしい。
内容的にはなるほどと思わせることも多いが、少々考えに時代の違いを感じる。やはり、昭和27年に出版された時代背景